山口県周南市のシティプロモーションキャッチコピーは、「ここから、こころつながる。周南市」。人とのつながりを大切にしているという同市では、周南市ゆかりのみんなで発信することで生まれる「共感」からつながる参加型プロモーションを実施しているという。同市が、市民参加型プロモーションに至った背景や効果を紹介する。
※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2022」の応募事例から作成しており、本記事の内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。
背景・目的
周南市シティプロモーションの目的として、「郷土愛」「シビックプライド」の醸成や移住定住の促進があります。そのためには、ふるさとや住んでいるまち、地域で取り組む活動を好きになっていただくこと、周南市のファンを増やしていくことが重要です。
それゆえに私たちは、周南市を好きな市民や市ゆかりの人たちが、なぜ周南市を好きなのか、周南市ファンが伝えたい市の魅力は何なのかをしっかりと掘り起こし、文脈化して伝えることで、そのストーリーに共感するファンが生まれ、そのファンからの情報発信により、ファンがファンを呼び周南市のネットワークが広がって行くと考え、周南市ファンがシティプロモーションに参加できるステージ(プラットフォーム)をつくることとしました。
取り組み事例
「市民とつくる情報発信。参加共感型シティプロモーション」
周南市ホームページ | 周南市シティプロモーションスペシャルサイト
関連記事 |みんなでつくる周南市ガイドブック by 周南市市民ライター
関連記事 |フリーペーパー「shu・wa – shu・wa」(WEB版)
取り組み期間
令和3年度~
取り組みの内容
周南市シティプロモーションのキャッチコピーは、「ここから、こころつながる。周南市」です。大切にしているのは「人とのつながり」。
市ゆかりの皆さんが大切にしている周南市のヒト・モノ・コトを周南市ゆかりのみんなで発信することで生まれる「共感」からつながる参加型プロモーションを実施しています。内容は以下です。
1)周南市ゆかりのみんなでつくる「シティプロモーションスペシャルサイト」の運用
市民や移住者など市内で活動する人、ふるさとを離れて活躍する人など、周南市ゆかりのみんなで、「周南市のヒト・モノ・コト」を紹介し、市の魅力をお届けするスペシャルサイトです。2022年4月にはサイトをダイジェスト化した紙媒体のマガジン「SHUNAN magazine」(A4/4P)を5,000部発行。市内各所や県外イベントなどで配布しています。
2)「周南市市民ライター」による市民目線のニッチなガイドブックの制作
周南市公認の市民ライターが、独自の視点で、市内での暮らしや風景、グルメやイベント情報などを記事にしています。旅行雑誌とは一味違う、市民目線の新しい周南市の歩き方を提案。記事はシティプロモーションスペシャルサイトや周南市公式noteで公開しています。
3)市民と市職員でつくるフリーペーパー「shu・wa - shu・wa (シュワシュワ)」の発行
市民と市職員でシティプロモーションを考える、チーム「SHUラボ」フリーペーパー部が「周南市愛」を込めて編集するフリーペーパー。シティプロモーションにつながる「〇〇なまち周南」の「〇〇」を探し出し、フリーペーパー(B5/6P)を編集し4,000部発行しています。市内の宿泊施設、飲食店、店舗、公共施設など約60カ所に設置中です。
取り組みを進めていく中での課題・問題点(苦労した点)
記事の編集作業です。取材をしていると今まで知らなかった周南市の歴史や地域ネタなどが次々と出てきますので、事実確認を含め校正作業に苦労しました。ですが、色々な情報を知ることができ、結果ますます周南市に愛着がわきました。
特徴(独自性・新規性・工夫した点)
独自性としては、シティプロモーションスペシャルサイトで紹介する市ゆかりのヒト・モノ・コト。これらを通じ「郷土愛」「シビックプライド」の醸成を図るためには、これらに存在するストーリーをしっかりと伝えることが重要であると考えています。そのためサイトに掲載する記事について、約2時間程度の取材を行い作り込んで行くため、通常のWEB記事では多いとされる5,000文字を超える文字数で記事を構成しています。
また、サイトのコンテンツであるガイドブックの制作を市民ライターやフリーペーパー部に協力してもらうなど、市民参加型としています。新規性、工夫した点は、文字数が多い記事でも最後まで読んでくれる利用者の多い新しいSNSである「note」と連携しサイトを構築することで、読み物として周南市の記事を受け取ってくれる新しいファンに情報を届けるようにしたことです。
noteに掲載した記事で6,000文字を超える内容ながら、公開から2カ月で約28,000ビューを獲得するものがありました。
効果・費用
取り組みの効果
共感するファンとつながり、そのファンから新たなファンへと周南市のネットワークが広がって行くことを目指しているシティプロモーションにおいて、12名の市民ライター、7名のフリーペーパー部メンバーの参加があったことです。
・市民ライターによる周南市紹介記事
→41本(2022年2月〜2022年5月)
・フリーペーパー発行
→2回(2021年10月,2022年4月:約60カ所設置・各4,000部)
・シティプロモーションスペシャルサイトダイジェスト版SHUNAN magazine発行
→1回(2022年4月:5,000部)
WEBサイトページビュー(2021年10月〜2022年5月)
・シティプロモーションスペシャルサイト
→約42,000ページビュー
・周南市公式note
→約70,000ページビュー
費用(令和3年度)
・シティプロモーションスペシャルサイト
→新規サイト制作・運用管理・記事制作(24本)等 約478万円
・周南市市民ライター
→市民ライター講座、編集会議開催、ライター活動費等 約64万円
・フリーペーパー shu・wa - shu・wa
→編集・発行・印刷等 約60万円
今後の予定・構想
実際に市ゆかりのヒト・モノ・コトの紹介や、市民ライター・フリーペーパー部による周南市のリアルな暮らしの情報発信を行っていると、新しい人との出会いがあり、つながりが生まれ、ネットワークが広がっていることを実感しています。
周南市ゆかりのみんなで発信する情報により、周南市が暮らしやすく住み続けたいまちなのか、観光に訪れたいまちなのか、移住したいまちなのかを具体的にイメージしていただけたらと思います。そして、周南市への興味関心を深め、関係人口の拡大や移住定住の促進につなげて行きたいと考えています。
他団体へのアドバイス
シティプロモーションの取り組みに参加してみたい、ふるさとのために何かしたいと思っている方が多くいることを、この取り組みを通じて知ることができました。周南市市民ライターの取り組みは、着手もしやすく、少人数でも始められると思います。取材や参加者との交流でネットワークが広がりました。