ジチタイワークス

山形県山形市

全国初!連携中枢都市圏連携事業による広域炊飯施設の整備~共通課題をスピード解決~

山形連携中枢都市圏の8市町は、米の消費拡大、地産地消、地場産業の育成・持続性の確保、学校給食への異物混入防止など、さまざまな安全・安心対策や少子化による食数減の共通課題を解決するために連携している。この連携事業では、地域経済の循環を促進するための基盤整備(地域資源活用事業)として、各市町産の米を炊き分けられる新たな垂範システムを導入した広域炊飯施設(農業活性化のための加工場)を建設した。

この施設では、学校、医療機関、福祉施設、保育施設などへの米飯提供を行い、公益のための炊飯事業を推進している。これにより、地域振興を目指した加工場の整備を行った。

また、炊飯業務受託者では、公益のための炊飯事業以外の時間を活用し、独自の営業活動を行うことも認められている。これにより、さらなる米の消費拡大や地産地消、地場産業の持続を図り、目的外使用として行う独自の収益化を認め。さらに、炊飯事業による収益の一部は施設整備費の償還財源として充てられ、自立できる仕組みを構築したという。

※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2022」の応募事例から作成しており、本記事の内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。

背景・目的

学校給食における米飯の提供については、自校式炊飯等の自治体を除き、山形市を含む県内22市町において、各自治体と公益財団法人山形県学校給食会が供給の契約を締結し、さらに、山形県学校給食会から委託された炊飯事業者が炊飯し、直接学校に届けています。

近年、村山地域に供給している各炊飯事業者の工場設備は老朽化し、金属片等の異物混入が発生するなど、早期の設備更新が必要となっていました。しかしながら、各炊飯事業者は自ら整備することを想定し、村山地域内各市町に協力をお願いしながら進めていたが、資金繰り等の問題により断念せざるを得ない状況でした。

そのような状況の中、設備更新は急務であるため、各炊飯事業者より行政でお願いしたいと山形市に要望があったことから、山形市が中心となり、村山地域内各市町と共同で建設する方向で検討し対応することとなりました。

 

取り組み事例
「全国初!連携中枢都市圏連携事業による広域炊飯施設の整備~共通課題をスピード解決~」

ホームページ | 令和4年4月5日 山形広域炊飯施設オープニングセレモニーを執り行いました。

取り組み期間

令和2年4月1日~令和4年3月31日

 

取り組みの内容

連携中枢都市圏内の学校給食用米飯を提供している炊飯事業者5社の工場に代わる施設として、令和2年4月から令和4年4月までの2年間で基本構想・予算措置・財源確保・地質調査・基本設計・実施設計・炊飯システム選定・炊飯施設建設・米飯提供方法の構築・炊飯事業者の選定・連携事業の意向確認・負担方法の構築・少子化の影響による食数減への対応・持続可能な仕組みの構築などを行うというものです。

【事業開始】
令和2年4月上旬から6月議会定例会に向けて、地質調査・基本設計・実施設計のために、補正予算要求の準備を開始し、6月下旬に基本構想を策定しました。また、5月下旬に連携都市13市町に共同建設に向けた意向の仮調査をしました。6月上旬に建設(運営方法検討含む)のための組織(専任2名・兼務2名)を設置し、建設に向けた事業が本格稼働しました。
 

【連携都市との協議】
6月下旬に自校給食等で参加の意思のない市町を除く9市町と協議をしていくことを再確認しましたが、具体的な事業内容と費用負担を提示できなければ最終的な判断ができないということから、6月の補正予算措置後に調査設計委託を発注し、早急に建設費の仮試算を出してもらい早急に費用負担を提示することとしました。
 

【炊飯システムの選定】
6月の委託発注に向けては、炊飯施設の規模を確定させなければならないが、炊飯システムの種類・規模に左右されることから、炊飯システムの選定委員会を開催し、業界に精通している方や有識者等により意見を聴取した上で確定させプロポーザル方式で選定しました。連携規模により食数等が変動するため、1時間で3,500食程度を炊飯できるラインを2つ準備することで、稼働させるライン数と回転数で対応できる食数に幅を持たせたほか、故障などへの対応を可能としました。
 

【事業内容と費用負担】
連携都市の判断基準となる事業内容と費用負担については、稼働の形態や財源等が大幅に影響することから、学校給食への米飯提供に端を発した課題ではあるが、少子化の影響による食数減への対応も踏まえ、単なる学校給食用の施設ではなく、米の消費拡大・地産地消・地場産業の育成・持続を担う施設と位置付けることとしました。そして、炊飯業務を行う事業者には、公益的な炊飯業務を行う時間以外の時間を利用して、独自の収益活動を行うことを認め自立・継続を促すとともに、そうした施設使用の場合は、公益的な炊飯業務以外ということで目的外使用料を徴収することとし、施設建設費の償還財源として連携都市の負担軽減を図ることとしました。
 

【財源確保】
また、前述の目的を持った施設であるため、地方債は地域活性化事業債を活用できることを国・県と協議し早々に確認しました。その結果、建設費に係る費用の90%を地方債で調達することができ、その元利償還金の30%が普通交付税措置されることとなりました。そのほか、連携事業として行うため、維持管理業務については、かかる費用の最大80%の特別交付税算定基礎として計上することが可能となっています。
 

【新たな仕組みの構築】
施設管理や米飯提供の仕組みの構築については、公益財団法人山形県学校給食会が圏域内5社に発注し、自前の工場で炊飯・配送していたものを、5社が共同で設立した山形炊飯協同組合へ発注し、本事業で建設した施設で炊飯することとしました。そのため、集約化により効率化が図られるとともに、施設・設備の費用がかからず、炊飯業務の1食当たりの単価は大幅に減額となり、施設建設および維持管理費用に係る負担金と併せても、実質的な価格は従来を下まわる金額となりました。
 

【連携事業】
このようにして委託発注から5カ月後の11月に、事業内容と費用負担について大まかに示した段階で連携都市から最終判断を仰ぎ、7市町より共同建設の意向を示していただき、令和3年2月に山形連携中枢都市圏推進プランに掲載し、正式に8市町で連携事業を進めることとなりました。事業内容や費用負担、負担割合などについての協議を進め、建設工事や備品購入等の事業費がほぼ確定した12月には、長年続くこの事業の取り決めとして、負担金の算定方法や中途での連携解除、大規模な修繕等に関する協定を締結しました。
 

【施設建設】
令和3年度の当初予算対応では工期が短くなるため、実施設計完了直後の3月議会定例会において、補正予算措置として債務負担行為を設定し、3月上旬から建設工事業務に着手しました。令和3年度5月議会臨時会における事件決議を経て本契約、途中、コロナの影響による給湯器の品薄など不測の事態が発生し、当初の想定よりも工期が遅れたものの無事令和4年3月に完成しました。完成後2週間程度のシミュレーションを行い、令和4年4月5日、8市町の首長・議長等を迎えオープニングセレモニーを開催したのち本格稼働を開始しました。

 

【事業概要】
事業名称:山形広域炊飯施設建設事業
連携都市:寒河江市・上山市・村山市・山辺町・中山町・河北町・大石田町
施設管理業務受託者:山形炊飯協同組合
学校給食用米飯提供者:公益財団法人山形県学校給食会
炊飯業務受託事業者:山形炊飯協同組合(学校給食用米飯提供者からの委託)
 

【施設概要】
施設名称:山形広域炊飯施設
建設費:10億3,500万円
建物面積:1,241.22㎡
建物構造:鉄骨造・平屋建
提供食数:常時20,000食 最大30,000食
調理方式:全自動炊飯システム ドライ方式
炊飯能力:3,500食/時間×2ライン
 

取り組みを進めていく中での課題・問題点(苦労した点)

・基本構想から供用開始まで2年間という短期間で10億円を超える施設を建設しなければならないこと、加えて、連携中枢都市圏の連携事業で行わなければならないことが、苦労した点となるが、できるものは全て同時並行で進め、事務処理等は法に触れない範囲の最短期間で処理をすることで対処しました

・施設の規模や事業の仕組みが定まらない中、建設や維持管理に係る費用が見込めない状況で、連携都市から意思決定してもらうための条件提示が非常に苦労しましたが、早急に国・県等と財源に関する協議を進め、施設規模に関するシミュレーションを繰り返し、公益財団法人 山形県学校給食会や炊飯事業者との協議を重ね、現行の米飯購入単価と建設後の単価と1食当たりの負担金の額を比較するほか、不参加の場合のリスクなども想定し判断を仰ぎました

・圏域内の学校給食へ米飯を提供している炊飯事業者5社が、異物混入対策の目視強化や廃業となった他社の分を提供しているため時間がかかるため深夜帯から働いているほか、従業員の高齢化が進んでいることなどもあり厳しい労働環境となっている状況が問題点になっていたため、炊飯事業者5社が組合員となって協同組合を設立することにより、集約化による効率化を図ることができました

 

特徴(独自性・新規性・工夫した点)

【連携事業】
連携中枢都市圏14市町のうち自校給食や独自方式を除く8市町と連携したことにより共通で抱える課題を解決するため事業として、連携事業で行政が設置する炊飯施設としては全国初(単なるハード整備でも事例が少ない)の広域炊飯施設整備を実施しました。
 

【財源対策】
課題を米の消費拡大・地産地消・地場産業の育成・持続および学校給食への異物混入防止などの安全・安心対策、少子化の影響による食数減対策とし、連携中枢都市圏連携事業に位置付け、地域活性化事業債を活用することにより、地方債元利償還金の30%が普通交付税措置されることとなったほか、維持管理に係る費用の最大80%を特別交付税算定基礎として計上することが可能となっています。
 

【そのほかの財源】
公益的な炊飯業務を行う時間以外の時間を利用して、炊飯事業者独自の事業を認め、その利用にあたっては施設の目的外使用料を徴収し、地方債元利償還金の充当財源として、各市町の負担金の減額を図ります。
 

【協定書の締結】
地方債の償還期間である21年以上は続けていかなければならない仕組みのため、負担金の算定方法や大規模な修繕に係ること、中途解消する際の取り決めなどを協定書により締結しています。
 

【負担金の仕組み】
地方債元利償還金と施設の維持管理に係る費用を各市町の年間食数による負担割合で按分して負担しています。

 甲=山形市、乙=7市町(寒河江市・上山市・村山市・山辺町・中山町・河北町・大石田町)
 

【施設維持管理】
施設の維持管理については、学校給食用米飯提供における炊飯業務を受託する事業者に随意契約で委託することとしました。施設と炊飯設備の管理は密接不可分の関係にあり、衛生環境を守る上での責任の所在を明確化するためにも、施設の管理と設備の使用者は同一の事業所としています。

【安全・安心】
全自動炊飯システムのため、炊飯時に人が関与する場面が極端に少なく、物理的に異物が混入する機会を無くしているほか、システムを2ライン設置することにより、故障などにより提供できなくなる事態を回避することとしています。
 

【米消費拡大】
米消費拡大については、確実に消費できる販路を確保することにより、生産量を拡大することで貢献できるようにしています。
 

【少子化対策】
学校給食用米飯提供においては、少子化の影響により食数が減少する中、炊飯事業者の経営安定化を図るため、独自の収益活動を行うことを認め自立・継続を促しています。
 


 

【受託事業者】
炊飯事業者5社が協同組合を設立し、機能を集約し効率化を図ることにより、炊飯業務に係る費用の抑制が図られ、炊飯業務の受託単価を減額することができました。
 

【官民連携】
官民連携の中でも民が主体となっていた仕組みであるが、経済状況や事業所の労働力の高齢化、少子化の影響による売り上げの減少などの課題について、官の抱える米の消費拡大や地産地消などの課題と合わせて、官主導の形で解決を図りました。民活が求められ様々な分野で民間活力を活用してきたが、今回のケースは、官民連携のバランスを見極め、官主導で行うことにより民の持続・発展を促すきっかけとなり、今後の官民連携・民活の新たなモデルになり得ることが見込まれます。

 

効果・費用

・山形連携中枢都市圏での連携事業による最初の施設整備となりました
・全国初の連携中枢都市圏連携事業による広域炊飯施設の整備(ハード整備だけでも希少)となりました
・8市町共通の課題を共同施設建設により同時に解決することができました
・米の消費拡大、地産地消、地場産業の育成・持続が図られました
・学校給食への異物混入という課題を2年という期間でのスピード解決を図ることができました
・新たな施設を建設したにもかかわらず、学校給食用米飯を安全・安心でおいしく、従来よりも安価に提供することができました(現行単価1食平均約100円とした場合、米飯と施設建設・維持管理費の総額は104.3円かかっているものの、普通交付税で4.3円、特別交付税で3.2円程度賄われることから、従来単価より減額となります)

今後の予定・構想

・現在は、地方債の償還が据え置き期間で利息のみとなっていることもあり、維持管理費と合わせても目的外使用料収入より少なくなることから、山形市および連携都市の負担金は発生していない状況であるが、今後は、炊飯事業者の独自事業を増やし米の消費拡大をさらに推進するとともに、目的外使用料の増額により負担金の減を図っていきます。

・学校給食の主食の提供については、現文部科学省の方針により、各都道府県に1団体、学校給食会を設置して食材や品質等をコントロールしているほか、炊飯事業者においては、約40年前に国の補助金を活用し設備を整備して以来、大規模な改修を行っていなところも少なくないため、全国的な課題でもあり、当市にも多数問い合わせが来ていることから、当県では、学校給食会が主体となり他地域での同様の取り組みを検討していくこととしているほか、同様の問題を抱えている地域へ情報を発信していきたいです。

・ある程度この仕組みが定着し、炊飯事業者の経営が安定し持続性が高まってくれば、施設を購入し自立することも可能であり、そのような状況になれば、今後の施設改修や設備更新については、炊飯事業者が行うこととなることから、官民連携において官主導で行った本事業ではあるが、また民主導に変化していくこともあり得るのではないかと考えます。

 

他団体へのアドバイス

学校給食の主食の提供は全国的な仕組みのため似たようなケースになることは間違いないが、学校給食のための施設となれば、所管が教育部門であり事業の位置付けや財源も全く変わってくるので注意が必要になります。地域の実情と学校給食会や炊飯事業者等と十分協議のうえ検討していく必要があります。

 

【行革甲子園】全国の自治体の創意工夫あふれる取り組みを紹介! 記事一覧

このページをシェアする
  1. TOP
  2. 全国初!連携中枢都市圏連携事業による広域炊飯施設の整備~共通課題をスピード解決~