熊本県熊本市

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システムを使って育てることでベテラン職員のような存在に。

情報政策
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システムを使って育てることでベテラン職員のような存在に。

業務効率化を支援する生成AI型マニュアルシステム

住民からの質問や庁内の照会対応など、根拠となる資料を探して回答する場面は少なくない。熊本市では、職員が多くの時間を費やしているこの業務に着目し、効率化を目指して実証実験を進めている。

※下記はジチタイワークスVol.44(2026年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

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熊本市
デジタル部 デジタル戦略課
技術主幹 林田 紀(はやしだ おさむ)さん

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熊本市
デジタル部 デジタル戦略課
参事 浦本 匠(うらもと たくみ)さん

文書管理システムと生成AIの導入でも資料探しの負担軽減は難しかった。

職員にとって、法令・条例や国からの通知、自治体独自のマニュアルを確認する作業は、行政サービスの質を守る上で欠かせない。しかし、その範囲は広く、量も膨大だ。「これまでは必要な資料や情報にたどり着くまでに多くの時間がかかっていました」と林田さんは振り返る。

同市では令和5年10月、業務効率化のために文書管理システムを導入した。しかし、検索できるのはファイル名のみで、表記揺れがあると検索結果に表示されないことから、十分に活用できていなかったという。同時期に導入した生成AIも、アップロードできる内容やデータ容量の制限があり、文書作成の補助としての使用にとどまっていた。生成AIへ質問しても、インターネットの情報をもとにした回答になるため、物足りなく感じていたそうだ。

「庁内アンケートの結果、約6割の職員が自治体の業務に特化したサービスを求めていることが分かりました。特に情報収集に関しては、インターネットからの一般的な回答ではなく、庁内にある根拠資料をもとにした回答が必要だったのです」。そこで、信頼性の高いデータを参照する“RAG(※)(ラグ)機能”を取り入れたサービスの検討を開始した。そんな中、「RKKCS(アールケーケーシーエス)」の「おとなりさん」を知ったという。

※RAG=Retrieval Augmented Generation(大規模言語モデルによるテキスト生成に外部情報の検索を組み合わせることで回答精度を向上させる技術)

負担の大きい業務からスタートし実証実験で現場に即した機能を拡充。

同サービスのコンセプトは“隣の席のベテラン職員”。チャットで質問すると、格納した資料にもとづいて回答を生成し、根拠も提示してくれる。導入の決め手は、複数の生成AIモデルが使えることと、導入しやすいシンプルな料金体系だった。浦本さんは「複数の生成AIモデルがあれば、それぞれの強みを活かした検索や回答生成ができると考えました。また、類似サービスの多くは従量課金制ですが、同サービスは月額固定料金なので、予算管理がしやすいことも魅力でした」。

令和7年4月から、保護管理援護課で実証実験を開始。「この業務を担当する職員は外出の頻度が高く、庁内にいる時間が限られています。その一方で、覚えることや見るべき資料が膨大で、残業が続いている状態でした。同サービスを導入することで、限られた時間の中でも業務理解を促進できればと考えたのです」。ファイル内の単語まで検索でき、複数の関連資料を提示する“キーワード検索機能”や、条例などのポイントをまとめてくれる“長文要約機能”に期待を寄せていたそうだ。

さらに、実証実験を通じて、同市の声をもとにした機能追加もあったという。格納する資料の正確性を担保するためにアカウントの権限管理ができるようにしたり、一問一答ではなく掘り下げて質問ができるようにしたり、自治体現場に即したアップデートが重ねられた。

業務効率化を実感した職員が使い方を工夫し展開していく。

「外出先からでも資料の確認や疑問の解消ができるようになったことで、新任職員の業務理解も進んでいるようです」と林田さん。デジタル戦略課からの呼びかけに加え、職員の間でも評判が広がったという。「特に、各課と横断的に関わる契約政策課の導入が大きなきっかけでした。受け付けを従来の電話からテキスト形式に変更し、生成AIで回答させることを周知したところ、多くの職員が興味をもったようです」。同課では電話対応にかかる時間と探す時間を削減でき、質問者と回答者双方の効率化につながった。現在では、各課が工夫をしながら、庁内14業務の様々なシーンで活用されている。

令和7年9月に実施したアンケートでは、同サービスを利用した職員の79%が業務の効率化を、83%が業務の質の向上を実感しているという結果に。今後も利用したいと回答した職員は93%だったという。2人は「今後も、同サービスを各課のベテラン職員のように育てていきたいです」と期待を込めた。

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