※下記はジチタイワークスVol.30(2024年2月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
冬季の除雪に課題を抱えているのは、豪雪地帯だけではない。高齢化率46%と少子高齢化が進む上野村もその一つだ。雪が降るのは年に数回だが、一度降ると数十cm積雪するという。その際は、村を挙げて除雪作業にあたるものの、高齢で作業に参加することが困難な村民もいる。「高齢者の中には、作業ができないことに引け目を感じ、自宅の除雪支援を受けることに抵抗を感じる人もいるのです」と湯澤さん。そこで、同村として取り組んだのが「雪のほっと休憩所」だ。
社会福祉協議会の職員が高齢者の戸別訪問を行い、実態を調査。除雪支援が必要な世帯には、作業への参加ではなく、作業する村民の休憩所として玄関先を提供する形で、参加してほしいと呼びかけた。そうすることで、両者が“支え手”となる関係性に。該当世帯には、ステッカーをポストに貼ってもらい目印にすることで、作業する側も声をかけやすくなったそうだ。「令和3年度には59カ所に設置しました。ただ数値目標を追及するのではなく、時間をかけてでも自然と共助を広げていきたいと思っています」。
この休憩所は、コロナ禍で途絶えていた村民同士の交流の場にもなっている。村民の2割がIターン者であるという同村においては、コミュニケーションの場としての機能にも今後期待しているそうだ。
▲ステッカーを目印に訪れた作業ボランティアと交流をする村民。
上野村 地域包括支援センター
湯澤 誠(ゆざわ まこと)さん