「何でこうなってるの?」「もっとこうならいいのに」毎日仕事をする中で、頭をよぎる疑問や悩み…そんな「モヤモヤ」を、一歩先ゆく公務員の皆さんに解決して頂く企画。
今回は、「上司の考え方や職場の慣習が古くてつらい」…そんなお悩みに対し、さいたま市の柳田香さんに回答いただいた。
【今回のモヤモヤ】
「上司の考え方や職場の慣習が古く、どう現状を変えて良いのかわかりません」
業務効率化をして、スピードアップしたいのに、上司の考え方や職場の慣習が古く、自分ひとりの力ではどう変えていけばいいかわかりません。一人でできることは何かあるでしょうか。
現状を変えたいけど変えられない!どうしたらいいの?悲痛な叫びが聞こえてくるようです。
毎日頑張っているのに、自分の頃はもっと大変だったという上司、仕事量が増えて限界だと訴えても、根性で乗り越えろという上司など、皆さんの周りにも思い当たることがあるのではないでしょうか。
また、職場の慣習では、「何となく飲み会の誘いを断れない雰囲気がある」「子育ては女性がするものという偏見により、男性職員が育児休業を取りづらい」と感じていることもあるようです。
これまで私も若手職員から実際に相談されたこともあるので、働きやすい制度は整っていても、私たちのそれぞれの職場環境では、まだまだ改善の余地があるのです。
そこで、現状をよりよく変えるためにどのようにしたらいいのか、実際に考えてみましょう。
どうしても、上司の考え方を変えたいと思いがちですが、これまでの積み重ねと立場やプライドがありますから難しいでしょう。また、上司との関係性を悪化させてしまう危険性だってありますから、今回は、一人で始められる次の2点に着目してみましょう。
心を少しだけ開くことで、「風通しのよい職場」に近づく
まずは、あなたが最も話しやすい同僚に、あいさつや声掛けを積極的に行い「心地よい空間」を創ってみましょう。
心地よい空間になれば、会話も弾み「飲み会」や「育児休業」などの話題にも触れやすくなり、お互いの考え方を理解することができます。
少し時間はかかるかもしれませんが、仲間を増やしながら、心地よい空間を広げていけば、お互いが対等に意見を言える「風通しのよい職場」に変化していくのです。
さらに、「手伝いましょうか。」「ちょっと助けてもらえますか。」という声かけも自然に生まれ、サポート体制やチームの一体感なども向上するでしょう。
そういう職場になれば、モチベーションも高く、安心して仕事ができるようになり、スピードアップも図れるようになるでしょう。
自分ひとりでもすぐに実践できる!業務の効率化
1日のタスクを書き出して、あなたが一番時間をかけている項目を把握しましょう。
■朝のメールチェックに1時間以上かかってしまうなんてことありませんか?
⇒ メールチェックの時間は午前10時頃に設定しましょう。
午前10時頃までは最も集中力が高まる「ゴールデンタイム」と言われています。 会議の資料づくりや調整案件など有効活用していきましょう。
■机の上が書類の山で、書類を探すのに時間がかかっていませんか?
⇒ 毎日、5分だけ、不要な書類を捨てることを徹底しましょう。
保管する書類の量が減れば、守備範囲も狭くなりますから、書類が見つからないなんてことはありません。
また、タスクの中で、時間をかけていない項目を洗い出してみると、今まで気づいていなかった大きな改善の芽が見つかるかもしれません。
例えば、上司が苦手だから、極力話をしないようにしている人もいるでしょう。そのような行動は、短期的には良くても、中長期的に見ると業務効率を下げる原因になりかねません。
■上司との会話(確認、報告、連絡、確認)が極端に少ない。
⇒ 1日1回は、雑談を交え、情報を入れるようにしましょう。
そうしておけば、「あいつは、何やっているかわからない」とは思われずにすみます。
私は、うまくいっていることは、さらっと伝え、うまくいっていないことや悩んでいることは早い段階で一報入れるよう心がけていました。悩みを一人で抱えることなく、上司の力を借りて解決できたこともありました。
自分だけで解決できないことがあると、他の業務に集中できず、生産性も下がってしまうかもしれません。
■メール1本でお願い事をしている
⇒ メールは便利ですが、お願いごとであれば、直接、説明した方が結果的に早い場合もあります。
メール作成には案外時間もかかりますし、相手の状況も分からないので、メールをスルーされてしまうかもしれません。
私は、予め電話で要件を伝え、相手の余裕のある時間帯にアポを取ります。相手に余裕がないと聞く耳を持ってもらえないかもしれないからです。
お願いごとは、対面で熱意を持って説明し、相手の状況や意見も素直に聞き入れられるようにすれば、うまくいく場合が多いです。
「業務の効率化」というと、難しく考えてしまいますが、テーマは身近にあるものです。
小さなことでも、チャレンジすることが大切です。
柳田 香(やなぎだ・かおり)
さいたま市南区役所健康福祉部参事。人材育成、シティセールス、行財政改革等を経て2022年4月より現職。
『月刊ガバナンス』(ぎょうせい)の連載、「公務員女子のリレーエッセイあしたテンキになーれ!」(2020年4月号~)の取りまとめ役などの活動を通じ、若手・中堅職員の悩みや不安の解消に意欲的に取り組んでいる。
著書に『時間を生み出し成果を上げる!公務員30歳からの時短仕事術』(2022年3月発行/学陽書房)がある。
■合わせて読みたい
【相談室】自治体職員と議会との関わり方はどうあるべきだと思いますか?