ジチタイワークス

大分県別府市

ローコード・ノーコード開発で行革を ~自分たちで課題を見つけ、自分たちで解決策を考える、自立した自治体を目指して~

取組概要

■ ローコード(又はノーコード)を活用し、職員の手作り(内製)で行政改革に取り組んでいる
■ 利用しているツールは、RPAとkintone(及びkintone連携ツール)
■ どちらも、ローコード(又はノーコード)でシステムを構築し利用できる
■ 内製だから「いいものができる」、「すぐにできる」、「効果が大きい」
■ 内製の取り組みは「自分たちで課題を見つけ、自分たちで解決策を考え、実行に移していく」風土を醸成する
■ その風土が、各職員が、課題を自ずから考え、変革に取り組む、自立した自治体へと繋がっていく

取組期間

■ 活用したICTツールは「RPA」と「kintone(及びkintone連携ツール)」
■ RPAは、令和元年度から継続中
■ kintone(及びkintone連携ツール)は、令和2年度の取り組み事例
 ※kintone:サイボウズ株式会社が提供しているWEBデータベース型の業務アプリ構築クラウドサービス

※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2020」の応募事例から作成しており、本記事の内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。

背景・目的

■ 令和元年6月別府市では、全国の自治体に先駆け「BEPPU×デジタルファースト」を宣言した
■「BEPPU×デジタルファースト」は「デジタルのちから」を活用し、市民サービスの向上、生産性の向上、働き方改革などを目的としたものである
■ その取り組みの一環として「RPAの活用」及び「オンライン申請・インターネットでの情報提供(kintone及び連携ツールで実現)」を実施している
■ 「RPA」の目的は、定例的な作業における職員の作業時間を縮減し、職員でなければできない市民サービスに注力することを目的としている
■ 「オンライン申請・情報提供(kintone及び連携ツールで実現)」は、コロナウイルス対策として三密を避けるため、市役所にこなくても行政サービス(申請や手続き)が行える仕組みの構築を目的としている

取組の具体的内容

① RPA
■ 平成30年に試行を行い、RPAの進め方の手法・運用方法を確立(試行結果は当市HPで公開)
■ 令和元年5月より本格運用を開始
■ 令和元年度の実績は、34業務(4課)でRPAを活用し、職員の作業時間1,715時間を縮減した(縮減率80.6%)
■ 令和2年度も継続して対象業務の拡大を図っており、6月末時点で、10業務にRPAを活用し、職員の作業時間552時間を縮減した(縮減率87.1%)
■ RPAを活用した44業務のうち40業務のRPAシナリオは当市職員の内製(情報部門2名、業務部門1名)



■ RPAシナリオの実行については、実行のみ可能なRobotを各課に配置し行っている
■ 令和2年度は、現時点も複数RPAシナリオを作成中(凡そ、2,3日あればRPAシナリオはできます)
■ 令和2年度は、RPAへの入力データのデジタル化を目的としてAI-OCRの活用を行う計画(令和元年度実証を行った)


② オンライン申請・情報提供(kintone及び連携ツールで実現)

■ コロナウイルス対策として、電子申請システム(大分県内共同利用、従来から利用)により市民からの申請や届け出をインターネットから受け付ける仕組み(3種類)を構築・活用した
■ 電子申請システムは単に、インターネットから申請を受け付け、CSVデータを出力する機能のみであり、申請されたデータを活用するなど次の処理につなげるなどはできない

そこで

■ Kintone(及びkintone連携ツール)の利用を開始した(クラウド、サブスク)
・Kintone:サイボウズ株式会社が提供しているWEBデータベース型の業務アプリ構築クラウドサービス
・KViewer:トヨクモ株式会社が提供する、kintoneで管理しているデータをインターネットに公開するページを作成できるサービス
・FormBridge:トヨクモ株式会社が提供する、WEB上に公開する入力フォームを作成でき、入力されたデータはkintoneに保管できるサービス

■ kintone(及びkintone連携ツール)で構築した仕組みは以下のとおり
【避難所関連の情報の公開と登録業務】
①避難所ごとの避難者数をインターネットに公開する仕組み(三密を避けるため)【作成1日程度】
②避難所ごとの避難者数をインターネットから登録できる仕組み【作成半日程度】
③避難を行う者の事前登録をインターネットからできる仕組み(来る人の把握ができ事前準備ができる)【作成1日程度】
④すべて内製で構築(情報部門2名)

【クーポン券の販売予約と販売管理業務】
①コロナウイルス対策として市独自のクーポン券(エール食うぽん券)の事前予約をインターネットから 行う仕組み【作成2日程度】
②予約情報を参照し販売を行い、販売に関する情報を追加登録する仕組み【作成2日程度】
③クーポン券対象店舗条件(コロナウイルス対策を実施していること)の利用者レビューをインターネットから行う仕組み【作成半日程度】
④すべて内製で構築(情報部門2名)

特徴(独自性・新規性・工夫した点)

① 職員の内製にこだわる
■ 内製により「いいものができる
・原課の要望を聞き、まずシステムを構築し、それを見てもらい再度修正していく作業を繰り返していくことにより、原課の要望にあったものが作成できる
・機能が豊富というわけではなく、利用者が開発時に早期から深く関わるので納得した機能となっている
■ 内製により「すぐにできる
・委託先の企業など関係する人が少ないので、打ち合わせながら修正などの作業が実施できる
・RPAシナリオでは2日程度で作成できる
・kintone(及びkintone連携ツール)では3日程度で作成できる
■ 内製により「効果が大きい
・職員による内製により作成するためコストを抑えられ、品質が良い
・自分たちの業務を自分たちで変えること、を実感できる
■ 内製の考え方
・まずは、情報部門で内製を行い、市全体として内製をどこまで進めるのが効果が最大か検討
・利用するツールによって内製の取り組み方は異なると考えている
・RPAについては作成は情報部門、運用について業務部門で実施することが最も効果的と判断
・適用事例を公表し自分たちの業務で利用を検討し、利用事例を増やしていく

② 課・職員のやる気を引き出す
■ RPAについては全庁的な説明は行わず、対象課を絞りながら徐々に拡大を図ってきた
■ RPAの利用を積極的に進めていくのではなく「各課から、職員からRPAを利用したい」という流れを作ることに心がけた
■ まず、課内の全職員に対してRPAの説明を行う、RPAの機能と効果を理解してもらった上で、自分が行っている業務でRPAを利用したいものを考えてもらい、RPAの適用を図っていく
■ どんなに効果が小さくても、職員がやりたいと考える業務があれば対応している
■ RPAを利用することで「こんなに楽になるんだ」という実感を体感してもらう
■ 現在は、口コミで広がり「やりたい」という気持ちを持つ課からの相談を契機とした対応が中心

③ すぐに利用できること
■ すぐに業務で利用できることを心掛けた
■ 最初の段階で100点を目指さず、運用しながら修正していく前提で早めに作成し、早めに運用していく
■ 例えば、RPAシナリオを作成するとき、処理後の確認メッセージが表示されるような場合、すべてのメッセージを最初から対応しようとせず、運用を重ねて徐々にメッセージに対応していく
■ スピード感としては、職員がやりたいと発意してから、概ね1週間以内に業務で利用できること

取組の効果・費用

① RPA
■ 定量的効果
・職員の作業時間の縮減効果2,267時間
・効果額 令和元年度 1,715時間×3,127円(*1)= 5,362,805円
     令和2年度  2,267時間×3,127円(*1)= 7,088,909円(6月末時点の効果額)
     合計                 12,451,714円
■ 定性的効果(RPAを活用した職員の意見)
・削減された作業時間で窓口対応や電話対応の支援を行うことができるようになった
・削減された時間を利用し、説明用のチラシ(保険税の試算表等)を作成し説明したことで、窓口業務におけるわかりやすい説明につながった。
・入力後の確認を確実に行うことができるため作業品質が上がったと感じる。
・これまで手作業での実施しか選択できなかったが、RPAの利用を前提に業務の処理方法を考えることができるようになった。
■ 心理的効果(RPAを活用した職員の意見)
・勤務時間内の端末による確認作業や入力作業は、窓口対応や電話対応で中断することが多く、作業効率が悪い上に入力ミスをする危険性を心配していたが、RPA 化することによりそのような心配はなくなった。
・RPA を利用することで正確に入力できるという安心感があり心理的負担が減った。
■ 費用
・令和元年度: 4,400,000円(RPAライセンス費用を含む)
・令和2年度:  8,536,000円(RPAライセンス費用、AI-OCR使用料を含む)
    合計  12,936,000円

② オンライン申請・情報提供(kintone及び連携ツールで実現)
■ 開発した仕組み
【避難所関連の情報の公開と登録業務】
①避難所ごとの避難者数一覧をホームページで公開する仕組み
②避難所ごとの避難者数をインターネットから更新する仕組み
③避難所に避難する予定者数の入力をインターネットから行う仕組み
【クーポン券の販売予約と販売管理業務】
④エール食うぽん券(別府市独自のクーポン券)の購入予約をインターネットから行う仕組み
⑤エール食うぽん券(別府市独自のクーポン券)の販売時に予約情報を参照し本人確認し、販売に関する情報を追記登録する仕組み
⑥エール食うぽん券参加店舗のコロナウイルス対策状況の評価をインターネットから行う仕組み
■ 定量的効果(エール食うぽん券のインターネット予約で試算)
・エール食うぽん券のインターネット予約件数と電話予約件数は、約3:1
・すべて電話予約で対応した場合は現状の3倍の費用が必要(※これを効果額と算定)
・電話予約、1日8時間、5回線5人、1か月間対応:1,000,000円(8時間×5人×1000円×25日)
・すべて電話予約した場合、3倍の費用が必要  効果額3,000,000円
■ 定性的効果
・インターネット予約は24時間、365日予約することができる(電話予約は9:00~17:00まで日曜日は非対応)(エール食うぽん券の予約のみを考慮)
■ 費用
・上記5つの仕組みを構築するのに必要な経費 41,800円/月(税込)
 【内訳(税抜)】
 ・kintoneライセンス                : 9,000円/月(10ライセンス)
 ・kintoneの情報をインターネットに公開する連携ツール:15,000円/月
 ・kintoneに情報を登録できるフォーム用の連携ツール :14,000円/月

取組を進めていく中での課題・問題点(苦労した点)

新たなことをやるときに一般的に言われる課題「人材」、「体制」、「予算」

「人材」:まずはやってみた。
情報部門の職員を担当とし、一緒に作業を進めながら技術の取得を図った。
RPAについては、希望する業務が多く内製として作成できる職員が限られているのでリソースが不足した。対応として、委託業者に一部のシナリオの作成を依頼している。

「体制」:情報推進部門の内部で職員の負荷を調整しながら推進している。
「BEPPU×デジタルファースト」が追い風となり、次年度推進部署(係)が新設される予定。

「予算」:サブスクリプション形式の製品は試用期間が設けられているものが多く、まずは試用版を利用し取り組んだ。特にRPAは試用版の延長を何度か申し込んだ。試用版で実績を作ることにより予算要求もとおりやすかった。

■ RPAやローコード開発(JavaScriptカスタマイズ等)実施時に、技術的な課題に当たる場合がある。そのような時はインターネットで事例の検索を行い対応しているが、今後、対応ができない複雑な場合が想定される。対応として、委託企業に支援を依頼できるようにしている。

■ 先進的な取り組みのため、機能や効果が理解されていない状況であり、導入に対して積極的ではない部署があった。対応として、まずは実績が必要と考え、最初の取り組みを必ず成功させることに全力を尽くした。

今後の予定・構想

① RPA
■ 対象業務の拡大を継続して図る(令和2年度は福祉部門を中心として拡大を図る)
■ 特に数値目標はなく、希望する業務に技術的に可能であれば適用していく
■ 令和2年度、AI-OCRを導入する計画(令和元年度試行し、現在作業中)
■ RPAのシナリオ作成を業務部門で実施していくのか検討中(全体が楽になる方法は何か)

② オンライン申請・情報提供(kintone及び連携ツールで実現)
■ コロナウイルスを契機として、市役所にこなくても済む仕組みの構築に取り組んでいく
■ 電子申請システム、kintone(及びkintone連携ツール)、また、別途、構築予定であるLINEを活用した申請受付などを適材適所に使い分けながら、市役所に来なくてもサービスの提供ができる仕組みの構築を図っていく
■ 各課の要望を聞きながら、適切な解決策を提示するときの選択肢の一つとして活用していく
■ 本ツールの利用を業務部門に推進していくことを検討中

他団体へのアドバイス

■ やりたいと思ったらすぐに着手することができる
・試用版や無料版がある場合が多いので、やりたいと思う業務があれば、すぐに着手することができる
■ 内製はそれほど難しいものではない
・内製についても難しくないと思う。例えばRPAであればEXCELのマクロが作成できるのであれば大丈夫だと思う。
・インターネットに多くの情報がある。多くの課題はインターネットを検索することで解決できる。逆に、インターネットの情報が多いツールの利用をお勧めする。
■ 詳細な計画は作らず、気軽に取り組むことを勧める
・計画を立てて進めていくことは重要だが、新たな技術や新たな取り組みは、効果や負担を事前に想定することは困難と思う。まず、取り組んでみないと実情にあった計画も立案できないと思う。
・まずは、新たな技術を使ってみる、そのような気軽な考えで取り組まれることを勧める。

取組について記載したホームページ

■ BEPPU×デジタルファースト宣言
  https://www.city.beppu.oit.jp/sisei/kakusyukeikaku/digital_first.html
■ 平成30年度に実施したRPA試行結果報告書
  https://www.city.beppu.oit.jp/sisei/kakusyukeikaku/rpa.html

問い合わせ先

大分県 別府市 情報推進課
電話番号 0977-21-1124

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