取組概要
・市販のSNSアプリケーション(LINEWORKS)及び安否確認システムを活用して、行政、医療機関、訪問看護ステーション、福祉避難所、医療的ケア児者等と情報連携し、大規模災害等に対応した災害医療ネットワークを構築した。
取組期間
・平成30年度~LINEWORKS導入
・令和2年度~安否確認システム導入
※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2020」の応募事例から作成しており、本記事の内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。
背景・目的
・大規模災害時には、速やかに医療救護活動方針を策定し、市内医療機関と連携して実施する必要があるが、災害医療コーディネーター、救護病院、医師会医療班員等と情報連携する仕組みの構築が課題であった。
・平成30年9月の台風24号による大規模停電において、在宅人工呼吸器使用者等の安否確認及び速やかな支援が課題となった。
取組の具体的内容
・災害医療ネットワーク会議(行政、医療機関、医療関係団体等)を設置し、構成員の情報伝達手段としてLINEWORKSを導入した。また、災害協定を締結している医師会等の医療班員との情報伝達手段として安否確認システムを導入した。安否確認システムについては、このほか、避難所等の情報収集、在宅で人工呼吸器等を使用している医療的ケア児者の安否確認等も行う。
LINEWORKS
・西日本豪雨災害における保健師派遣チームとの情報伝達・情報共有(H30.7)
・大規模停電時における医療機関の停電状況の把握と関係者間による情報共有(H30.10)
・新型コロナウイルス対策における感染症専門家等との対策協議、入院調整等(R2.4~)
安否確認システム
・新型コロナウイルス対策における各医療機関の患者受け入れ可能数等の報告及び情報共有(R2.4~)
・医療班、歯科医師班、薬剤師班、災害支援ナースの安否確認、派遣要請等の情報伝達(約1,100人)
・避難所、救護所等の避難者数、負傷者数、要支援者数等の情報収集・集計・共有(約260ヶ所)
・福祉避難所等の被災状況、避難者受入可否等の情報収集・集計・共有(約180ヶ所)
・医療的ケア児者の安否確認や情報提供及び関係者間での情報共有(約300人)
図1 災害医療ネットワーク図(LINEWORKSと安否確認システム)
図2 西日本豪雨災害時における保健師チームとの情報伝達(左)と、台風24号による大規模停電時における災害医療コーディネーターとの情報伝達(右)
特徴(独自性・新規性・工夫した点)
・災害医療ネットワーク会議を新たに設置し、その構成員の情報伝達手段としてLINEWORKSを導入した。使用料は行政で負担し、構成員には無料で使用してもらっていることから、構成員の導入率は100%である。
・安否確認システムは安否確認だけでなく、掲示板機能、メーリングリストのような一斉送信、個別連絡、アンケート調査などの機能を活用できる。
・記録が残るSNSでの情報伝達を第一選択としている。
取組の効果・費用
アプリケーションの利用であるため、ユーザー設定やグループ化を行った後、設定票を医療機関等に配布するだけで使用可能となり、システム構築が不要で、導入が簡単である。
・LINEWORKS使用料(240 ユーザー) 年間950千円
・安否確認システム使用料(2,500 ユーザー) 年間924千円
取組を進めていく中での課題・問題点(苦労した点)
・LINEWORKSは、システムにログインしないとすぐに情報伝達ができないため、情報伝達訓練等を実施しても、既読にならない医療機関等がある。このため、既読にならない医療機関等については、直接電話をかけて情報伝達を行っている。
・安否確認システムについては、医師会等と連携しながら登録を行っているが、登録率や返信率が課題となる。
・個人情報は原則として取り扱わない運用としている。
今後の予定・構想
・大規模災害時には国のシステム(例:EMIS)等で情報共有を行うことになるが、全国からのアクセス集中によりサーバーが混雑し、システムから情報を得ることが難しくなることも想定される。このような場合の代替手段としてクラウドサーバーを用いたLINEWORKSや安否確認システムが活用できる。
他団体へのアドバイス
・行政以外の関係者との情報ネットワークになることから、普段から顔の見える関係作りが出来ていれば、システムの導入がスムーズにいくと思われる。
取組について記載したホームページ
(ワークスモバイルジャパンHP)https://line.worksmobile.com/jp/cases/hamamatsushi/
問い合わせ先
静岡県 浜松市 健康医療課
053-453-6138