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3つのツールを効果的に使い、DX推進力を組織に根付かせる。

業務効率化と行政サービス向上を支援するDXツール
DXに貢献するツールは多種多様だが、連動した活用や、組織への浸透に課題を抱える担当者もいるのではないだろうか。三田市では3つのツールをシリーズで導入し、全庁で活用。業務の中で相乗効果を感じているという。
※下記はジチタイワークスVol.44(2026年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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目次

三田市
DX推進課
スマートシティ推進係長
岩﨑 謙二(いわさき けんじ)さん
コロナ禍で生じた課題をきっかけにコミュニケーションの改善へ乗り出す。
同市では、令和2年4月にICT推進計画を策定。人口減少社会を視野に、市役所におけるデジタル活用の方向性を示したが、時を同じくして社会はコロナ禍に突入した。当時の状況を、岩﨑さんはこう振り返る。「DXの必要性がさらに高まりました。喫緊の課題は、在宅勤務の増加に伴う、職場と自宅をつなぐコミュニケーションツールの確保でした」。同時に、急場しのぎではなく、ポストコロナを見据えた対策を講じたかったそうだ。従来の電話・メールが基本のやりとりでは、複数部署の連携に難しさがあったという。「わざわざ連絡するという行動にハードルの高さがありました。自分の業務に追われていたり、相手が忙しいだろうと遠慮したりして電話をかけづらい。それでは連携する発想も生まれません。ですが、よりよい行政サービスや事業を展開するため、庁内や官民で連携を強化しようという機運が高まり、コミュニケーションの方法を見直すタイミングが訪れました」。
検討の結果、クラウドサービスで簡単に導入できる「トラストバンク」の「LoGoチャット」を選んだ。LGWAN環境で利用できることなどが決め手となり、同年6月には全庁でのトライアルを開始。職員の反応を見ながら利用拡大を進めていった。中でも工夫したのは、継続的な周知だったという。「導入時に告知をしただけでは活用は進みません。職員にツールの存在を意識してもらえるよう、庁内グループウェアの掲示板に、マニュアルや便利な使い方などを定期的に掲出し、利用を促していきました」。その結果、各課でチャットの便利さに気づく職員が増え、周囲に勧めはじめたことから利用率が上昇していった。

市民も職員もラクにするためさらに2つのツールを導入した。
庁内でのコミュニケーションは改善しはじめたが、市民向けのコロナ対策も進めなければならない。まずは電子申請ができる仕組みが必要だった。「当市では平成中期にシステムを導入していたのですが、活用が進まず契約を解除していました。その経験から採用には慎重でしたが、同社がLGWANから利用できるノーコードの電子申請システム『LoGoフォーム』をリリースしたと聞き、トライアルを申し込んだのです」。
トライアルは令和2年9月に開始。まずは職員向けアンケートなどの簡易なフォーム作成から始め、実用性を検証していったという。「簡単につくれるので、これなら大丈夫だと思えました。また、同社に相談や質問をしやすく、協力を得ながら研修も実施したことで、各課で利用が拡大していきました」。こうして庁内での活用を検証した後、市民向けのフォーム作成も進めていった。
次に着手したのが、生成AIの導入。令和5年5月、ChatGPTが社会の関心を集めた際に、同市も研究チームを結成。いち早く取り入れていた他自治体に相談しながら、ガイドラインの策定や外部講師を招いた研修などを実施した。「業務ではまだ使っていなかったものの、研修は満席の盛況ぶりで、職員の期待値の高さを感じました。そのタイミングで、生成AIをLoGoチャット上で利用できる『LoGoAIアシスタント』を知り、トライアルを実施しました」。その後、令和5年10月に正式導入。すでにチャットが庁内に浸透していたこともあり、スムーズに使いはじめられたという。

企業との二人三脚で工夫を続け働きやすい環境づくりを進める。
それぞれの目的に合わせてツールを取り入れ、DXの基盤を固めつつある同市。今ではどれもが業務に欠かせないという。「同社には導入後の運用についてもサポートしてもらい、二人三脚で進めています。分からないことがあればチャットですぐに聞けて心強いですね。機能が自動的にアップデートされ、利便性がどんどん上がっていく点もクラウドツールのメリットです」。
今後も、これらのツールを有効活用していきたいと話す岩﨑さん。チャットで共有や意思統一を図り、フォームで情報を収集・蓄積して、AIで分析した結果をもとに改善する。そうした流れが自然にまわる状態が理想で、シリーズで活用するメリットでもあるという。
行政サービスへのニーズが複雑化・多様化していく一方で、職員の働きやすさについても考えていく必要がある。「私をはじめ、一部の職員はフル活用していますが、使いこなせる人材をもっと増やしていくことが次の目標です。庁内全体で当たり前に活用できるよう、様々な場面でツールのよさを引き出していきたいと考えています」。
各ツールの強みを活かし業務の流れをスムーズにする。
LGWAN環境で使えるなどの強みがあり、自治体の業務に特化しているLoGoシリーズ。それぞれのもつ得意分野と、幅広い可能性を同市ではどのように活かしているのだろうか。業務改善につながった例をツールごとに紹介する。
デジタル化の基盤をつくる3つのツール





CASE STUDY1|自治体向けビジネスチャット「LoGoチャット」|部署間の連携が日常になり、やりとりの質が向上する。

元・DX推進課
デジタル推進係長
(現・公共施設マネジメント推進課 営繕係長)
福井 憲二(ふくい けんじ)さん
令和2年のコロナ禍をきっかけに導入された「LoGoチャット」。コミュニケーションツールとして浸透した今、部署間の横連携にとどまらず、有事での活用を見据えた検討も進んでいるという。
庁内だけでなく外部とも接続しコミュニケーションを円滑化。
導入から6年が経過し、今ではほぼ全ての職員がユーザーとなっている。コミュニケーションの重要なインフラとして定着していると福井さんは語る。「よくある活用例は、会議前の準備です。以前は出席者全員に電話をかけて日程を調整することから始めていましたが、今ではチャット上で簡単に調整が可能です。資料の共有や意見交換も事前に済ませられるので、話し合いがスムーズに。場合によっては、チャット上で結論が出て、会議をせずに済むこともあるほどです」。やりとりのハードルが下がったことで、他部署の職員を覚えたり、個性を知ったりする機会ができるのも副次的なメリットだ。
また、庁舎外とのコミュニケーションにおいても同ツールは活躍している。保健センターに常駐している保健師や、保育施設の園長など、庁舎外との情報共有や意見交換が多い職員にとっては欠かせない手段になっているそうだ。「消防本部や教育委員会も同様で、急ぎの電話をして相手が不在だと、連絡がつくまで時間がかかることも。チャットで一報を入れておくことで、折り返しの電話をもらえるスピードが早まります。職員からは、“時短につながった”、“コミュニケーションが円滑になった”と喜ばれています」。施設管理の委託先や外部人材にもゲスト用のアカウントを配布しており、今後は議員と議会事務局での活用も見込んでいるのだという。
日常業務の助けになるツールを有事でも活躍させる見込み。
様々な部署との連携が必要な政策課では、これらのメリットが特に活かされている。同課では、他部署が例規などを制定する際の政策判断について、担当者と相談して検討を進める業務がある。例えば本庁にいない消防の職員なら、定期的に郵便物を受け取りに来るため、その際に打ち合わせをしていたそうだ。このような場合でも、チャットがあることで必要なタイミングでやりとりができるようになっている。「事前にチャットで打ち合わせの日時を決め、素案があれば共有してもらい、それを前提に話を進めることができます。互いに時間が限られている中でも、効率的に業務が進むので助かると好評です」。
また、選挙管理委員会の業務には、選挙期間中のみ他部署の職員が応援に加わることがある。庁外の倉庫に備品を取りに行く際に、分からないことがあればその場で写真を送って確認が可能。「専任ではないこともあり、迷ったときは都度相談が必要です。ミスやムダがなく進められるようになるのでチャットは欠かせません」。
さらに、今後は有事での活用も視野に入れており、災害時にメールの着信をチャットで受け取る検討も進められているという。担当者に届くメールの設定数に限りがあることから、初期対応を担う職員のチャットに共有する仕組みをつくるために「LoGo通知ボット」を検証中だそうだ。活用が浸透しているからこそ、さらなる工夫を重ね、ツールの可能性を模索しつづけている。
チャット活用でコミュニケーションが円滑に



CASE STUDY2|ノーコード電子申請システム「LoGoフォーム」|庁内外で様々な申請を効率化し、職員の業務負担を軽くする。

DX推進課
デジタル推進係
本田 拓也(ほんだ たくや)さん
「LoGoフォーム」を使った申請フォームの内製はコロナ対策の一環で、チャットの導入とほぼ同時期に進められた。各課で活用が広がり、これまで1,700種類以上のフォームがつくられている。
数あるテンプレートを活かし“あれば便利”を形にする。
同市では、申請フォームを内製する際、2段階のフォロー体制があると、本田さんは説明する。「まずは原課で開発に取りかかり、そこで分からないことが出てきたら当課に応援要請をもらいます。そして、私たちでも解決できなければトラストバンクに質問するというステップです。ただ、サンプルが増えてきたため、大半のものは原課で自走しています。フォームをつくること自体は簡単なので、職員同士で助け合いながら内製が進んでいますね」。
こうしてできた申請フォームは、市民向けのアンケートや、イベント・講座の申し込み、給付金の申請などに活用。オンライン決済機能を取り入れ、イベントの参加費の支払いも受け付けている。庁内でも研修の申し込みや庁内照会の回答収集など、幅広く活用されている。
また、同サービスには無料のテンプレート集があるので初めての人でも作成しやすく、庁内に似た事例があればそれをコピーした上で加工する、という使い方も多いそうだ。もちろん、職員の工夫で生み出されたものも多数存在する。「現在は専門知識の有無や世代を問わず、大半を各課が自走して作成しています。DX推進課に来るような、高度な申請フォーム作成の相談は半年で数件程度ですね。職員の習熟が進んでいると感じます」。
参加申し込みのハードルを下げ移住事業の活性化にも貢献。
移住定住促進課で行っている“お試し移住”の事業でも、フォームが役立っているという。同事業は移住を検討している人にまちを知ってもらうため、最大1週間の滞在体験をしてもらうもの。この申し込みから実施後のアンケート回収までを内製した。「以前は郵送やファックスで受け付けていましたが、LoGoフォームの方が簡単なので参加のハードルは下がっていると思います。情報を集計し、管理する職員の手間も大幅に軽減できました」。申し込みやアンケートの内容をデータで蓄積することで、ニーズに応じた改善や、参加者の傾向把握など、その後の運用にもつながるそうだ。
LoGoフォームを使ったアンケート収集は、様々なイベントで使われるようになり、回答内容の質の向上につながっているという。「紙のアンケートを現場で配布・回収すると、“楽しかった”のような短文の感想が戻ってきがちです。それに対し、後でゆっくり回答できるので、何がよかったか、もっとどうしてほしいかなど、具体的に書いてくれる人が増えたこともメリットです」。
ほかにも、特に多く利用されているフォームは、粗大ごみの持ち込み予約。また、フォームの数が多いのは子育て支援系の申請・申し込み手続きだという。「市民の利便性向上はもちろん、職員も集計の負担が減りました。フォームに蓄積したデータは、事業の改善や施策の検討などに活用していきます」。
フォーム活用で庁内外の情報収集が便利に



CASE STUDY3|チャットでもブラウザでも使える生成AI「LoGoAIアシスタント」|“もう一人の職員”として、日常で気軽にAIの力を借りる。

DX推進課
スマートシティ推進係長
岩﨑 謙二(いわさき けんじ)さん
国内外で活用が進んでいる生成AI。自治体として早い段階で取り入れた同市では、職員同士が情報交換しながら、効果的な使い方が広がりつつある。活用例の詳細を改めて岩﨑さんに聞いた。
日常業務の中での困り事に“ちょっと教えて”が言える。
文章の素案作成や事業のアイデア出しなどに使われることの多い生成AIは、自治体の業務と親和性が高いといわれている。「事務連絡の文面や、Excel関数・マクロの作成など活用は幅広いです。導入後に実施した職員アンケートの結果では、業務の質の向上について効果を感じていると答えた職員が約91%。効率化を感じている職員は約93%という結果が出ました」。また現場では、難しく考えず、“ちょっと聞きたい、手伝ってほしい”という感覚で使っていくことの積み重ねで、業務効率を上げることを推奨している。そのためにも気軽にどんどん使っていく習慣が大切だと呼びかけているそうだ。
初めは調べものに使うツールだと考えている職員が多かったというが、使う人が増えるにつれて“文章の素案作成で役立った”“企画を考えるときに案を出してもらった”などと活用例が増えていった。それらを職員同士が口コミで伝えていくことで、様々な使い方が周知され、業務の効率化につながっているという。同ツールはLoGoチャットのチャンネルでもブラウザの専用画面でも使うことができる。「気軽に質問や相談をしたいときはチャットで、資料や画像作成まで行いたいときはブラウザでと、使い分けをしている人が多いです」。
職員の苦手な分野を補完するアシスタントとして活躍。
都市デザイン課では、補助金関連の業務にAIを活用。資料の読み込みや、申請書作成の業務があるが、まずはAIに資料の要約を依頼。情報量が多い場合も理解のスピードが上がり、書類作成のポイントがつかみやすくなったという。その後は申請する際に、やりたいことがかなえられるのかを整理してもらったり、過去に採択された例を参考にした表現を提案してもらったり。完成度の高い申請書ができたそうだ。
そのほか、専門用語のひも解きや、複雑な文章を理解する手助けとは逆に、公式SNSの発信のためのキャッチーな表現案を頼むことも。動画や画像をアップする際のキャプション作成を依頼し、親しみやすい内容に仕上げる使い方もしているという。「慣れない業務や、得意・苦手は誰にでもあります。業務がスムーズになり、スキルが身に付くきっかけにもなっていますね」。
本格導入から2年半を経て、日々拡大している同市のAI活用。今後DX推進課がやらなければならないことも多いという。「アンケート結果の分析などはまだまだ発展途上です。LoGoフォームで収集したデータを分析するという流れがもっと定着すれば、さらに効率化が進み、ツール同士を連動させた有効活用が広がります」。同時に、より効果的な活用を庁内に広げてくれるような人材の育成についてもアイデアを練っているところだという。先の2つのツールに加え、AIの積極的な活用は、同市の進化をさらに加速させているようだ。
生成AI活用で慣れない業務がラクに



※令和7年8月 三田市調べ
ツールをかけ合わせることで導入効果が増大
ここまで、LoGoシリーズそれぞれを活用した具体例について紹介した。一つの事業の中でも工程ごとに各ツールのよさが活かされる。同市の3つの事業を例に、連動することでのメリットを紹介する。


連動で効果を生んだ事業の活用例

全国各地に導入実績が広がり職員の日常業務を支える。
自治体が課題を抱えるアナログな業務を改善したいという思いで、令和元年にリリースされたLoGoシリーズ。今では全国の多くの自治体で、身近な存在になっているようだ。





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