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対話を重ねていくことで同じ目標を目指す仲間になる

財政・税・会計
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対話を重ねていくことで同じ目標を目指す仲間になる

財政課が考える“予算編成”について聞いた

予算編成における原課と財政課の立場にはどのような違いがあるのだろうか。両方を経験した長岡京市の清原さんと富山市の屋敷さんに、それぞれの視点から語ってもらった。

※下記はジチタイワークスVol.45(2026年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

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京都府長岡京市
元・総合政策部 財政課 課長補佐
(現・上下水道部 上下水道総務課 課長)
清原 茂史(きよはら しげふみ)さん

2013年に長岡京市入庁。税務課を経て財政課に異動し、課長補佐兼係長として財政業務全般を担当。国民健康保険課を経て、2026年から上下水道総務課に所属。著書に「自治体財政課実務ナビ」(学陽書房)がある。

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富山県富山市
元・財務部 財政課 主査
(現・活力都市創造部 まちづくり推進課 係長)
屋敷 昌範(やしき まさのり)さん

2010年に富山市入庁。こども福祉課と交通政策課を経験した後、内閣府地方創生推進事務局に出向。その後、企画調整課を経て財政課に異動し、地方交付税や起債管理などを担当。2026年からまちづくり推進課に所属。

財政課を経験することにより、初めて理解できる感覚がある。

-財政課に異動する前は、“予算編成”や“財政課”についてどのような印象をもっていましたか。

屋敷:予算編成は難しく、財政課は大変そうだという印象でした。交通政策課の頃、サイクル&バスライド用の雨よけ上屋付き駐輪場の整備という予算要求をしたんです。査定の結果、予算が圧縮されて上屋は諦めざるを得ず、もどかしさを感じたことがありました。また、外部講座を受けた際に“財政課は残業が続く時期がある”と聞いていたので、異動を知ったときは覚悟を決めました。

清原:私は、正直なところ、どちらについても具体的なイメージがありませんでした。財政課は大変という話は聞いていましたが、税務課では財政課とのやりとりが少なく、なぜ大変か、どれくらい大変かは知らなかったのです。そのため、異動した1年目は、予算要求をどこまで確認すればいいのかなど、要領を得られないまま終わってしまった感じでした。

-財政課で仕事をしてみて、予算編成に対する考え方は変わりましたか。

清原:はい、自治体全体の予算に対して、当事者意識をもつようになりました。財政課の立場で予算編成に携わったことで、“予算はやりくりして成り立っている”と知ったんです。一見すると毎年問題なく予算を組めているように見える裏側で、実際には地方債の発行や基金の取り崩しなど、いわば借金をしたり貯金を崩したりして、なんとか成立させている。こうした背景を知り、住民から預かった税金をやりくりする責任の重さを実感しました。

屋敷:私も変わりました。自分の課だけではなく全体の予算を考える立場になったことで、要求の“説得力”を意識するようになりました。財源が税金である以上、根拠にもとづいた合理性のある資料でないと、課長から部長、首長へと説明を進める際に、要求が通らないのです。先ほど例に挙げた事業でも、“雨の日に自転車に乗る人がどれだけいるのか”といった視点も必要だったなと思います。

予算編成の捉え方が違うのは、“当たり前”が違うから。

-同じ予算編成に関わりながら、なぜ捉え方に違いがあるのでしょうか。

屋敷:原課と財政課の“当たり前”が違うからだと思います。原課にとっては、現場に必要なものを揃えるのが当たり前。だから課題や背景を踏まえて、事業を立案し、予算要求をします。一方、財政課の当たり前は、限られた財源で自治体全体のやりくりを成り立たせること。要求額の合計が歳入を大きく上まわることもあるので、本当に必要なものを精査し、その差額をどう埋めるかを考えます。

清原:そうですね。財政課は自治体の家計を預かるような部署だから、捉え方が違うのだと思います。例えば、子どもから“おもちゃが欲しい”と言われたとします。自分の財布から出すとなると、本当に使うかなどを確認しますよね。それと同じような感覚で、限られた財源でやりくりをするために、財政課は詳しく聞くのです。

-どのようなことを心がけると当たり前を揃えられるのでしょうか。

屋敷:日頃からコミュニケーションを取ることだと思います。まずは、財政課は予算全体のやりくりをしているんだということを、原課に実感してもらうことが第一歩です。ただ、財政状況を原課に伝えるにしても、“要求額の合計と歳入に数十億の差がある”という話では、金額が大きすぎて自分事になりにくい。部や課単位など、イメージしやすい形で伝えて、認識を近づけていくことがポイントだと思います。

清原:お互いの背景や事情を理解して、予算を一緒につくり上げるという感覚をもつことだと思います。原課は“要るものは要る”、財政課は“ない袖は振れない”で終わってしまうと、平行線のままです。だからこそ、財源を捻出できないか、ほかの方法はないのかなど、一緒に考えることが大事だと思います。

同じ自治体の職員という意識で対話を重ねることが大切。

-2人は日頃のコミュニケーションで、どのようなことを意識していましたか。

清原:お互いの距離ができるだけ近くなるように心がけていました。例えば、内線で済む用件でも、担当者の部署まで足を運んで直接話す。そして“ところで、あの案件は進んでいるの?”など会話をしながら、事業の状況を聞いておく。お互い相談しやすい関係を日頃から築いて、予算編成が円滑に進むよう意識していました。

屋敷:私は、関係性を築くために“話しやすい人”に徹していました。査定の際に事業の背景などを深く理解したいという思いはもちろん、トラブルが起きた場合には、一緒に解決策を探せるよう、できるだけ早く相談してもらえる存在でありたいとも考えていました。

-最後に、ともに頑張る全国の職員へ、メッセージをお願いします。

屋敷:予算編成は、原課と財政課の“当たり前”を揃えることが大切です。財政課は1人で複数の査定に携わり、説明相手の役職も上がっていく。財政課の担当が理解を深めるために、原課は“武器”となる資料を渡し、財政課はその思いも受け取る。その上で“予算を一緒に取りにいこう”とタッグを組んでほしいです。

清原:その通りですね。財政課は敵じゃなく、同じ自治体の職員です。お互いの背景を理解し、どうすれば一つの目標に向かえるかという思いで取り組めば、見え方が違ってくるのではないでしょうか。そして、予算要求の際は、原課の担当者の熱意も判断材料の一つでした。本気で取り組みたいという事業の実現を後押ししたいですから。ぜひ熱意をもって、財政課に思いを伝えてほしいです。


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