
自動で電気ショックを施す機能を備えたAED
停止した心臓に電気ショックを加えて心拍リズムを正常に戻す医療機器“AED※1”。福岡市では全ての市立学校に自動で電気ショックを施すAEDを導入。地域活動や災害時などに人が集まる場所で、備えを強化している。
※1 AED=Automated External Defibrillator(自動体外式除細動器)
※下記はジチタイワークスVol.39(2025年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[PR]日本ストライカー株式会社
左:教育委員会 教育支援部 健康教育課
係長 桑野 麻子(くわの あさこ)さん
右:教育委員会 教育支援部 健康教育課
内田 楓(うちだ かえで)さん
救助する側の心理的な負担を考えシンプルで使いやすい機器を導入。
AEDは公共施設や駅など人が多く集まる場所に設置されている。しかし、救助が必要な場面に遭遇しても使い方が分からなかったり、“もし間違えたら”とためらったりするケースが多く、設置台数に対して使用率は低いようだ。倒れてから数分以内に措置するかどうかが生存率や後遺症の有無を左右するが、倒れる瞬間を目撃された心停止の中でも、AEDによる電気ショックが行われたのはごくわずかだという。
同市では令和6年、それまで市内の学校で使っていたAEDが更新時期を迎えることから、情報収集をする中で“オートショックAED”の存在を知った。「教職員に限らず、子どもたちや地域住民も使う可能性があります。ボタン操作で電気ショックを与える従来型は、心理的な負担につながることも。いざというときに使いやすい、操作がシンプルな機種があると知り、検討に至りました」と、桑野さん。同年11月「日本ストライカー」が取り扱うオートショックAED※2を236台導入し、市立の小・中学校、高等学校、特別支援学校へ設置した。
※2 販売名:ライフパックCR2 オートショック 承認番号:30300BZX00353000 高度管理医療機器・特定保守管理医療機器
教職員が研修で扱いやすさを実感し学校を使う地域住民にも周知する。
同機器は、傷病者に装着した後、心電図の解析結果から電気ショックが必要と判定された場合、救助者がボタンを押さなくても自動で電気ショックを与えることができる。機器を操作する手順の説明には、大きくシンプルなイラストと音声ガイドがあるため、初めて使用する場合や、緊急時でも操作しやすいという。周囲の騒音に応じて音声ガイドの音量や周波数などを調節する機能や、言語の切り替え、患者が未就学児の場合は未就学児モードに切り替える機能もある。
同市内の学校では、玄関や体育館の出入口付近といった分かりやすい場所に設置し、水泳の授業や遠足などの校外活動を行う際に持ち出すことがあるそうだ。「設置にあたり、同社による教職員向けの講習を各校で実施しました。実際の場面を想定した役割分担についての説明などがあり、有意義だったという声がありましたね」と、内田さん。学校からの要望に応じて、同市の教育委員会は水泳の授業が始まる前の4月から5月にかけて練習用機器を貸し出しているという。
学校施設は普段の授業だけでなく、夜間・休日に地域住民の活動などにも使われている。また、災害時には避難所として多くの人を受け入れることがあるため、地域に広く知ってもらうことが大切だ。保護者に配布する保健だよりを通して、新しいAEDについての周知を図っている学校もある。
子どもたちにも身近になりAEDへの関心が高まっている。
導入して約半年が過ぎ、まだ実際に使用された場面はないそうだが、学校現場ではAEDへの関心や、備えることへの安心感が高まりつつあるようだ。「救助の講習に外部講師を呼んでいる学校では、オートショックAEDの導入について講師から興味をもたれたそうです。子どもたちも実際に使い方を学ぶことで印象に残り、いざというときに役立つのではないかと思います」。ある中学校では、放送部が出場するコンクールで、学校に設置されたオートショックAEDを題材に選んだ。生徒たちが同社の担当者に開発の経緯や従来型との違いを聞き取り、発表する予定だそうだ。一人でも多くの命を救うための備えの大切さが、子どもたちの言葉で発信されることで、注目度が高まるきっかけになるかもしれない。
救助の備えは、使わずに済むことが理想だが、日頃から必要な場面を想定し、いざというときにスムーズに使えるようにしておきたい。「目の前で人が倒れたとき、まずはAEDを準備するという意識が求められていると思います」。救助に対する心理的なハードルを下げ、市を挙げて救命率を向上させる環境づくりに取り組んでいく考えだ。
AEDは救命処置のための医療機器です。AEDを設置したら管理者を設定し、いつでも使用できるための保守・管理が必要です。また、AEDのインジケーターや消耗品の有効期限などを日頃から点検することが重要です。■電極パッド、バッテリーには有効期限があります。■電極パッドは再使用できません。■AEDに不測の事態が発生したとき、譲渡時、廃棄時には、製造販売業者または販売業者に連絡してください。■添付文書および取扱説明書を読んでください。■未就学児※には、未就学児モードボタンを押して、未就学児モードに切り替えてから使用してください。※未就学児とは、およそ6歳までの小児を示します。
お問い合わせ
日本ストライカー株式会社
東京都新宿区西新宿5-1-1
新宿ファーストタワー
TEL:0120-715-545(ライフパックお客様センター 平日9~17時、土日祝日・年末年始を除く)
お問い合わせ・詳細はこちら