ジチタイワークス

神奈川県横浜市

【石塚 清香さん】コロナ禍による窓口の混雑を申請のオンライン化で解消。

■危機関連保証制度のオンライン化

「危機関連保証制度」は、大規模な経済危機や災害などによって売上高が減少している中小企業者を支援する措置。横浜市ではコロナ禍で申請者が窓口に殺到し、1日190件を超えることも。

そこで申請者の窓口滞在時間を削減するため、石塚さんの発案から2カ月で申請をオンライン化した。入力項目と添付書類を減らし、中小企業庁とかけあって押印を省略可能にするなど、コロナ禍を経て浮上した行政デジタル化の事例として話題になっている。

申請のオンライン化を進めた横浜市職員の皆さん(写真提供 : 株式会社グラファー)

※下記はジチタイワークスVol.12(2020年11月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

横浜市 経済局 新産業創造課 ICT専任職

石塚 清香さん( 入庁29年目)

神奈川県東部にある横浜市は、安政6年に開港してから、あらゆる人やものが行き交い、多様な文化を花開かせながら発展してきた。令和2年10月現在は約376万人が暮らし、日本の市町村で最も人口が多い横浜市で、ICT専任職として活躍する石塚さんに話を聞いた。

 

課題の解決にITを活用。

横浜で生まれ育ち、愛する横浜のために働きたいと入庁して約30年が経ちます。ITに興味があり、教育委員会でハード・インフラ整備を10年、総務局情報システム課で国民健康保険のシステム運用を6年担当する中でITの知識と経験を身につけました。

その後、市のアントレプレナーシップ(庁内ベンチャー)事業に手を挙げたことがきっかけで、同市金沢区で「かなざわ育なびnet」という子育てポータルサイトを構築。子どもの生年月日と郵便番号によってパーソナライズされた情報を得られるようにしたところ、これがバズって、各地で似たシステムが立ち上がりました。続けて手がけた緊急時情報システムも、今はいろいろな自治体で使われています。

平成29年にはICT専任職に着任。コロナ禍で窓口が密になっていることに危機感を抱き、横浜市と民間企業、そして国の協力も得て取り組んだのが、危機関連保証制度の申請オンライン化です。来庁者の滞在時間は最大3時間から約1〜2分、庁内の作業時間も1時間から10分に短縮できました。ITの導入を検討するときは、目的を見据え、現状の問題を洗い出し、ITによって本当に課題を解決できるか見極めることを重視しています。

日々の積み重ねを大切に。

“スーパー公務員”という言葉ができ、派手な取り組みばかりが注目されますが、日々の小さな改善のタネを見逃さずに実行する“積み重ね”が、仕事において大切なことだと考えています。昨日10分かかった仕事が今日5分でできるなら、それは成長です。あとは、タイミングを逃さないこと。前はできなかったことも虎視眈々と待てば実現できるタイミングが来たりするので、時勢を読むようにしています。

例えば育なびも、行政が持つ情報資産を開示するオープンデータを推進したいとずっと思っていたら、タイミングが合って実現しました。そのために普段からセミナーに参加して知識をつけたり、他自治体や民間の方と話したり、SNSなどで意見交換をしたりして、日々情報収集をしていました。このように小さな改善やインプットの積み重ねをしながら、タイミングを見てアウトプットを行うことが、大きな成果につながると考えています。

ICTを活用することで、皆さんの不便を解消してQOLを向上させたい。私自身3人の子育てをしながら働き続けてきたので、無駄を省き負担を減らしたいという思いが強いのかもしれません。横浜で実装し、かつ他都市に横展開できるような事例をつくり続けられたらと思います。

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