公開日:
現場業務に即したデジタル化で、災害時の生活再建支援に備える

罹災証明〜生活再建支援を一括サポートするシステム
能登半島地震では、災害対応の段階に応じて被災者支援業務の整理とデジタル化が進められた。石川県では、市町の職員と連携するため、独自に“被災者データベース”を構築し、業務のデジタル化に取り組んでいる。
※下記はジチタイワークスVol.45(2026年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[PR]富士フイルムシステムサービス株式会社

石川県
総務部 デジタル推進監室
谷場 優(たにば ゆたか)さん

石川県
総務部 デジタル推進監室
杉浦 慎将(すぎうら のりまさ)さん
被災者支援を円滑に進めるためには情報共有できる環境が欠かせない。
被災者支援の中心的な役割を担うのは基礎自治体だが、能登半島地震では災害救助法が適用され、県が責任主体となった。デジタル推進監室は、被災者や支援状況の情報を整理・可視化し、関係部署や市町が共通して利用できるようにすることで、県の対応をデジタル面から支えることに。デジタル庁の呼びかけで発足した防災DX官民共創協議会も実務的な助言を行い、県を支援したという。「発災直後は県や市町に加え、現地で活動する支援団体などが把握した情報を集約しながら、被災者の避難先や要支援者の状況を確認する必要がありました。しかし、部局や業務ごとに情報が分散し、支援の進捗が把握しにくいという課題が。そこで、単に情報を集めるのではなく、被災者一人ひとりの状況をつなぎ、関係者間で共有できる基盤として“被災者データベース”の構築に着手しました」と谷場さん。
データベースでは、住民基本台帳などの既存情報をもとに作成される被災者台帳に、罹災証明書や支援状況などの情報をひも付け。業務に必要な情報が届けられるように設計した。発災直後は災害対応と並行しながら、市町ごとに異なる形式の情報を整理する、負担の大きい作業が続いたそうだ。その後、段階的に運用を進めることで、個人・世帯ごとの状況が自然と一覧化。現場の負担を増やさずに、支援が必要な世帯や、行き届いていない世帯を把握できる状態が整ってきたという。
生活再建支援には被災者情報の迅速かつ正確な把握が不可欠であることから、同県ではデータベースを活用して被災者支援業務の現場を継続的に支えている。

難しい調査・判定を効率化し集めたデータを支援に活用。
「被災者支援では、支援対象者の特定・情報の共有・業務負担の軽減が重要になります。支援漏れを防ぎつつ、限られた人員で業務を進める仕組みの必要性を改めて認識しました」と谷場さんは災害時を振り返る。
これと共通した考え方で設計されているのが、「富士フイルムシステムサービス」が提供する2つのシステムだ。一つは「罹災証明迅速化ソリューション」で、ドローンを活用して情報収集を省力化し、罹災証明書発行までの期間短縮をデジタルでサポートする。損害割合の算出が自動になり、公平性の担保にもつながるという。
もう一つの「被災者支援ソリューション生活再建支援ナビ」は、罹災証明迅速化ソリューションと連携し、罹災証明書の交付を受けた各種被災者支援制度の対象者や進捗状況を可視化する。複数部署にまたがる業務を一元化し、どの世帯がどんな支援を受けているか、未対応の支援がないかを関係者で共有。対象者にプッシュ型で支援制度を案内することもできる。両システムは複数の自治体との実証実験をもとに開発された。導入実績も増えているという。

▲動画視聴はこちら
平時の業務の中で情報を整理し蓄積することが備えになる。
震災から2年以上が経過しても、被災地での生活再建支援は続いている。「世間が混乱して情報が交錯する災害直後、自治体職員にかかるプレッシャーは並大抵ではありません。その後の支援活動も長期にわたるものです」と杉浦さん。同県が独自に構築した被災者データベースを運用する中で見えた課題は、次の災害への備えに活かしていく考えだ。
個人情報を適切に取り扱うことを前提に、平時も災害時も切れ目なく活用でき、関係機関が連携しやすいツールや仕組みを整える重要性を谷場さんは強調する。「現場の努力だけに頼るのではなく、仕組みで対応できる状態を整えることが大切。平時から必要なデータが整理され、災害時に業務や関係者と連携できることで、要支援者も把握しやすくなります。重要なのは、情報管理そのものではなく、現場の負担を増やさず支援につなげる“流れ”をつくる仕組みだと考えています」。
お問い合わせ
サービス提供元富士フイルムシステムサービス株式会社












