※下記はジチタイワークスVol.18(2022年3月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
第1回 千葉県松戸市 総合政策部 すぐやる課
interview
課長 栗田 友樹(くりた ともき)さん
暮らしに潜む危険や不快があれば現地に駆けつけ、迅速に解決する!
大手ドラッグストアの創業者である元市長が残した「すぐやる課」のモットーは、その名の通り、住民の困り事を速やかに解決すること。機動力が自慢の課が、実際にどういう取り組みを行っているのか?その実情に迫る。
Q.発足の経緯や名前の由来、具体的な取り組みは?
A.住民の身近な困り事を迅速に解決する目的で発足しました。
松戸市は昭和30年代の高度成長期に、東京のベッドタウンとして発展しました。急速な人口の増加に伴い、道路・下水道・学校などのインフラ整備を進めましたが、都市化の波にまちづくりが追いつかない状況でした。こうした中、住民の身近な問題だったスズメバチなどの巣の駆除、U字溝などの破損や詰まり、道路上の動物の死体処理などについて、“たらいまわしにせず”“迅速な解決を図る”ことを目的とし、昭和44年に「すぐやる課」が発足しました。発案したのは、大手ドラッグストアの創業者でもあり、当時の市長でもあった松本 清さん。課名の由来にもなった「すぐやらなければならないもので、すぐやり得るものは、すぐにやります」という教訓のもと、住民の依頼には、原則として当日もしくは翌日中に現地を確認し、対応しています。
各職員が必要な技術を磨いていること、専門的な道具を準備万端整えておくこと、この2点が速やかに行動できる理由です。当課での対応が困難な依頼であっても、話を聞いた上で担当課につなげる“ワンストップ窓口”としての役割を果たしています。
Q.当時は画期的な課として他自治体に注目されたのでは?
A.視察は250団体を超え、アジア各国からも訪れました。
昭和50年には、当課の後に続いて、315の自治体で類似の部署や課が設置されたそうです。国内外を含めた多くの視察を受け入れ、ドラマや舞台などの題材になったとも聞いています。その後、縦割り行政が改善されて部署や課が整備されたことにより、ほかの自治体では、その多くが役割を終えて廃止されてきました。しかし、松戸市では“元祖すぐやる課”として残されており、組織変更など多少の変化はありましたが、業務そのものは当初からほとんど同じです。
私たちが大切にしているのは、住民との対話。小さな困り事であっても、できるだけ現地に赴き、相手の身になって考えることが、自治体ゆえの価値だと信じています。対応の早さと安心感を持ち味に、住民にとって頼れる存在であり続けたいです。
危険回避と不快処理が主な業務。写真は、道路補修の様子。