自治体の取り組み事例集(東海エリア編)
地方自治体にとって永遠のテーマである「行政改革」。アイデアやノウハウを共有・活用することで、さらなる行革の推進を図ることを目的に、愛媛県が主催しているイベントが「行革甲子園」。
今回は、ジチタイワースWEBにて取り上げた「行革甲子園」の中から、東海エリア(静岡県・愛知県・岐阜県・三重県)にフォーカス。「行政改革」を推進するにあたり、東海エリアの自治体での取り組み事例から活用できるヒントやアイデアをまとめてご紹介。
Contents
Case1.【岐阜県 中津川市】インターネットによるバス経路検索充実に向けた取り組み
Case2.【静岡県 浜松市】コミュニティ結束力を高めろ!「みんなでコミ・スタ」
Case3.【静岡県 浜松市】新型コロナウイルス対策にも対応した災害医療ネットワークの構築
Case4.【三重県 津市】津市版DBO方式による公共温泉施設の再生
Case5.【静岡県 袋井市】スマート自治体変革プロジェクト(BPR研修)
Case6.【愛知県 西尾市】公共施設の【低】圧電力を【低】額・【低】リスク・【低】負担に見直します!
岐阜県 中津川市の取り組み(運輸交通)
移住定住を推進するためには公共交通網の維持が必要とする基本方針を掲げた地域公共交通網形成計画を策定。計画に基づく取り組みとして、国土交通省が策定した「標準的なバス情報フォーマット(GTFS-JP)」を整備し、市内を走る民間路線バスの北恵那バスと、市コミュニティバスについてインターネットによる経路検索を可能とした。この取り組みをきっかけに、交通事業者と中津川市がそれぞれGTFS-JPをオープンデータ化。オープンデータとICT技術の活用による「地方バスの活性化」に向けて積極的に取り組み、衰退傾向の続く地域住民の足である地域公共交通網の維持・活性化を目指している。わかりやすく使いやすい公共交通サービスの提供を行うことで利用者を確保し、公共交通網の維持につなげます。そして、公共交通を必要とする人が安心して移動ができ、中津川市を「いつまでも住み続けたい街、住んでみたい街」にすることを目指して取り組みを行っている。
静岡県 浜松市の取り組み(まちづくり)
地域住民や市職員がコミュニティを意識するためのオリジナルボードゲーム「みんなでコミ・スタ」を考案・制作。「みんなでコミ・スタ」とは、「みんなで集まって地域づくりを楽しく学ぶコミュニティ・スタディ・ゲーム」の略。職員や地域住民がゲームを通じて、コミュニティの重要性や将来直面する課題を認識してもらう取り組みを進めており、職員研修や地域住民の代表による会合などの場で、ワークショップの一つのツールとして活用している。
静岡県 浜松市の取り組み(災害医療ネットワーク)
大規模災害時には、速やかに医療救護活動方針を策定し、市内医療機関と連携して実施する必要があるが、災害医療コーディネーター、救護病院、医師会医療班員等と情報連携する仕組みの構築が課題。また、平成30年9月の台風24号による大規模停電において、在宅人工呼吸器使用者等の安否確認及び速やかな支援が課題となった。市販のSNSアプリケーション(LINEWORKS)及び安否確認システムを活用して、行政、医療機関、訪問看護ステーション、福祉避難所、医療的ケア児者等と情報連携し、大規模災害等に対応した災害医療ネットワークを構築した。
三重県 津市の取り組み(公共FM)
当該施設は、かの清少納言が「枕草子」で讃えた名湯榊原温泉に日帰り公共温泉施設として、健康ブームの流れに乗り、昭和63年に運営を開始した施設。これまで一定の利用者を維持してきたが、開設後30年が経過し施設の老朽化も進み、再整備の検討が急務となった。老朽化が進む公共温泉施設の再起を目指し、敷地全体を活用した新たな温泉施設と収益施設の整備に関するサウンディング調査を実施。PFI方式(民設民営)による事業提案はなかったものの、公設民営方式(DBO方式)による施設の整備と指定管理者制度を活用した管理運営を合わせることで、効率的かつ効果的な事業へ生まれ変わるとともに、地域住民・組織との連携もあり、利用いただくすべての方へのサービス向上が期待できるものとなっている。
静岡県 袋井市の取り組み(人材育成)
人口減少社会でも持続的に行政経営を進めるには、早期に行政サービスや事務のデジタル化(DX:Digital Transformation)・業務改革(BPR:Business Process Re-engineering)を推進する必要がある。先進的なテクノロジーは自治体の業務を変革させる可能性を秘めている一方、各ステークホルダーの理解を得るための人間的な折衝やICTリテラシーもまた重要である。これまでは、情報政策部門の主導によりICT化を進めてきたが、業務を担当する職員もそのためのスキルを磨く必要がある。そのような背景から、総務省地域情報化アドバイザー市川博之氏講師の下、職員を対象としたBPR研修をオンラインで実施する。令和2~5年度の4年間でBPRを実践できる職員約100人を育成し、ICTと業務課題を組み合わせた業務改革を継続的に推進する。
愛知県 西尾市の取り組み(入札・契約)
高圧電力を需給している公共施設については、全国的にも入札等で電気料金の削減を行っている自治体が多くみられ、西尾市においても電子入札を実施し大きな削減効果を生んでいるが、低圧電力を需給している公共施設については、全国の自治体でもまだまだ成功事例が少なく、入札の不落や削減効果が事務負担に見合わないという現状が見られた。しかし、低圧電力を需給している公共施設は数多くあるため、無理のない程度の事務負担と削減効果を出す方法はないかと考え、西尾市が保有する公共施設のうち低圧電力を需給している78施設149契約について、電気事業者に対し電気料金の削減提案書の提出を依頼し、最も削減見込額の大きかった事業者と2年間の需給契約を締結した。