兵庫県姫路市では、飲食店や食品小売店などから発生する食品ロスの削減に向けた施策として「姫路市食品ロス削減マッチングサービス」を運用している。国をあげて取り組むべき課題として位置づけられている“食品ロスの削減”に対する同市の取り組みの詳細を紹介する。
※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2022」の応募事例から作成しており、本記事の内容は全て「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。
背景・目的
令和元年10月1日に「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行され、食品ロス削減は、国をあげて取り組むべき課題として位置づけられています。
姫路市では、それに先立ち平成30年3月に策定した「姫路市一般廃棄物処理基本計画」において、食品ロス削減によるごみの減量化を重要施策の一つと位置付け、様々な取り組みを展開しています。
食品ロス削減は、市民の意識改革を促す必要があるが、啓発がしづらく、効果が見えにくい状況でした。しかし、マッチングサービスを姫路市の食品ロスのシンボルまたは市民の意識改革の動機付けとして啓発を行い、その効果を公表することで市民の「もったいない」精神の醸成を図って行くために導入しました。
取り組み事例
「姫路市食品ロス削減マッチングサービス“Utteco Katteco by タベスケ”」
姫路市ホームページ | 食品ロス削減マッチングサービス「Utteco Katteco by タベスケ」(姫路モデル)について
姫路市ホームページ | 食品ロス削減の取り組み「姫路市食品ロスもったいない運動」について
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取り組み期間
令和2年度~(継続中)
取り組みの内容
本サービスは、WEBサイトおよび姫路市公式アプリ「ひめじプラス」に、市内の食品関連事業者が消費期限・賞味期限の迫る食品や生産・流通における規格外品など、廃棄になる可能性のある食品を通常価格よりも安価で販売する情報を発信しています。
消費者(市民)は、それらの情報をもとに希望商品の注文予約がスマートフォンやパソコンでできるシステムであり、この需要と供給をマッチングさせることで、事業系食品ロスの削減に取り組んでいます。
【サービスイメージ】
取り組みを進めていく中での課題・問題点(苦労した点)
取り組みを進めていく中での課題としては、協力店の募集に関する点で、姫路市では「姫路市“食品ロス”もったいない運動推進店」登録事業者を中心に、サービスの内容の告知を行いましたが、業種や営業形態の違いから協力店数増には直結しませんでした。
しかし、各メディアを活用することで、新たな協力店獲得につながりました。また、「食品ロス削減=ごみ減量」として啓発をしてしまいがちでしたが、利用者は「ごみ」を“売ってる・買ってる”わけではないので、「ごみ」を強調しないように気をつけています。
特徴(独自性・新規性・工夫した点)
実施するからには、“日本一のフードシェアリングサービス”の提供を目指して、参加事業者(協力店)およびユーザーから登録料・手数料を一切取らない完全無料して運営を開始しました。
また、自治体初のマッチングサービスであるので、事業系の食品ロス削減はもちろんのこと、家庭系食品ロスの削減にも寄与できるように、フードバンク情報とフードドライブ情報の提供ができるようにしました。
さらに、自治体が導入しやすくするため、月別で新規ユーザー数、新規協力店数、出品数、取引成立数、削減量、売上額がリアルタイムで確認できるようにしています。
効果・費用
令和4年4月末現在の実績および効果は、以下のとおりになります。
・協力店舗数:36店舗
・ユーザー数:17,685人
・出品数:延べ1,803品目
・取引成立数:延べ5,879件
・削 減 量:8,090,205g
・売上金額 :3,204,729円
取り組みに要した費用は、以下のとおりになります。
・導入費用:約100万円
・運営費用:792,000円/年
・啓発費用:約30万円
今後の予定・構想
「『姫路モデル』を全国に!」をスローガンに兵庫県内、関西、全国の自治体へと広げていきたいです。また、協力店舗数を令和5年度末には100店舗、食品ロス削減量も年30tを目指します。
他団体へのアドバイス
「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行されて以降、食品ロス削減が叫ばれていますが、食品ロス削減、ごみ減量だけでは、事業者(店舗)の協力が得られにくいです。売上、顧客確保、廃棄物処理経費の削減の点についてもアピールし、事業者・ユーザーにつなげてください。