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若手のうちに事業立案を経験し予算を“自分事”に変える

予算プロセスを経験しながら事業化を目指す取り組み
福井市では、若手職員が事業を立案し、予算要求書の作成や査定など、一連のプロセスを経験しながら事業化を目指す取り組みを行っている。挑戦を支える仕組みや、経験することで得られる学びについて聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.45(2026年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

福井市
財政部 財政課
主幹 島出 浩太(しまで こうた)さん

福井市
総務部 総合政策課
副主幹 吉田 勇也(よしだ ゆうや)さん
個人提案とチーム提案により新規事業のアイデアを募る。
同市では令和2年度より、若手職員の提案を事業化するために「チャレンジみらい予算」を確保している。若手がチャレンジできる場の創出や政策形成能力の向上を図るほか、柔軟なアイデアを事業化することで、市民生活の向上や地域活性化につなげることも目的だ。
「課題発見から事業実施まで責任をもって実行することで、主体的に動ける人材を育てたいというねらいがありました。通常の業務において、若手職員は基本的に上司や先輩の指示で予算資料の作成を行うので、予算への理解を深める機会にもなればと考えたのです」と、総合政策課の吉田さんは振り返る。
同予算には、個人が自分の所属部署に関する事業を提案する“個人提案”と、自部署や他部署に関する事業を複数人で提案する“チーム提案”の2種類がある。どちらも提案者が事業内容を組み立てて予算要求を行い、財政課による査定を受ける。さらにチーム提案では、財政課の査定後に市長へプレゼンテーションも行う。それぞれのステップを経て、事業の必要性や予算の妥当性が認められれば、事業化される流れだ。「同予算は全体で約3,000万円を見込んでいますが、内容によっては1つの案で500万円を超えることもあります。新たな財源を見つけることも、若手職員に期待する重要なポイントと考え、国や県の補助金などをできるだけ活用して市の負担を抑えてもらっています」。


財政課も伴走支援を行うことで実現可能な案に近づけていく。
この取り組みは総合政策課と職員課、財政課が連携して提案者を支えている。総合政策課は、主にチーム提案において、庁内への参加の呼びかけや事業内容のアドバイスに加え、予算要求前に財政課へ事前相談を行う際の窓口も担っている。職員課では、挑戦しやすい環境づくりを進めている。提案内容の検討などを業務時間内に行えるように、勤務時間の20%以内を担当業務以外に充てられる「福井市版20%ルール」を適用するほか、提案を人事評価における“積極性”の加点対象としているそうだ。
予算に関しては財政課が伴走し、随時相談に応じてアドバイスを行う。「“根拠を示せる資料を用意した方がいい”とか、“職員アンケートをとって現場の声も数字として示せると説得力がある”といったことを伝えています。新規事業として立ち上げるときはよくても、2年目以降に予算が増えるのか減るのか、原課で職員の増員が生じないかなど、継続性についても確認しています」と、財政課の島出さんは話す。さらに、国や県での類似事業の確認や、既存事業との関連性など、より広い視点で助言することもあるという。「提案者に確認を促すと“実は県が似た事業を行っていた”というケースもあります。また、新しく立ち上げなくても、既存の制度対象を広げれば対応できる場合もありますので、そうした選択肢があることも伝えています」。
挑戦から得た新たな視点を将来の予算編成に役立てる。
令和8年度の当初予算に向けた提案では、個人とチームを合わせて24件の予算要求があり、81人がチャレンジした。提案者からは“財政課は、より実現性の高い政策にするための視点をもつ存在だと感じた”“アイデアを事業化するには、客観性のある根拠をもとに考える姿勢が重要だと学んだ”などの声が寄せられているという。
実は吉田さん自身も、提案を行ったことがあるそうだ。内容は、市役所近くのコワーキングスペースを法人契約で借り、そこで仕事をするデザイナーなどと意見交換をしながら政策立案につなげるというもの。結果的に事業化には至らなかったが、得られた学びは大きかったと話す。「かつては何事も“費用をかけないとできない”と思い込んでいる部分がありました。しかし、まずは費用を使わないことを前提にしながら、それでも資金を投じることでどのようなプラスの効果が得られるのかを考える。その視点の大切さを知ったのは、貴重な学びになりました」。
島出さんは財政課として、予算についての考え方を若手職員に共有できることに意義を感じているという。「通常の予算要求とこの取り組みで、求めるものは大きく変わりません。課長から部長、そして市長へと提案を通していくためには、根拠資料や現場の声など、客観的に説明するための準備が必要です。この経験を通じて、予算を“自分事”として捉えてもらい、若手職員が今後担うであろう予算編成に活かしてほしいと思います」。













