【宮嶋 拓郎さん】ラップをはじめクリエイティブな活動を展開する県職員。
3,000m 級の山々や清流などの自然に抱かれ、森林が約8割を占める長野県。県職員ラッパ―として知られる宮嶋さんは、一般的な公務員のイメージとは違う、ブラックTシャツと帽子のクールな姿で、愛する長野県をより良くするための戦略を語ってくれた。
※下記はジチタイワークスVol.16(2021年10月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
長野県 林務部 森林づくり推進課 鳥獣対策・ジビエ振興室
宮嶋 拓郎 さん(入庁10年目)
平成27年に宮嶋さんの呼びかけにより、4人の県職員によるラップグループ「WRN」(We Respect Nagano=長野県を誇りとする)を結成。県の魅力をPRするオリジナルの20曲に、映像を合わせてYouTubeで公開し、ライブやイベント(写真左)でも披露している。ほかにも、アパレルデザインや販売、WEBデザイン、イベントの運営企画など幅広く活動。「全て長野県の今と未来のためにやっています」と胸を張る。
曲や動画で県の魅力をPR。
登山やスキーが好きで、地元のために働きたくて県職員になりました。ラップ活動を始めたのは、行政に興味のない人たちにも県の取り組みや思いを知ってほしかったから。これまでに、若手農家の交流会の企画など様々な情報を発信してきましたが、県民に“私たちの声が届いていない”と危機感を持ったのです。その打開策として、ラップに目をつけました。
当時、世の中ではラップや動画が流行っていて、情報発信にはこの時流に乗った手法が効果的だと考えました。そこで、まずは自身がそのスキルを身につける必要があるとし、同世代の職員に声をかけ、グループを結成。手探りの中、県の魅力や環境保全などをテーマに曲をつくりました。映像の撮影・編集も始め、You Tubeでミュージックビデオを公開すると徐々に話題となり、約6,000人が集まるフェスにも参加。普段接することのない分野の方々とも交流ができ、ダイレクトに県の思いを伝えやすくなったと実感しました。
平成30年には、県が副業を認める制度を策定。曲の配信やアパレル販売、映像制作などで収入を得ることが可能になったおかげで、幅のある活動を継続できています。
持続可能な事業をつくる。
本業では、野生動物の狩猟者育成と、ジビエの消費拡大を担当しています。狩猟を“イケてるアウトドア”と捉え、狩猟ワークショップの開催や、セレクトショップと共同で鹿肉カレー缶詰の開発もしています。また、県内の有名シェフに家庭で簡単にできるジビエ料理をつくってもらい、レシピをグルメ雑誌に掲載。スーパーでのジビエ販売の促進につなげるなど、副業により得られた人脈を活かし、新しい切り口での課題解決を図っています。
これらの事業を担当するにあたり、私が特に重視しているのが、“税金に頼らず自走できる仕組み”を構築することです。最初に税金を投入しても、持続していかない事業は意味がありません。公務員とはいえ、“コスト意識”と“起業家視点”を持ち、“事業が自走できること”を前提とした税金の使い方を考えることが必要だと思います。
特に、若手職員の方が今後新たなことに挑戦する際は、まず時流を読んだ上、自分の得意分野にひもづくような“職場外”の人と、ぜひ交流を図ってみてください。そして、その経験や人脈を、次は本業に反映させる視点を持ってみてください。すると、仕事がさらに楽しくなり、モチベーション高く働けるようになるはずです。
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