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宮崎県都城市

公開日:2021-08-31

AIによるイベント情報集約で人が動く!地域が変わる!

情報政策
読了まで:7分
AIによるイベント情報集約で人が動く!地域が変わる!

取組概要

市HPはもちろんのこと、企業、NPO、地域団体、個人等のHPやSNS等に掲載されている都城市内のイベント情報を、AIを活用した自動収集プログラムで一元化して、「都城市イベント情報集約サイト」で提供する取り組みを開始した。
日付検索やカテゴリ検索、ランキング等により都城市で開催されるイベントを市内外に知ってもらい、関係人口を増やすことによる地域活性化を図っている。
また、イベント情報の閲覧数を確認することができることから、主催者がイベントの見せ方や内容を検討する等、利用者の満足度向上に繋がる「質」の向上にも寄与している。
追加機能として、PDFデータでしか配信されていないイベント情報を自動で読み取って登録するプログラムを開発。より多様なイベント情報も収集している。
さらに、収集したイベント情報を、ツイッターで自動配信する機能を付加するとともに、市の公式LINEアカウントとも連動させ、収集のみならず、発信することに軸足を移している。
また、イベント情報から、飛行機やJR等の交通系チケットを併せて予約できる機能も実装し、イベントを契機として、人が動くよう後押し。
コロナウイルスによってリアルのイベントが開催できなくなった時期には、オンラインイベントの開催を促進すべく、イベント情報集約サイトを構築する㈱インフォモーションとの協働により、オンラインイベント開催相談窓口を開設する等、イベントの創出についても尽力している。

取組期間

平成30年8月~(継続中)

※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2020」の応募事例から作成しており、本記事の内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。

背景・目的

最先端テクノロジーの隆盛が著しい昨今、VR技術やドローン宅配等、人が外出することなく、人生を謳歌できる仕組みが次々と生み出されていく。一方で、全ての人が、健康的に社会に参画し、自己実現を図るためには、「行動」を生み出すことが必要だ。また、「行動」は、経済の活性化に繋がる。
イベントは、人の「行動」を生む、地域活性化に欠かせない要素であるが、一方で情報が一元化されておらず、例えば都城市のイベントを知りたいときには、「都城市+イベント」と検索し、検索結果の上位サイトから順に見比べるといった手間があった。
また、地域や個人が主体となるイベントについては、主催者が自らのHP等で情報発信しても、閲覧者が非常に少ないことから、集客に繋がらず、イベントの価値が十分に発揮されているとは言い難い状況にあった。
さらに、子育て世代や移住者が、都城市の魅力に気付くきっかけが少なく、余暇を市外で過ごす傾向も見られた。

取組の具体的内容

平成30年度にAIを活用し市内のイベント情報をインターネット上の様々なサイトから自動で集約し、効果的に発信するサイトを構築した。このイベント集約サイトでは、企業や高等教育機関等のイベントや地域公民館で行われる小規模ながらユニークなイベントも一元化しているため、産官学民の垣根を超えて地域の様々な主体に支持されている地域密着型の取組と言える。
なお、地域団体やNPO等の小さな主体は、インターネット上の情報発信手段を持っていない、またはあっても閲覧者がほとんどいないことから、情報を更新していないといった状況にあった。そのため、本サイトに自らのイベント情報を簡単に直接登録することができる仕組みを実装した。
サイトによっては、イベント情報がPDFデータでしか配信されていないこともあったので、PDFを自動で読み取って登録するプログラムを開発する等、より多様な手段でイベント情報を収集している。
収集したイベント情報を、いかに知ってもらうかという視点から、イベント情報集約サイトへ誘導するため、ツイッターで自動配信する機能を付加するとともに、市の公式LINEアカウントとも連動させ、LINEからの流入を増やしていく等、収集のみならず、発信することに軸足を移している。

また、イベント情報から、飛行機やJR等の交通系チケットを併せて予約できる機能も実装し、イベントを契機として、実際に遠方から人が来て経済効果を生むことを狙っている。(コロナ対応で機能を非公開とする場合もある。)
本取組については、AIを活用していることから、最小限のコストで運営することが可能だ。また、イベント主催者とイベント利用者のニーズが一致しているサイトであることから、アクセスが増え続けるといった好循環が生まれており、既に自走している仕組みである。
コロナウイルスによってリアルのイベントが開催できなくなった時期には、特に市民向け講座等について、オンラインイベントの開催を促進すべく、イベント情報集約サイトを構築する㈱インフォモーションとの協働により、オンラインイベント開催相談窓口を開設し、オンラインで実現可能なイベントコンテンツの検討、実現手法、ツール選定、集客、運営等について寄り添う取組を行うことでイベントの創出についても尽力している。

また、イベントのアクセス数を可視化することによって、人気・興味をイベント主催者が把握できるようにしている。そのため、主催者が他のイベントと比較することによって、イベントの見せ方やイベント内容等を工夫するようになっている。市も地域団体に対して、イベントの開催手法や情報発信等について、適宜アドバイスを行っており、イベントの高質化も本事業の大きな副産物である。

特徴(独自性・新規性・工夫した点)

本取組は企業との実証実験から始まった取組であり、全国初の取組である。休日の行楽予定を決める際等に、誰もが複数のイベントサイトに何度もアクセスし、イベントを見比べた経験があるのではないだろうか。本取組はその身近な不便さ、不満を解消したものであり、普遍的なソリューションとして多くの人に共感いただけるものと考える。住民が身近に感じるニーズに寄り添ったソリューションであり、日本全国どこでも多様な目的で活用が可能であることから、その活用可能性は大きく広がっている。
比較的安価に運用でき、一元化した情報は市や観光協会等の既存のHP等へも連携し公開できることから、準備等の負担も少なく簡単に横展開が可能だ。また、シティプロモーション、インバウンド対応、子育て支援、移住・定住対策等、地域ニーズに応じた多様な目的で活用できる。
また、HPを持たない団体、持っていても情報発信を諦めている団体等のために、イベント情報を直接登録できる仕組みも実装した。

取組の効果・費用

利用者アンケートでは、本サイトが「良い」とのポジティブな評価が85%、本サイトを見て「イベントに行きたくなった」との評価が91%を占めており、本サイトがイベントへの参加意欲を掻き立てていることが想像できる。また、コロナ渦に巻き込まれるまでは、毎月利用者が伸びており、開設した平成30年8月は323件のアクセスであったものが、令和2年11月には15,920件のアクセスを記録するまでになった。利用者からは、特に本サイトを見てイベントのはしごができることについての評価が高く、単体では他エリアのイベントが魅力的だったが、複数のイベントが楽しめることから、行楽先として当市を選択したとの声も上がっており、地域の魅力を発信するツールとなっている。

さらには、地域のイベントに人が集まるようになっているとのことで、地域イベントの担い手が新しいイベントの創出に取り組む等、地域の意欲増進にも繋がっているほか、特に地域の文化・伝統に係るイベントに集客することは、文化・伝統の継承に寄与していると考える。
イベントの情報発信等をうまく行えず、内輪だけでイベントを行っていた団体も、本サイトに自らのイベントが掲載されると、今後のイベントの見せ方や内容について検討を開始する等、利用者の満足度向上に繋がる「質」の向上効果も見られているところだ。

また、子育て世代からは、子連れで行くことができるイベントを手軽に探すことができて便利との声があがっており、当市においては飲食店情報の発信等と併せて、子育て支援として活用する側面を強めている。

なお、運営費用は年間120万円だが、HP等の発信手段を持たなかった地域団体等が、積極的にイベントの直接登録を行っており、通常各団体でHPを運用したと想定した場合の経費約2,680万円(20万円×134団体)の効率化が図られている。

取組を進めていく中での課題・問題点(苦労した点)

ICTに長けていない公民館やまちづくり協議会等の地域団体は魅力的なイベントを開催しているにも関わらず、インターネットを通じた情報発信ができていない現状にあったことから、簡易に登録できる仕組みを構築し、登録方法については個別訪問等を通じて、対面で説明する機会を設けることで、ICTに対するアレルギーを払拭できるよう配慮した。
また、イベントの情報発信方法、イベントの開催手法等について、アドバイス等を行い、イベントの高質化にも努めている。

今後の予定・構想

現在は、当市でのみ運用していますが、生活圏である定住自立圏(鹿児島県曽於市、志布志市、宮崎県三股町)において運用することで、エリアとしての魅力を向上させることが可能になると考えている。また、飛行機やJR等の交通系チケットを併せて予約できる仕組みに加え宿泊予約を可能とすることで、遠方からの誘客をより強力に推進する予定である。

他団体へのアドバイス

本取組については、AIという先端技術を活用するものの、しっかりと人に焦点を当て、人と人との繋がりを生み出す取組だ。技術ありきで、先端技術を導入してもうまくいかない。課題から解決策を導く過程で、全ての解決策を考え抜いた上で、ソフト面も含めて実行することが、課題解決の近道になると考える。

取組について記載したホームページ

https://miyakonojo.site/

問い合わせ先

宮崎県 都城市 総合政策課
電話番号 0986-23-7161

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