ジチタイワークス

愛媛県松山市

離島高校へあたたかい給食を!

取組概要

愛媛県立松山北高等学校中島分校(以下、「中島分校」という。)の希望者に対し、松山市中島学校給食共同調理場(以下、「中島調理場」という。)から給食を提供する。

取組期間

令和元年9月~(継続中)

※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2020」の応募事例から作成しており、本記事の内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。

背景・目的

・中島分校のある中島本島は、松山港からフェリーで約1時間の場所にあり、若年層から中年層の人口流出が続き、地域コミュニティの崩壊等が危惧されている。
中島本島人口推移(毎年1月1日現在)
・中島分校は、中島地域唯一の高校であり、島の貴重な施設の一つである
・中島分校の志願者は、平成29年度、30年度と相次いで20名を下回っており、令和元年度もこれを下回った場合、廃校となるおそれがあった
中島分校入学者数推移
・島外からフェリーで通学している生徒は全体の9割おり、松山港発6時55分の便に乗る必要があるため、早朝に弁当を作らなければならない保護者の負担は相当に大きい
・当時、中島調理場で給食調理を担っている中島小・中学校の児童生徒は減少傾向にあり、中島調理場の機能をフルに活かしきれていない状況にあった
・保護者へのアンケートにて、8割以上の給食を望む声があり、給食を提供することによる「保護者負担の軽減」と「大好きな学校給食を食べられる高校」として中島分校の魅力向上を図り、入学志願者数の増加や地域振興の後押しを目的とした。

取組の具体的内容

・愛媛県教育委員会、中島分校、中島調理場と連携・調整を図り、令和元年度の入学願書受付前に給食提供を決定。市長が定例記者会見で中島分校の給食提供開始をPRし、各報道機関にニュースや記事として取り上げられることで、中島分校への入学志願者数増加を図った。
・中島分校側の給食受渡場所の整備や、中島調理場内の厨房設備等の整備などを行い、令和元年9月(2学期開始時)から中島分校への給食提供を開始した。
給食受け渡しのために整備した中島分校

特徴(独自性・新規性・工夫した点)

・シミュレーションにて、運搬経路の勾配により、運搬中に食缶から液漏れすることが判明したため、通常使用している食缶とは別に、二重食缶を用意し対応した。

取組の効果・費用

・給食を食べられる高校という特色の効果もあり、令和元年度の入学志願者数は、前年度の倍以上となる40人に上り、当面の間の廃校を免れた。
中島分校入学者数推移
・栄養バランスの取れた給食によって、偏食になりがちな高校生の健全な成長の一助となった。
・早朝から弁当を作っていた保護者負担を軽減できた。
・中島分校には、旧松山市内で不登校であった生徒も多く通学しており、彼らの受け皿を存続できたことは大きな効果と考える。
・生徒が協力して配膳し、談笑しながら同じ給食を食べることで一体感が生まれ、ニュースやテレビ番組で取り上げられたことにより、以前に増して活気が出てきたように見受けられる。
2019年9月3日愛媛新聞記事

取組を進めていく中での課題・問題点(苦労した点)

・給食提供が想定されていない高校には、給食を受け取る場所等の整備がなされていないため、雨天でも滞りなく給食運搬車から大型コンテナを受渡しできるスペースや配膳場所までの動線確保等、場所の選定や整備に係るコストが課題となった。
・現地で何度も協議・シミュレーションを行い、中島分校や中島調理場の県・市職員が一丸となり、ひとつひとつ課題をクリアしていき実施に至った。

今後の予定・構想

島しょ部の抱える人口減少や高齢化問題の解決には、島しょ部ならではの一歩踏み込んだ施策が必要と感じる。
中島調理場は昭和62年に建設したもので、将来的に老朽化による建替えを検討する時期が到来するが、観光誘致、防災対策、独居老人対策、地域コミュニティ活性化など、複数課題の同時解決を可能とする施策立案が必要となる。

他団体へのアドバイス

報道機関を通じたPRにより、高校への給食提供という事実だけでなく、生徒の教育活動や地域の活性化に作用していった。
こうした副次的効果を狙ったプロモーションを意識し、事業計画を構築していくことで、あらゆる事業のレベルアップを図れると感じている。

取組について記載したホームページ

https://www.city.matsuyama.ehime.jp/smph/hodo/201908/nakajimakyuusyoku.html

問い合わせ先

愛媛県 松山市役所 保健体育課
089-948-6812

【行革甲子園】全国の自治体の創意工夫あふれる取り組みを紹介! 記事一覧

このページをシェアする
  1. TOP
  2. 離島高校へあたたかい給食を!