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愛媛県東温市

いつでもどこでもつながる業務環境の整備とセキュリティ強化に向けた取り組み。【行革甲子園2024】

全国の市区町村の創意工夫あふれる取り組みを表彰する、愛媛県主催の「行革甲子園」。7回目の開催となった令和6年の「行革甲子園2024」には、35都道府県の78市区町村から97事例もの応募があったという。

今回はその中から、愛媛県東温市の「いつでもどこでもつながる業務環境の整備」を紹介する。

※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2024」の応募事例から作成しており、内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。

取り組み概要

自治体職員は、日々庁内外でのやり取りをパソコンや電話で行っているが、データの保存場所や通信環境に制限があり、自席のパソコンを使用する必要があった。そこで東温市では、令和4年度より、情報系・インターネット系ネットワークの無線化、業務端末のモバイル化、ビジネスチャットの導入など、デジタル化推進を図り、業務改善に取り組んでいる。

背景・目的

庁内に無線LAN環境がないため、自席(有線LAN)またはWi-Fi機器を予め用意した環境でしか業務やWEB会議ができなかった。また、職員間でいつでもどこでも容易に情報共有や意見交換をできる仕組みがないため、必要以上に内線での電話連絡・対面(オンサイト)での会議・協議・打合せが生じていた。

また、会議・協議・打合せの資料は、人数分を印刷し準備するなど、紙ベースで実施する必要があった。

取り組みの具体的内容

庁内に無線LAN環境を整備
WEB会議を行う時に、Wi-Fi機器が不要となる。

情報系端末の更改時に、モバイルパソコン及びデュアルディスプレイを導入
モバイルパソコンにすることで、持ち運びが容易となり、会議のペーパーレス化を推進する。また、通常業務時には、デュアルディスプレイにより視認性・業務効率の向上を図る。

全国での利用実績も多いビジネスチャット(LoGoチャット)を導入
職員間の連絡の場合、内線電話を利用することが主だったが、相手が離席しているときには、いつ情報が伝わるか不明瞭であることから、モバイルアプリを導入した。これまでは、災害発生時に職員参集・安否確認を行う場合、メールの一斉送信を行っていたが、キャリアメールの利用率の低下、LINEなどのSNSが主な連絡手段となっていることから、職員参集メールの運用をLoGoチャットでの運用に切り替えた。

特徴(独自性・新規性・工夫した点)

どこでもつながれる環境を整備すると同時に、顔認証システムを導入し、セキュリティ強化をねらう。これまで、端末へログインする時はパスワードのみを用いていたが、顔認証にすることで、業務データの保存フォルダへのアクセス制限の見直しによるセキュリティ強化が図られた。

また、個人のデスクトップやドキュメントフォルダに保存されていたデータを、所属課共通のフォルダに保存するよう徹底したことで、担当者が不在でもアクセス可能となり、業務効率が上がった。

取り組みの効果・費用

Wi-Fi機器の数に限りがあったため、複数のWEB会議が重なると庁内での調整や参加困難となる場合もあったが、無線LANの整備とモバイルPCの配備によりいつでもつながれる環境となった。デュアルディスプレイの使用により、複数のファイルを開いたままでも作業が可能となり、効率が上がった。

休日や時間外に連絡を取る必要がある場合、緊急連絡先として登録している電話番号を調べる必要があったが、ビジネスチャットの導入により、その手間がなくなった。また、チャット導入に当たっては、愛媛県及び県内市町と共同調達することで、費用が削減できた。

写真撮影した後のデータの送信や取り込みが容易になったことで、リアルタイムでの情報共有が可能となった。

取り組みを進めていく中での課題・問題点(苦労した点)

財源確保
ネットワークの無線化には、多額の費用がかかったが、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用することができた。

セキュリティ強化
場所を選ばずパソコンを使用することが可能となったため、誰でも情報にアクセス可能となる危険があったが、顔認証システムの導入により、どのパソコンを使用しても、所属課以外の情報にはアクセス不可となるよう、セキュリティ強化を図った。

今後の予定・構想

フリーアドレス等固定の自席にとらわれない働き方の検討を進めるなど、今後も継続して利用していく中で、取り組みを拡大していく。

他団体へのアドバイス

ワークスタイルの変革は、慣れないうちは不便を感じるかもしれない。実際、デュアルディスプレイの導入直後はほとんど活用されず、視界が悪くなった上、机上が狭くなっただけに感じていたが、画面拡張による複数同時表示など、利用すると作業効率が上がったことを実感している。導入前の検討はもちろん必要だが、あまり拒否反応を示さず取り入れてみるということも重要であると考える。

 

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