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ドローンを日常から活用して、災害時の初動に備える。

能登半島地震の教訓を反映したフェーズフリーモデル
能登半島地震の教訓から防災DXを進める石川県は、企業と協働してフェーズフリーな防災体制を構築中だ。衛星回線とドローンを平時に活用し、有事の初動対応を強化するという。同モデルの全国展開を視野に取り組む企業担当者を取材した。
※下記はジチタイワークスVol.42(2026年2月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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KDDI
公共ビジネス統括部 副部長
安房 剛士(あわ たけし)さん

KDDIスマートドローン
代表取締役
博野 雅文(ひろの まさふみ)さん
事前の備えや連携体制がなければ、迅速な初動に移れないことが明白に。
令和6年1月1日に起きた能登半島地震では、道路や通信ケーブルが遮断され、多くの集落が孤立。復旧活動が思うように進まず、非常用電源が尽きて通信と電力が途絶した地域もあった。総務省や石川県から、衛星ブロードバンド「Starlink(スターリンク)」の設置支援要請を受けた「KDDI」は、すぐさま避難所への提供を決めたという。安房さんは「このサービスは衛星回線を利用しているため、山間部や離島、通信が途絶した被災地でも、高速通信が可能です。しかし、当時は遠方の倉庫からの輸送となった上、道路の寸断も重なり、避難所に届けられたのは発災9日後でした」と振り返る。
また、一次情報の取得にはドローンが有効だが、「当時は運用体制が未確立で活用できなかった」と「KDDIスマートドローン」の博野さんも悔しがる。「現地に機体がなく、外から持ち込むこともできませんでした。さらに発災翌日には有人機優先のため、ドローンの飛行が全面禁止に」。加えて、警察や消防など各機関と情報を共有するプラットフォームがないことも、初動の妨げになったという。
こうした課題に対応する技術は、両社で開発されている。ただ、いざというときに使えなければ意味がない。そこで提案したのが、フェーズフリーモデルだ。「有事、平時を問わず利用できる環境をつくり、県民サービスの向上と防災力強化を両立させるのです」と安房さん。その実現を目指し、同年10月、KDDIは同県と包括連携協定を締結した。



衛星回線とドローンを平時利用し運用体制を日常に根付かせる。
両社は、奥能登地域の公民館など、避難所になりうる14施設にアンテナの設置を進め、衛星回線の確保に務めているところだ。衛星回線は地上の固定ネットワーク断線の影響を受けないため、災害時も途切れることなく通信を維持できるのが強み。平時は住民が無料で使えるWi-Fiスポットとして活用でき、この安定性が災害時の情報伝達や、ドローンの運用を支える基盤となる。
安定した通信環境を維持できれば、ドローンの遠隔操縦が可能になるため、4拠点にドローンポートも常設。「ドローンの離発着や充電を自動化し、要請を受けたらただちに現場へ飛ばせるようにします。カメラとスピーカーを搭載することで、河川の氾濫時など緊急避難の呼びかけにも対応できます」と博野さん。平時には、インフラ設備の点検・監視や農作物の生育管理など、労働人口減少による社会課題の解決にも活かせるという。日頃から利用し操作に慣れることで、災害時の混乱を防ぐねらいもある。

自治体ニーズに合った防災DXで初動を強化し被害の拡大を防ぐ。
このようなフェーズフリーモデルへの関心は高く、県内の他市町のほか、全国の自治体からも問い合わせが寄せられているという。「地理的環境によって自治体の課題は様々。それぞれのニーズに合うシステムが構築できるよう、ともに議論しながら最適解を見出したい」と博野さん。両社は今後、奥能登の庁舎や学校、病院などにも衛星回線の導入を進め、平時の活用につなげていく予定だ。さらに、全国に同モデルを展開し、ドローンポートの常設も目指す。「全国1,000カ所にドローンポートを設置できれば、様々な場所に短時間で駆け付けられる。これからの時代に必要な社会インフラだと考えています」。
また、ドローンからの映像などリアルタイムの情報を集約し、関連機関との情報共有を可能にする仕組みも整備しているという。「“日本の防災を変える”という強い決意のもと、迅速で的確な初動対応に貢献します」と力強く語る安房さん。被害を最小限に抑えられるかどうかは、初動の影響が大きいとされる。災害はいつ、どこで発生するか分からないからこそ、取り組みの進展に期待したい。


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