ジチタイワークス

【八木 春香さん】公務員、ベンチャー派遣研修する。

経済産業省のベンチャー派遣研修第一号として、民間企業の「メルカリ」へ。研修中は驚きの連続だったと話す八木さん。その経験を通して得た学びや変化とは。

※下記はジチタイワークス公務員特別号(2021年3月末発行)から抜粋し、インタビューの内容やプロフィールは原稿作成時(同年2月中旬)のものです。

経済産業省
大臣官房秘書課 課長補佐
八木 春香 さん

やぎ はるか:2011年、経済産業省に入省。製造産業局自動車課に配属後、原子力規制庁出向時には震災後初めてとなる川内原発での原子力防災訓練実施に携わる。製造産業局紙業服飾品課を経て、2015年、産業技術政策局総務課にてイノベーション政策の推進等を担当。2017年、経済産業政策局経済社会政策室にて、ダイバーシティ・女性活躍の推進に係る政策立案業務に携わった後、2018年8月から2019年3月まで「経営現場研修」として「株式会社メルカリ」に企業派遣。経産省に戻った後、新卒・中途採用と省内の働き方改革に従事。現在は育児のため休業中。


“誰もが意見しやすい”環境・関係づくりの大切さが大きな学び。

Q.民間企業で働くことになったきっかけを教えてください。

経済産業省(以下、経産省)が行っているベンチャー企業での経営現場研修に応募したのがきっかけです。力をつけたいという若手職員のモチベーションを組織として後押ししつつ、ベンチャー企業の持つ変革マインドや最先端の知見を組織還元することを目的とした研修です。私は、規模が大きく多くの人が働いているにも関わらず、ベンチャー企業特有のスピード感を維持しつづけるメルカリの、経営現場や働き方の実際を知りたいと思い、手を挙げました。

Q.メルカリで働いてみて得た新しい気づきや学びとは。

まずは意思決定の早さに驚きましたね。そして、とても働きやすいと感じました。具体的には、アイデアや意見を伝えやすく、上司に「こんなことを言ったらバカにされるかも……」といった不安がない。コミュニケーションに負荷を感じないという意味の“心理的安全性”があることに感動しました。ただ、このオープンでフラットな組織のあり方は、中で働いてみると、自然にできたものではなく、努力の賜物であることが分かる。例えば、Slackで全社員が業務内容をオープンに共有することや、上司と部下が定期的に1on1を行うことが推奨されていましたが、それらは企業として心理的安全性のある働き方を重視し、そこにコストや時間をかけている印。その結果としてスピード感が保たれ、一体感が生まれ、新しいことに挑戦できる。経産省でも、この組織のあり方は真似したいと思いましたね。

実際に戻った後、学んだことを職場でも試しました。まずは心理的安全性を組織内に浸透させようと考え、月に1回、課の職員一人ひとりに心理的安全性に関する簡単な質問に答えてもらい、それをマネージャーへフィードバックするというサーベイを試行しました。また、昨年度は1on1を組織全体で試験導入しました。評判も良く、現在は人事部局から定期的に1on1導入の研修を実施し、文化としての定着を図っています。どちらも継続しながらブラッシュアップしていこうと考えています。

Q.外に出てみて、公務員という仕事について感じたことは。

企業では利益を考えねばなりませんが、私たちは“社会を良くするためにどうすればいいか”を純粋に追求できます。それに、法律や制度など、社会の仕組み側から変えることができる。ずっと省内にいると感じにくいのですが、それってすごいことだなと。一度外に出たからこそ、公務員として働く意義を改めて感じることができました。

実は私、この研修へ行く前まで「私なんかが何か言ってもしようがない病」でした(笑)。自分の意見で何かが変わるわけがないと思い込んでいて。そんな自分を変えたいという思いもあり、研修に参加したんです。経産省は省庁の中でも柔らかい方だと思いますが、私は勝手に“自由に意見しにくい雰囲気”を感じてしまっていました。公務員の皆さんには、私と同じように感じている人も多いのではないかと……。

そういう意味でも、この研修は私自身を“変える機会”になりました。研修後、実際に何か新しいことを意見したり、行動を起こしたりしてみると、私の話を聞いて協力してくれる人が周囲にいることが分かったんです。つまり動きを阻んでいたのは自分自身だった。皆さんも、何かしたいと思うことがあれば、くすぶらず、勇気をもって一歩を踏み出してみてほしいと思います。

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