ジチタイワークス

長崎県壱岐市

Industry4.0を駆使したスマート6次産業化モデル構築事業

取組概要

壱岐市テレワーク施設を拠点とし、本市の官民連携まちづくり法人である「一般社団法人 壱岐みらい創りサイト」が中心になって、実行部隊としての「壱岐なSociety5.0活動推進事務局」を作り、ICTやAIなどの先進技術を1次産業に取り入れ、対話交流による技術の共有と学習、環境改善への応用を実現し、Industry4.0を駆使した新たな6次産業モデルを確立する。

取組期間

平成30年6月~(継続中)
 

背景・目的

1次産業の共通課題として、労働者の高齢化・後継者不足がある。1次産業の定植、栽培から生産、加工、販売までの一連の工程を、ICT及びAIを活用したスマート化による垂直統合を行うことで、業務工程の見える化を実現し、全工程を取り残さず科学的思考を踏まえた対策の立案に着手する。これにより、「担い手不足の解消」「1次産業労働者のQOL向上」「技術伝承」「取引先の拡大」といった価値が創出し、1次産業の持続可能性につなげる。

1.担い手不足の解消
ICTによる業務範囲の選択と集中により、少ない労働者での業務完結が実現する。

2.1次産業労働者のQOL向上
生産者が販売管理に活動範囲を拡大することにより、稼げる1次産業労働者を生み出す。

3.技術伝承
業務工程の可視化が技術伝承を容易にし、後継者育成に繋げ、持続可能性を推進する。

4.取引先の拡大
2次データ等も活用した生産予測による高精度な出荷計画と計画的な生産規模の設計を実現。さらに、生産工程可視化によりトレーサビリティを徹底し、取引の信頼性を獲得して取引先の拡大を見込む。

取組の具体的内容

1.全行程の一元管理
本市の基幹作物であるアスパラガスを対象に、栽培、収穫、仕分け、輸送、加工、販売までの全工程に最新のシステムを導入し、一元管理を行う。
・1次産業では、農業のスマート化に取り組み、土壌管理技術や農作技術、伝承技術を活用した農業の科学化を実施する。2次産業では、生産量の可視化により需要を拡大し、廃棄となるアスパラガスの食品ロスを解消するために、食品加工工場の誘致を図る。3次産業では、WEB等を活用した直販体制を確立し、地産地消で廃棄ゼロを目指し、島全体で、2030年にあるべき6次産業化モデルを実現する。
・出荷場や加工場への輸送は、クリーンエネルギーを活用した自動輸送により、生産物の拠点輸送の実現を図る。
2.ICT雇用の創出による堅牢なシステム運用体制の構築
ICT教育プログラムを施して市民を育成し、ICT関連の雇用を創出する。また、外部のICTスペシャリストの移住により、堅牢なシステム運用体制を構築する。
3.興味喚起による環境啓蒙
行動経済学で提唱されているナッジ(ひじで軽く突く)を活用し、強制ではなく、自発的な行動を促す環境啓蒙イベントや市内中高生を対象とした環境教育プログラム等を実施する。
 

特徴(独自性・新規性・工夫した点)

・栽培、収穫、仕分け、輸送、加工、販売までの全工程に最新のシステムを導入し、一元管理を行う。
・アスパラガスの自動灌水システムを構築し、作業量の軽減と収量アップに繋げる。
・スマート農業の構成メンバーとして、連携企業だけでなく、専門的な知識を有する県や農協の職員にも協力いただき、壱岐市が一体となり、事業を進めている。
・ドローンや自動輸送機による自動輸送を行い、輸送工数を削減するとともに、環境にやさしい社会の実現を図る。
・連携企業である「富士ゼロックス」の持つコミュニケーション技術を活用し、様々な事業に住民の声を反映する対話交流のインフラ(みらい創りプロジェクト)を確保している。
・これまで、出荷のため長さ調整されたアスパラガス(残渣)約30tは、焼却場にて廃棄されていた。食品ロスの観点から、この残渣を加工し、商品化できないか検討する。
・水素発電、洋上風力発電など次世代エネルギーの調査・研究を行い、環境にやさしい社会の実現を図る。

取組の効果・費用

・ICTやAIを駆使し、最適な環境(水や温度、湿度)の下で効率的に農業を行うことができる。現在、開発中のアスパラガスの自動灌水システムを将来的には全国展開や多産業への応用に繋げていく。
・壱岐なみらい創りプロジェクトから生まれたテーマのうち、約7割のものが、何らかの形で実現している。
・環境教育プログラムを実施することで、中学生のSDGsの興味・関心が増大しているほか、ナッジによる保護者のSDGs活動推進への効果が見られた。

取組を進めていく中での課題・問題点(苦労した点)

・食品ロス解消のため、関東圏を拠点に全国で事業を行う加工食品会社と交渉を行ったが、工場建設に多額の経費がかかるなどの理由で断られ、誘致に至っていない。
・アスパラガスの残渣には繊維質が多く、通常、加工場に設置しているミキサーでは完全に処理することができないため、今後地元企業にご協力いただきながら、調査・研究していかなければならない。
・自動輸送の取組は航空法及び道路交通法など法律の規制があり、なかなか思うように事業が進んでいない。

今後の予定・構想

ICTやAIなど先進技術を積極的に取り入れることで、1次産業が抱えている高齢化や後継者不足問題の改善が図られるほか、若者から高齢者まで幅広い世代との対話交流により、イキイキと暮らし、誰一人も取り残さない安心・安全な未来社会を実現する。

他団体へのアドバイス

・多様なステークホルダーとの連携が必要。
・官民協働で事業を進めることが重要。
・PDCAの確実なサイクルと関係者間でのフォローアップが重要。

取組について記載したホームページ

壱岐市SDGsホームページ http://iki-sdgs.jp/

問い合わせ先

長崎県 壱岐市 SDGs未来課
0920-48-1137

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