ジチタイワークス

岐阜県中津川市

公共交通オープンデータの活用で市民の足を守り定住できる街づくり! ~インターネットによるバス経路検索充実に向けた取り組み~

取組概要

移住定住を推進するためには公共交通網の維持が必要とする基本方針を掲げた地域公共交通網形成計画を策定。計画に基づく取り組みとして、国土交通省が策定した「標準的なバス情報フォーマット(GTFS-JP)」を整備し、市内を走る民間路線バスの北恵那バスと、市コミュニティバスについてインターネットによる経路検索を可能とした。

この取り組みをきっかけに、交通事業者と中津川市がそれぞれGTFS-JPをオープンデータ化。オープンデータとICT技術の活用による「地方バスの活性化」に向けて積極的に取り組み、衰退傾向の続く地域住民の足である地域公共交通網の維持・活性化を目指している。

わかりやすく使いやすい公共交通サービスの提供を行うことで利用者を確保し、公共交通網の維持につなげます。そして、公共交通を必要とする人が安心して移動ができ、中津川市をいつまでも住み続けたい街、住んでみたい街」にすることを目指して取り組みを行っている。

取組期間

平成30年度から(継続中)

※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2020」の応募事例から作成しており、本記事の内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。

背景・目的

■地方都市(田舎)が抱える公共交通の課題
中津川市では他の地方都市同様、市民の日常生活等の交通手段は自家用車の利用が中心であり、公共交通、特に路線バスの利用者は年々減少傾向が続いている。利用者の減少により、収益減少、さらにはバス路線の撤退といった負のスパイラルに陥り、既存の公共交通網を維持することすら困難な状況になりつつある。
しかし、学生や来訪者、観光客の移動には、公共交通の存在は欠かせない。このような厳しい状況の中でも、住民の足を守ることが求められている。



■地域一丸で公共交通に取り組む
中津川市では、移住定住を推進する「定住推進課」が公共交通を担当している強みを生かし、地域公共交通施策を通じて定住人口の増加につなげる取り組みを行政のみならず地域の交通事業者や地域住民が一体となって協働し実施。
公共交通の利便性を高め、利用者を増やすことによって地域公共交通網の維持を図り、地方創生に向け、この土地で今住む人達が安心して暮らしていけるための基盤を構築していくものである。



■ネットで検索できないバスは走っていないのと同じ!
近年のスマートフォンの普及により、外出時にインターネットによるバス経路検索を行うことが一般的になっている。鉄道や大手バス路線は広くカバーされる一方、中小バス路線は検索対象から外れているケースが多いのが実情だ。経路検索ができないバスは走っていないのと同然であり、公共交通利用者が減少傾向にある中、潜在的な利用を失う一因と考えられる。また、本市の観光地・旧中山道馬籠宿には、欧米からの観光客が路線バスを利用して多数訪れることから、多言語での公共交通情報の発信も求められていた。

取組の具体的内容



事例1 インターネット経路検索への対応 
国土交通省が、2017年にバス事業者と経路検索事業者との間でデータの受け渡しをするための「標準的なバス情報フォーマット(GTFS-JP)」を定めた。これを受け、中津川市では2018年に市内を走る民間路線バスの北恵那バスと、市コミュニティバスのGTFS-JP整備を進めた。データは経路検索事業者などに提供し、インターネットによる経路検索が可能となった。



事例2 デジタルサイネージでバス情報を提供
GTFS-JPを基礎データとし、バスに搭載したGPS機器から取得した位置情報(緯度経度)を組み合わせ、バスの遅れを加味した到着時間を案内するデジタルサイネージを市内の病院に設置。夏の暑い日や冬の寒い日でも到着時間の直前まで過ごしやすい病院内で待つことができるようになり、バスの到着時間も正確にわかることで、利用者の利便性向上につながった。

事例3 バスロケーションサービスでバスの魅力を引き出す
GTFS-JPを活用し、「クリスマスバス」の現在位置を地図上に表示するバスロケーションサービスの実証実験を行った。クリスマスバスというイベント性のある取り組みと、情報発信手段のバスロケーションサービスを組み合わせることで、単なる移動手段ではない「愉しみの公共交通」を創出し、公共交通の魅力を引き出す可能性について示した。

特徴(独自性・新規性・工夫した点)

■自分の街だけの取り組みではダメ!
人の移動に市町村の境界は関係ない。中津川市内の公共交通のみを経路検索できるようにするだけでは、その効果は限定的である。中津川市周辺を運行する交通事業者や自治体にもインターネット経路検索への対応を働きかけ、継ぎ目なく経路検索ができるようデータ整備に協力している。

■ワンソース・マルチユースで地方バスの活性化
GTFS-JPは交通事業者と中津川市がそれぞれオープンデータ化した。インターネット経路検索への対応だけでなく、デジタルサイネージによるバス情報案内やバスロケーションサービス、公共交通によるおでかけ情報の発信など、「ワンソース・マルチユース」で公共交通オープンデータを活用した地方バスの活性化に取り組んでいる。



■交通事業者の生産性向上も!
中津川市でのGTFS-JP整備をきっかけに、交通事業者では、今まで経験と勘に基づく職人技で行っていたダイヤ編成作業や車両・運転士の管理をシステム化。運行計画の策定を行えば自動的にGTFS-JPが生成される体制を整えた。
今後ベテラン職員の退職や人員不足などが予想される中、ICT技術の活用で交通事業者の生産性向上・業務効率化も目指している。

取組の効果・費用

■誰もが利用するアプリで経路検索ができる強み
中津川市が行った調査では、外国人回答者の2割以上が馬籠行きバスをGoogle経路検索で知ったと回答があった。特に20 代では4割を超える結果となり、Google経路検索が可能となることは、国内外を問わず公共交通利用環境の改善につながったといえる。





■データ整備に要した費用はゼロ!
GTFS-JPは市職員が作成したため、特別な費用は必要としなかった。その一方、市内に旧中山道馬籠宿という訪日外国人旅行者が多く訪れる観光地を有する中で、データ整備による多言語検索に対応したことで大きな効果を上げている。整備されたデータの活用によって利便性が高まり、公共交通利用者の増加も期待できることから、地域公共交通施策としての費用対効果は絶大である。

取組を進めていく中での課題・問題点(苦労した点)



■事業継続性を担保する人材育成
MaaS時代の情報インフラとして重要となるGTFS-JPは、データ整備後も継続して更新ができる体制を構築することが求められる。
データ整備勉強会を定期的に開催したり、交通事業者がICTを活用した業務改善に向けた人材育成に取り組んだりと、事業の継続性を担保する取り組みが必要と考え、関係各所へ働きかけを行った。

【課題解決に向けて】
・岐阜県庁へ働きかけ、県内市町村担当者向けデータ整備勉強会を開催。
・各地で行われるデータ整備勉強会やシンポジウムで中津川市の事例を紹介し、全国へ横展開を図る。

今後の予定・構想

■バスデータと位置情報の活用で利便性と生産性の向上へ!
バス車両から送られるバス現在位置情報(緯度経度)をもとに、バス到着時間の遅れを反映した最新の公共交通情報を提供。(バス利用者利便性向上)
交通事業者では、バス現在位置情報を活用し、運行管理者がバスの運行状況をリアルタイムで把握することや、バス走行データを蓄積し、定時性を向上するためのダイヤ編成に生かしていくことも検討している。交通事業者のICT化により“人にしかできない仕事”に注力できる環境を創出する。(交通事業者生産性向上)

■目指すのは住み続けたい街。住んでみたい街にしていくこと
データ整備やオープンデータ化、ICTの活用は、私たちにとっては手段のひとつでしかなく、それらを行うことが目的ではない。ICTの活用を通じて、わかりやすく、使いやすい公共交通サービスの提供を行うことが利用者の確保へとつながり、地域公共交通網の維持にもつながる。交通事業者や地域の方と連携し、公共交通を必要とする人が、安心して移動ができる街にする。そして、中津川市をいつまでも住み続けたい街。住んでみたい街にしていくことが、私たちに課せられた使命だと考えている。

他団体へのアドバイス

■経路検索だけじゃない!データの活用へ
標準的なバス情報フォーマット(GTFS-JP)の整備とオープンデータ化は、Googleマップをはじめとするインターネット経路検索への対応ができるという明確なメリットから、2020年7月現在で273事業者へと増加中だ。しかし、日々担当者は様々な業務を抱える中で「経路検索に載せる」ためだけにデータ整備をするのであれば、データを作る(余分な?!)仕事が増えるだけである。
公共交通データ整備やオープンデータ化はひとつの手段であり、それらを実現することがゴールではない。データを活用して付加価値を生み出し、地方バスの利便性向上と活性化、業務改善に向けた取り組みにつなげていくことが大切だと思う。

取組について記載したホームページ

■中津川市の公共交通の取り組み(まとめページ)
→ http://www.city.nakatsugawa.gifu.jp/page/082608.html
■公共交通オープンデータ“最先端田舎”への挑戦
→ http://www.city.nakatsugawa.gifu.jp/page/083350.html

問い合わせ先

岐阜県 中津川市 定住推進課
電話番号 0573-66-1111

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