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愛知県日進市

公開日:2023-04-21

近隣と広域で連携すれば自治体DXは加速する。

情報政策
読了まで:5分
近隣と広域で連携すれば自治体DXは加速する。

近隣の7市町で連携してオープンデータの推進に取り組んでいる日進市。関連する基本ルールや国などの動向、社会的な必要性などを鑑みながら整備してきたという。公開されたデータは地域課題への取り組みや、地域全体の活性化などに貢献しているようだ。これまでの経緯を取材した。

※下記はジチタイワークスVol.25(2023年4月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

広域連携でアイデアをより集め使いやすいデータを模索する。

令制国時代の尾張国と三河国にまたがる、愛知県西部の尾三地区。その中にある同市と近隣を含む7市町は、平成28年度から連携してオープンデータの公開および推進に努めている。「きっかけは、自治体間連携を締結している尾三地区の4市1町で開催したオープンデータに関する勉強会でした。それを発端に“オープンデータ検討会”が立ち上がり、意見交換が始まりました」と西澤さんは振り返る。

平成30年にはデータの公開だけでなく、活用を推進していくという趣旨のもと「オープンデータ推進会議」に名称を変更し、取り組みを続けている。

同地区周辺は各自治体の住民が生活圏をともにしている。それならば地域が連携してオープンデータの整備や公開を行うことで、データ活用の利便性はより向上するのではないか、というねらいがあったそうだ。勉強会では名古屋大学大学院情報学研究科で准教授を務める浦田さんに協力を求め、基礎を学んだ。現在も引き続き、オブザーバーとして意見をもらっているという。

住民の問い合わせをひもといて求められているデータを知る。

人口統計や公共施設の場所といった、数々のオープンデータを公開している同市。それらが活用されている事例の中に、民間企業が運営するお出かけ情報サイト「いこーよ」がある。同サイトは遊園地や果物狩りなど、様々に存在する国内各地の施設が検索でき、多くの子育て世代に利用されている。

「“いこーよ”には令和2年6月から尾三地区の情報が随時掲載され始めました。当市でも市内公共施設の情報や画像のオープンデータが利用され、サイトやアプリに掲載されています」。これにより利用者は、公園の雰囲気や特徴、規模感などを事前に知ることができるようになった。

また、浦田さんの研究室が開発した「防災啓発マップ」のほか、「Googleマップ」でも活用されている。特にGoogleマップでは、利便性が大幅に向上。各市町のコミュニティバスの時刻表フォーマットが統一されたことで、地区内にあるバスの発着時刻が反映され、経路検索結果一覧にコミュニティバスも候補として挙がるようになったのだ。

Googleマップにコミュニティバスの時刻表データが取り込まれ、経路検索の候補一覧にあらわれるようになった。
 

「オープンデータの利用に許可や連絡は不要なので、全ての活用事例は把握できません。それが故に、どういったデータにニーズがあるのかをつかみにくいという側面もあります。そのため、住民からの問い合わせの多さなどから推測して、ニーズの優先度を判断しています」と話す。Googleマップにコミュニティバスの時刻表データが取り込まれ、経路検索の候補一覧にあらわれるようになった。

活用しやすいオープンデータは地域課題克服の基礎力となる。

7市町で連携するにあたって最も大きな課題となったのが、各自治体がそれぞれ独自に管理しているデータの標準化だ。自治体によって項目やデータ形式などが異なり、そのままでは開発者にとって非常に使いにくいものだったという。

「“許可されたルールの範囲内で誰でも自由に複製・加工や頒布などができること”がオープンデータの大前提です。まずはバラつきのあった項目名を統一することから着手しました。名称・呼称はもちろん、格納されるデータの桁数など、地域間で差異が生じないよう、推進会議で擦り合わせを重ねました。そして、国が公開している推奨データセットを参考に、コツコツと整備して今に至ります」と柴田さん。また、7市町は各ホームページに専用ページを設け、推進会議で定めた規則性に沿ってオープンデータをそれぞれ掲載し、閲覧しやすくする、といった工夫も行っている。

同市では今後、オープンデータを用いた住民参加や産学官連携、新たなサービスの創出が進んでほしいと考えているという。西澤さんは「オープンデータは、それだけで革新的な打開策になるものではありません。ですが、地域課題を突破する“基礎力”となるものです。まずは公開できるデータから公開し、地道に続けていくことが大切ではないでしょうか」と締めくくってくれた。

日進市 総合政策部
上:係長 西澤 恵利子(にしざわ えりこ)さん
下:主任 柴田 基(しばた もとい)さん

オープンデータは自治体DXの第一歩であり、これからの地域活性化において欠かせません。広報写真の公開など、まずは簡単にできることから始めてみませんか。

課題解決のヒント&アイデア

1.研究者など見識の深い外部のブレーンを頼る

オープンデータの公開や推進には、デジタル領域や情報の取り扱いに関する専門的な知識が必要な場面がある。外部の有識者の力を借りることで、取り組みをスムーズかつ効率的に進められる。

2.住民からの問い合わせの多さからニーズを推測する

利用に自治体への許可や連絡が不要というオープンデータの性質上、どのようなデータが求められているのかを把握しづらい。まずは住民からの問い合わせの多さをニーズと捉える。

3.開発者にとって利便性の高いデータを提供する

データの項目や形式を自治体間で統一する、アクセスしやすい工夫をするなど、利便性を高めることでオープンデータは活用しやすくなる。利便性が高いほど、地域活性化のさらなる推進につながる。

 

 

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情報システム
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