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アワードを受賞した【すごい公務員のすごくない話 #2】木下 義昭さん

「株式会社ホルグ」が主催する「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード(以下、公務員アワード)」。その受賞者と聞くと「皆さん、もともと仕事がデキる“スーパー公務員”なんでしょう?」「自分とは違う世界の人たち……」などと思ってしまいませんか?
しかし、そんな彼らにも、思い出したくないような失敗経験や自信を失ってもがいた歴史、今なお抱える等身大の悩みがあるんです。
本連載では、公務員アワード2025受賞者の人間臭いリアルにフォーカス!表彰の場では語られていないしくじり体験談や、苦悩・葛藤のエピソードなどを3回に分けてお届けします。
第2回は、橋梁メンテナンス革命により常識を超える技術職員として表彰された、熊本県玉名市 建設部の木下 義昭さんです。
※記事の掲載情報は公開日時点のものです。

Interviewee
玉名市 建設部 土木課 課長補佐 兼 橋梁メンテナンス係長
木下 義昭(きのした よしあき)さん
“公務員らしさ”と“普段の素顔”をチェック!
まずは、木下さんがどんな人物なのかを探っていきましょう。“公務員らしさ=公務員としてのお仕事スタイル”と、プライベートにおける“普段の素顔=日常の行動傾向”の2つの視点から、ご自身でチェック(自己分析)をしていただき、その結果を図表化(チャート化)してみました。

このチャートから分かることは?
公務員らしさのチェックでは、前例重視が“1”と最も低い結果に!橋梁補修のDIYという先進的な取り組みを成し遂げた、既存の枠にとらわれない突破力があらわれています。一方で、根まわしと調和優先、失敗回避は“4”と高め。前例を打破する大胆さを持ちながらも、周囲との丁寧な調整や関係者への根まわしを怠らないことこそが「玉名市モデル」成功のカギといえそうです。
そんな木下さんに、“公務員イズムがしみ込んでいるなと感じること”を尋ねると、すみませんがすぐ言えること・地元で目立たないようにしちゃうこと・笑う場面が減ったこととの回答が。ちょっぴり切なさが漂う本音に、思わず“あるある……”と共感してしまう方も多いのではないでしょうか。

このチャートから分かることは?
ご自身の素顔については、繊細・内省度が満点の“5”! 周囲から驚かれる意外な一面は、“目立ちたがらないところ(気配を消してます)”とのこと。地方公務員アワードで受賞した“すごい公務員”でありながら、実はとても控えめな人柄が伝わってきますね。また、仕事人間度“4”を表しているのがチャートに添えている写真。なんと、プライベートで愛知県まで橋の掃除に行った際の一枚です。橋梁メンテナンスがライフワークになっているという木下さんも、予定がない休日は“スイッチが切れて使い物にならない”のだそうですよ。
木下さんが語る!ここだけの“すごくない”話
ここからは、その素顔やお人柄を感じられるエピソードを紹介!
今だから笑って話せる“過去のしくじり体験談”
ある金曜日、アロハシャツを着て出勤し、優しい上司に「さすがにそれは……」と言わせてしまったことがあります。
その日は夜に前職の友人と飲み会を予定していました。アロハシャツはその友人からの新婚旅行のお土産だったんです。私としては、「これを着て行ったら喜ぶだろうな。でも着替えに帰る時間はないから、朝から着ていこう」という単純な思考でした。ですが、上司には受け入れ難かったようです(笑)。その日は、アロハの上に作業着を羽織って乗り切りました。

ただ、普段はその作業着も着用を避けていたんです。作業着には市の名前が入っていますよね。今でもそうですが、私は“市職員は多くの市民から嫌われている”と思っているところがありまして。だから作業着を着ることで、市職員だと認知されるのが怖かったんですよね。
この件について、後から当時の先輩に聞いた話によると、私が作業着を着ないことで上司に迷惑をかけてしまっていたようです……。
これまでで“一番しんどかった時期とその乗り越え方”
約2kmの都市計画道路に関する業務を担当していた時期はしんどかったですね。予算事務、用地買収、補助金申請、設計、工事発注・監督など、通常は事務系職員が担当する領域の業務まで、全てを1人で取り組むことになりました。なので当時は、「なんで俺だけ?ふざけんな!」というのが心の声(本音)でした。
だから、その頃はとにかくイライラしていて、周囲の人が楽しそうに話しているのを聞くのも嫌だったんです。ずっと市役所を辞めたいと考えていました。
とはいえ、辞めて暮らしていける自信も勇気もなかったですからね。“技術職員でここまで事務系の仕事を経験できることはない”と自分を奮い立たせて、挑戦してみることにしました。
実際にやってみると、“自分でもできる”と手応えを感じたんです。そこから、“それであれば事務系職員をぶち抜いて、技術職は事務職以上のことができると見せつけてやろう!”って奮起しました。そんな日々を繰り返すうちに、気づけば乗り切っていました。
今、直面している“壁”や“悩み”は?
いつも壁だらけで、正直、社会インフラの未来には不安しかありません。
また、プライベートでは無報酬の法人活動(一般社団法人行政エンジニア支援機構)に取り組んでいます。おかげさまで期待が大きく、順調に会員数が増えているため、その対応に追われている状態。代表理事とワンオペ事務局の兼任をしているため、自分自身の活動時間が限界に近い。猫の手、落ちてないかな……と思っています。
全国で日々頑張る“すごい公務員 予備軍”の皆さんへエールを!
本当に欲しいものは手に入らないと考えるようにすると、少し気持ちがラクになるかもしれません。
若い頃は、一生懸命仕事をしているのだから評価してほしい、難易度が高い業務で成果を出していることを理解してほしいと思っていました。しかし適正な評価を受けられるかどうかは、評価者が業務の難易度を正確に理解しているかに左右されます。そのため、当時の私のように、思うような評価を受けられないことも少なくないと思います。
しかし、ありがたいことに近年になって外部からの評価が先行し、後から内部の評価が追いついてきました。ただ不思議なことに、今度は本当にこれが欲しかったのだろうかと自問自答するようになりました。
では、本当に欲しいものは何か。それはユングの言う“無意識”の中にあるものだと、この年になってぼんやり分かってきました。ただ、それが具体的に何なのかは、私ごときには、まだまだうまく言語化できないというのが正直なところです。
ただ、もしもタイムマシンで昔に戻れたら、イライラしていた若い頃の自分に「本当に欲しいものは手に入らないんだよ」となだめてあげたいですね。
すごい公務員に選ばれた木下さんの、親近感がわく“すごくない素顔”はいかがでしたか?
木下さんが受賞した取り組みの全容や奮闘、葛藤の軌跡を知りたい方には、地方公務員アワードを主催する加藤 年紀さんが筆を執った一冊がオススメ!公務員アワード2025受賞者14人への取材をもとに、公務員としての“仕事”と“人生”を描いたルポルタージュ「幸せに生きるための公務員の『生存戦略』(公職研)」。ぜひ本記事と併せてチェックしてください。
最終回は、農業者は戦友「絶対不可能を覆す実践者」、茨城県 県南農林事務所 つくば地域農業改良普及センター 油谷 百合子さんの“すごくない話”をご紹介します。お楽しみに!













