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【相談室】自治体職員と議会との関わり方はどうあるべきだと思いますか?

「何でこうなってるの?」「もっとこうならいいのに」毎日仕事をする中で、頭をよぎる疑問や悩み…そんな「モヤモヤ」を、一歩先ゆく公務員の皆さんに解決して頂く企画。

第3回はこれからの時代ならではの「議会」との関わり方について、所沢市役所の林誠さんに寄稿いただいた。

【今回のモヤモヤ】

これからの時代、自治体職員と議会との関わり方はどうあるべきだと思いますか?

変化の多い今の時代において、自治体職員と議会との関わり方も変わっていくべきだと思います。どうあるべきか、ヒントをいただきたいです。

「よそよそしい関係」を脱して、「競い合い、協力し合う関係」へ

これからの時代の議会との関わり方について考える前に、「これまで」の行政と議会の関係について振り返ってみましょう。

行政と議会の関係を示す言葉に、「車の両輪」という表現があります。これは、行政と議会は、対等の立場で相互にチェックし合うとともに、足らないところを補い合う存在であり、二つ揃ってはじめてしっかり機能するものだ、ということを表しています。

では、これまでの行政と議会は、本当に「車の両輪」として機能してきたでしょうか?

胸を張って「YES!」と言える自治体もあると思います。しかし、おそらく少数派でしょう。両輪と言いながら、ほとんどの自治体で、政策を出すのは基本的に行政側であり、議会側はそのチェックをする立場と、くっきり色分けされていたのではないでしょうか。また、向いている方向は同じだったでしょうか。アクセルとブレーキのような関係になってはいなかったでしょうか。

行政側は、議会に対して敬意を表することは欠かしてこなかったと思いますが、情報を積極的に出しているかというとどうでしょう。本音の議論を交わすというより、とにかく議会を平穏に終わらせることを最大の眼目としてきたのではないでしょうか。

行政と議会の関係がこのような感じだったので、自治体職員が目指してきたのも、「スムーズな議会運営」に尽きるように思えます。なんとか議案を無事に通してもらいたい、一般質問もできる限り当たり障りなく過ごしたい、というのが本音だったような気がします。

議会との関係の中で、政策が磨かれているという実感を持ったことのある人は、あまりおられないのではないでしょうか。

変化が求められる背景

これからの時代、行政と議会の関係を変えていく必要があるのではないでしょうか。なぜなら、自治体を取り巻く環境が厳しさを増しているからです。

財政規模が増加傾向で、その増分の取り扱いをどうするかが議論の前提であり、基本的な政策の方向性は国が決めて自治体はそれに従う、といった時代においては、議会は行政の監視と要求型の政治活動を行い、行政はつつがない議会運営に専念するということに合理性があったのかもしれません。

しかし、時代は変わりました。

人口が減少し、財源も枯渇していくなかで、どの事業を取りやめるかを真剣に考えなければならない状況となり、自治体の実力がそのまま地域の活力に表れるというシビアな現実が見えてきています

自治体が、その生き残りをかけて知恵を絞らなければならない時代が到来しつつあるのです。こうしたなかでは、行政と議会の関係も変わっていかなければなりません。相互牽制だけでは十分ではないでしょう。

自治体職員と議会との関係の目指すべき姿

行政と議会が、すべての点で完全に同じ方向を向くことはできないと思います。見解の相違、というものもあるでしょうし、イデオロギー的に交わらないという要素もあるでしょう。それでも、地域を発展させたい、住民の福祉を向上させたい、という思いは一致しているはずです。自治体の政策によって、地域の明暗がくっきりと分かれる時代になってきています。立場を乗り越え、知恵を積み重ねましょう。
 
行政は、これと決めた案を作ると、そのまま通そうとしがちです。そうではなく、議会から対案を示してもらったり、案を叩いてもらったりできれば、実施に向けて内容をブラッシュアップしていけるはずです。議会と行政が、よき競争相手として、政策を競い合う関係になれれば、今まで以上に質の高いサービスを展開できるでしょう。

これまでは、誰が言ったとか、どこの会派の主張だからといったことに重きが置かれていた気がします。そうしたことにこだわらず、地域のために、いいものは積極的に取り入れていきたいものです。
 
自治体職員と議会は、会期中の必要なときだけ接触する関係で、それもなるべく最小限にしてきたかもしれませんが、普段から情報交換できるようになっていけるといいと思います。合同の勉強会、合同の視察といったことも意義があるでしょう。

もちろん、議会と行政がなれ合いになってはいけません。協力し合うところは協力し合いつつ、チェック機能が果たされなければならないのは大前提です。

ここに書いたことは、理想論に過ぎるかもしれません。正直なところ、すぐに実現できるとは思えません。現状を顧みると、競争とか協力といったことなどできるわけがない、と思われる方もおられるでしょう。それもよくわかりますが、今のままでいいとは思えません。

少しずつでも、あるべき姿に近づいていきたいものです。


林 誠(はやし まこと)

 

所沢市財務部長 中小企業診断士、通訳案内士。

1965年滋賀県生まれ。民間企業に就職後、所沢市役所に転職。一時埼玉県庁に出向。市では、総務部門、財政部門、政策企画部門、商業振興部門に所属。
役所内で経済を面白おかしく勉強するサークル「経済どうゆう会」をかれこれ200回以上開催。
著書に、「イチからわかる! “議会答弁書"作成のコツ」「9割の公務員が知らない お金の貯め方・増やし方」「どんな部署でも必ず役立つ 公務員の読み書きそろばん」など。


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