取組概要
災害時に極めて重要となる「情報の伝達」について、同報系防災行政無線屋外スピーカーをはじめ、携帯電話やテレビ、ラジオなど様々な手段を活用した緊急防災情報伝達システム整備を進めている。その一環として、コミュニティFMのエリア拡張や緊急時に自動で起動して緊急防災情報を伝える「緊急告知ラジオ」の販売を実施している。これに合わせて、コミュニティFM放送での防災啓発番組の充実を図っている。
取組期間
平成29年度~(継続中)
※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2020」の応募事例から作成しており、本記事の内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。
背景・目的
同報系防災行政無線の老朽化により、防災情報伝達手段の再整備が喫緊の課題であった。防災情報伝達手段の再整備を計画するにあたり、費用対効果を踏まえたうえで、同報系防災行政無線だけでなく、様々な情報伝達手段を活用することで、住民の多様化するライフスタイルに対応した整備を目的とした。
取組の具体的内容
今治市は平成17年1月に島しょ部、山間部を含めた12市町村が合併した。コミュニティFMである「エフエムラヂオばりばり」は、合併前の旧今治市内を放送エリアとして、平成14年に開局した地域資源であった。
今治市緊急防災情報伝達システムは、携帯電話、TV等様々なツールを複合したものであり、中でも同報系防災行政無線屋外スピーカーとコミュニティFMが大きな柱となるが、コミュニティFMの現状として、可聴区域が旧市域に限定されているため、エリアを拡張する必要があった。そのため、国の「無線システム普及支援事業費等補助金」と合わせて、市が補助金を支出し、5中継局を整備することで、市内全域に可聴区域を拡大した。このことにより、同報系防災行政無線と連動して緊急防災情報がコミュニティFMでも流れるようにした。
同時に、緊急情報等があった際に自動起動する「緊急告知ラジオ」を市が安価で販売する、ライフスタイルに応じて必要とする人が購入する仕組みとすることで、全戸配布と比べて自治体の事務負担・費用を削減した。
特徴(独自性・新規性・工夫した点)
1台あたり定価約1万円の緊急告知ラジオを住民に対して2,000円(税別)で販売しており、1世帯当たりの販売台数の制限は無い。緊急告知ラジオや戸別受信機を1世帯当たり1台しか配布していない自治体も多く、例えば居間に設置していた場合、寝室で寝ている時間帯等では気づかないといった問題があるが、当市では1世帯何台でも購入することができるため、居間や寝室など複数の場所に設置することができる。
また、緊急放送を聞き逃した方に対して、放送内容確認専用電話回線を整備しており、放送内容を聞き返すことができる。
取組の効果・費用
全戸に同報系防災行政無線の戸別受信機を設置した場合、機器代とアンテナの設置などに費用が掛かり、数十億円の費用を要するが、緊急告知ラジオは、戸別受信機に比べ安価で、ほとんどの場所でアンテナの設置も不要、さらにライフスタイルに応じて「必要とする人に販売」という形をとることにより、整備に係る費用を大幅に削減することができた。(令和2年6月末時点で9,279台を販売済)
取組を進めていく中での課題・問題点(苦労した点)
コミュニティFMの可聴区域の拡張が課題であったが、国の「無線システム普及支援事業費等補助金」と合わせて、市が補助金を支出することにより、可聴区域を拡大することができた。
緊急告知ラジオに関しては、どのように住民へ配布していくかが課題であったが、全戸へ配布するのではなく、ライフスタイルに応じて必要な人が購入する「販売」という形をとったことで、自治体の事務負担・費用を減らし、必要としている人が活用できる仕組みを作ることができた。
今後の予定・構想
FM放送の電波の受信状況が悪い地域があるため、それらの地域への電波調査を実施し、その結果に基づいて対策等を検討していく。
他団体へのアドバイス
戸別受信機等を無償で配布をしている自治体も多いと思いますが、住民の方で一度も箱から出していないといった方もおられるのが現状だと思います。販売という形をとることで、本当に必要としている方に購入・活用していただくことができ、自治体の負担も大幅に削減できると思います。
取組について記載したホームページ
https://www.city.imabari.ehime.jp/bousai/parts/radio.pdf?1
問い合わせ先
愛媛県 今治市 防災危機管理課
0898-36-1558