ジチタイワークス

東京都狛江市

“ナッジ理論”を活用した新しい施策で、自転車の押し歩き率が大幅に向上。

※下記はジチタイワークスVol.33(2024年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

狛江市 企画財政部 未来戦略室
田代 興大(たしろ ともひろ)さん
 

近年、幅広いシーンへの活用が注目されている「ナッジ理論」。ナッジとは、行動経済学の知見を活用し、人々が自分自身にとってよりよい選択を取れるよう、自発的な行動を促すことを指す。このナッジを用いて高い成果を挙げているのが、狛江市「南北自由通路“おしチャリナッジ”プロジェクト」だ。

狛江駅改札前の歩道を自転車に乗ったまま通る人が多いことで、安全確保に課題を感じていた同市。そこで令和5年5月、自転車の押し歩きの促進に向けて、プロジェクトチームを発足。メンバーは職員と、市民のデザイナーで構成した。市民視点やデザイン思考を施策に反映させるねらいがあったという。まずは駅前で人や自転車の動きを調査し、そこから「歩行者優先」というルールが分かりにくいことに着目。「禁止を強調するのではなく、“自転車を降りた方がいいんだろうな”という雰囲気づくりに注力しました」と田代さん。空間デザインの観点から、ベンチや植栽、メッセージ入りのサインなどを設置した。

8月に2週間の効果検証実験を行ったところ、実験前は43.9%だったおしチャリ率がぐんぐん上昇し、最終日には90.9%を記録。その後のモニタリング調査でも高い効果が継続しているという。今後は駅前のにぎわい創出にもつなげていくそうだ。


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