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生成AIと行政の距離感とは?日々の業務に気づきを加えるチェックリスト

情報政策
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生成AIと行政の距離感とは?日々の業務に気づきを加えるチェックリスト

日々進化する生成AIのニュースに“私の職場はまだまだだけど……?”“任せていい領域は?”“求められるスキルは?”といった戸惑いを感じていませんか。

AIは決して万能ではありません。行政がAIとどう向き合い、どのような距離感で活用していくのか。まずは、そんな“設計思想”が大切といえそうです。

本記事では、「一般社団法人コード・フォー・ジャパン」のお二人を迎え、AI時代の業務を見つめ直す“気づきのチェックリスト”を提示。チェック項目をテーマにトークを展開しながら、AI活用における課題解決のヒントを探っていきます。

記事の最後には、公共とAIの未来をともに考えるイベント「Code for Japan Summit 2026」の情報もご紹介!

  ※記事の掲載情報は公開日時点のものです。

◆ プロフィール
そもそも【Code for Japan】とは

「ともに考え、ともにつくる。」をコンセプトに、自治体・住民・民間企業と連携し、テクノロジーを活用した地域課題の解決や公共サービスの創造を推進する非営利団体(一般社団法人)。テクノロジーと公共が調和する未来を共創している。


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業務執行理事・エンジニア
 
 川邊 悠紀(かわべ ゆうき)さん  

大学在学中よりフリーランスエンジニアとして開発に従事。2022年よりCode for Japanに参加し、スマートシティやデータ連携、オープンデータ利活用など幅広いプロジェクトに携わる。現在はシビックテックコミュニティの醸成に加え、新規AIサービスの開発や組織内のAI利活用推進をリードしている。

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業務執行理事
  
砂川 洋輝(すながわ ひろき)さん  

パナソニックで技術職に従事後、フィンランド・アールト大学でサービスデザインを学ぶ。帰国後は神戸市役所にてICT業務改革専門官としてクラウド導入や働き方改革をリード。現在はCode for Japanにて、自治体の組織変革や持続可能な地域社会の構築に取り組む。神戸大学V.School客員教授も兼任。 

AI活用の“第一歩”を踏み出せているか

  Check 01
 ✔ 企画や文書作成の際、AIを思考のパートナー(壁打ち相手)に活用している    

―― Check01は、活用の初歩がテーマです。自治体職員がまず取り組むとよいことは? 

川邊:まずは、“あらゆる仕事をAIに一度やらせてみる”というスタンスが重要ですね。AIが得意なことと苦手なことの肌感覚は、実際に使わないと分かりませんから。

“うまくいかなければ人間が後から修正すればいい”という気持ちで、職場の制限内でAIに任せてみる。そのうえで“人間によるチェック・修正の必要性”を体感することが、本当の意味での第一歩ではないでしょうか。

砂川:そうですね。具体的な業務でいうと、議事録や答弁書の作成、文書の要約や校正、アイデア出しなど。“業務の入口”の部分から実績を積むといいでしょう。 その際、総務省の「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>」などを参考にすることもポイントです。

また、業務だけでなく“生活者としての使い方”も大切。職場での利用が難しくても、私生活において“AIが社会でどれだけ浸透しているか”を知ることがスタートラインになるでしょう。

もしもDX推進の担当であれば、管理職や首長との会話でなるべくAIの話題を出すこと。それによって自然と認知を広げる“庁内マーケティング”も有効だと思います。

AI活用のリスクを理解して使っているか

Check 02 

✔ AIの回答内容を鵜呑みにせず、ファクトチェックや検証を必ず行っている

―― 回答を鵜呑みにするリスクは社会的に問題視されていますね。行政における注意点や適切な距離感(AIとの付き合い方)については、どう考えますか?

川邊:これはエンジニアの視点でも、強く警告したい部分。AIに仕事を任せることは、“権限の移譲”と同義です。回答に思考を入れずに使うことは非常に危険ですし、データの誤用を招く恐れがあります。まずは、組織として制度やガイドラインの整備が不可欠といえるでしょう。

また、“ツールの浮気”にも注意したいですね。AI関連の技術は進化が速いので、次々と新しいツールを使いたくなる。だからといって頻繁に乗り換えると、せっかく策定したガイドラインや運用ルールの前提が崩れるリスクがあります。まずは、一度導入を決めたものを、個人としても組織としても使いこなせるようになることが大事だと思います。

砂川:そう、組織としては“石橋をたたいて渡る”姿勢も重要ですね。AIの回答をコピペしてそのまま使うといった行為は、行政特有の説明責任や、公務員倫理に関わる重大な問題に発展するリスクがあるからです。

また、AIが自律的に動く道具だからこそ、人間側がコントロールする管理能力が不可欠。もしも、人間同士の管理すらできていない組織状態であれば、AIの管理は到底できないのではないかと思います。

とはいえ、リスクを恐れて何もできないのも問題。なので、試用が自由にできる“プレイグラウンド(遊び場)環境”と、重要な行政データを扱う“本番環境”を明確に分けて構築することを提案したいですね。 

使えないという“壁”をどう越えるか

Check 03
✔ 行政という環境・風土を“使わない理由”にせず、安全活用の方法を模索している

―― 行政ゆえの導入障壁や、民間より歩みが遅れがちな状況についてはどうでしょうか。

砂川:首長や幹部職員のマインドセットの変革を訴えたいですね。AI導入の効果を短期的・定量的に測ることは難しいですが、“やらない”という選択は、その自治体が若手人材から選ばれなくなる人材損失リスクを招く可能性があると思います。

また、日常業務の動線からAIが分断されていたり、環境のせいで最新モデルが使えなかったりすることも、活用推進の妨げになっています。職員の日常業務に自然とひもづくような体験を提供し、組織に定着させる環境整備が必要ではないでしょうか。

川邊:現代特有の“壁=制約”も認識しておきたいところです。

例えば、AIの計算エンジンであるGPUの価格高騰や需要過多、物理的な調達難など、従来のツール導入とは異なる問題が発生しています。庁内の調整がスムーズに進んで“よし、導入しよう”となっても、ハードウェア自体が調達できなければAI活用の歩みは鈍化してしまいますからね。

AIツール調達に求められる視点や力

Check 04

  AIツール調達時の民間提案を主体的に理解し、事業者と対話して要件定義できる

―― 自治体側に求められる発注力や、AI導入推進に必要なスキルについてはどうでしょう?

川邊:ただ、あくまでデモはデモ。実際に使う製品としての品質や、セキュリティの維持コストは別物です。デモの動きだけを見て安易に発注せず、提案の裏側を見抜く“目利き力”や、鋭い“質問力”が必要だと思います。

砂川:これからのAI調達では、従来の業務効率化や住民サービス向上の効果、ツール導入時の費用だけではなく、中長期的な費用の見通しに加え、データ主権の観点も求められます。

中長期的な見通しというのは、導入時点で提示された初期費用やランニング費用だけでなく、今後のインフレやハードウェアコスト、円安の動向も踏まえた複数のシナリオを検討する必要があるということ。

データ主権の観点では、住民の個人情報や行政データがどこで管理されるのか、AIの学習に利用されるリスクはないかなどを慎重に確認する責任があります。

AI活用が進んだ“未来”の姿は?

Check 05
 
  AI活用で捻出できた時間を、人間にしかできない地域課題の解決に充てたい

―― AI活用が進んだ先にある、行政・公共の姿とは?お二人の意見を聞かせてください。

川邊:AI活用の未来は、一部の優秀な個人だけではなく、全体で使いこなせる環境と制度を整えることが理想です。個人の業務が効率化されても、その成果物をチェックする上司や同僚の負担が増えていないかという視点も大事。全体を俯瞰して進めてほしいですね。

また、目指すべきは、AIや行政システムによる意思決定プロセスの中に、その影響を受ける住民(Citizen)の意思や判断を組み込む「Citizen in the loop(シチズン・イン・ザ・ループ)」の状態です。

テクノロジーがどんどん進むからこそ、そこで暮らす人々を排除することなく、常にループに巻き込む仕組みや状態をつくることが大切だと考えています。


砂川:
AI活用は単なる作業の効率化がゴールではありません。効率化で空いた時間が、また別の雑務で埋め尽くされては意味がない。

その時間を、本来行政が取り組むべき「この地域をどうしていきたいか」というグランドデザインや、住民と深く向き合う対話といった人間にしかできない価値創造に充てること。それが本来の目的、目指すべき姿だと思います。

深刻な人手不足の中では、郵便配達やバスの運転といった役割を自治体職員自ら担うことすら想定される時代。だからこそAIに任せられることは任せ、その分、地域維持という本質的な課題にリソースを集中させる。こうした意識改革が不可欠ではないでしょうか。


|公共とAIの未来をともに考える|

――「Code for Japan Summit 2026」では、「公共とAI」をテーマに様々なプログラムを実施するそうですね。全国の自治体職員の皆さんに、ぜひ魅力を伝えてください。

川邊:私たちの強みは、行政、民間企業、大学、そして市民社会といった多様なステークホルダーを巻き込んで活動しているところです。このサミットは、特定の立場にとらわれず、フラットに対話ができる場。職場内で、“AIについて高度な議論ができる相手がいない”と孤独を感じている職員の方にこそ、ぜひ気軽に参加していただきたいです。

砂川:AIが日常生活に急速に浸透し、気づかぬうちに重要な意思決定がAIに委ねられてしまうかもしれない……そんな危うさを感じませんか。だからこそ誰かが勝手に決めるのではなく、みんなで一度立ち止まって考える。“AIについて詳しくないから”と気後れする必要はありません。私たちと一緒に、AI時代の社会デザインを捉え直す機会にしましょう!

\   イベント情報   /
Code for Japan Summit 2026 
テーマ「公共とAI」

日時:2026年10月3日(土) 10:30~17:00
会場:ベルサール九段(東京都千代田区)

▼参加方法など、詳しくは下記をCheck!