
地域の特色を活かす子育て施策の総合支援
令和7年度から5年間の「大磯町こども計画」を定め、推進している大磯町。計画を実現するにあたって、長年、子育て支援事業を展開してきた「フレーベル館」と包括連携協定を結び、実行力を強化したのだという。
※下記はジチタイワークスINFO.(2025年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[PR]株式会社フレーベル館
大磯町
町民福祉部 子育て支援課
こども政策・子育て支援対策本部担当課長
高橋 正寿(たかはし まさとし)さん
“こどもまんなか”のまちを実現するにはリソースが不足。
同町では医療費助成の拡充や小学校給食の無償化など、子育て支援に積極的に取り組んできた。令和5年12月に閣議決定された「こども大綱」を受け、さらなる支援の充実に向けて、年度内にこども計画の策定に着手。しかし、新たな施策づくりや推進力の確保には課題があったという。「このまちで子育てがしたいと思ってもらえるような計画を実現できればと考えていましたが、小さな自治体ではノウハウや人材に限りがあります。そのため、伴走パートナーとなる事業者の必要性を感じていました」と高橋さん。
そんな折、同社から“遊び場づくり”や“保育士の育成”などの提案資料が届いた。そのサービスの幅広さに興味をもち、詳しい説明を聞く場を設けたそうだ。「計画策定にあたり住民向けのニーズ調査を行ったところ、多様な意見が寄せられたのですが、その“声”をどう反映していこうかと悩んでいました。長年、子ども・子育て分野で多角的にサービスを展開している同社の知見を借りることで、漠然としていたアイデアを形にできそうだとビビっときたのです。都心にある本社を訪問したこともあり、チームで一体感をもって進められそうな雰囲気にも心強さを感じました」。そうして協議を進め、包括連携協定の締結を同社に提案。令和6年12月に、同町では子ども・子育て分野で初となる事業者との協定締結に至ったそうだ。
地域資源を活用した保育と居場所づくりを柱に取り組む。
協定の内容は、室内外の遊び場整備・保育人材の育成・絵本やデジタルプロモーションを通じた情報発信など、協議を重ねて様々な連携項目を決定。その中でも柱となるのが、「砂育(すないく)保育」と「子どもの居場所づくり」だという。同町では、日本の海水浴場発祥の地として、広大な砂浜を地域資源の一つに位置付けている。「協議の中で同社が、保育での砂場活動を展開していることを知りました。主に海水浴の時期にしか利用されないことをもったいないと思っていたので、活用しない手はないと考えました」。こうして、子どもの砂遊びの機会創出や、サンドアートのイベントなどを計画。幼少期から砂に親しむことで、まちへの愛着を育てるねらいもあるのだという。
また、子どもの居場所づくりに関しては、まずモデルケースとなる“遊び場”の環境整備を予定している。同社は、子育て施設の企画・運営を多数の自治体で手がけており、そのノウハウの活用にも期待している。「町内の空き家をはじめ、浜辺や山など自然のフィールドも活用して、子どもたちの居場所を増やしていきたいと考えています。また、多世代が交流できるつながりも生み出し、まちぐるみで育児をサポートすることによって、保護者も自分の時間がもてるような環境づくりをしていく計画です」。
若い世代から選んでもらえる魅力あるまちを目指して。
計画をもとに、いよいよ今年度から具体的に動き出した同町。連携を通し、担当職員も刺激を受けているという。「子どもたちの声をどのように施策に活かせるかなど、具体的なアドバイスを受けています。その知見から学ぶことは多く、職員自身も成長の機会になっています。この計画は5年にわたる取り組みです。子どもたちが健やかに育ち、ワクワクいっぱいのまちを実現するために、これからも同社の力を借りながら、一緒に施策を推進していきます」。
同町からは、進学や就職で転出する若者も多い。子育てをするときには戻ってきたくなるようなまちにしたいという思いがあり、若い世代に選ばれる魅力づくりも目指している。長期的に見て子ども施策は、まちの人口の安定化や若者のUターンにつながることが期待できるという。事業者の協力を得ながら、地域の特色を活かす子育て支援の取り組みは、多くの自治体にとって参考になるのではないだろうか。