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DXと広域連携の相乗効果で、インフラの維持・管理を未来へつなぐ。

インフラの予防保全を目指す共同事業
インフラの老朽化問題が全国で浮上している。しかし、道路・橋梁・水道など地域インフラの数は膨大で、人員不足や財源の問題もあり、対策は容易ではない。この課題解決を模索する取り組みが甲斐市で進んでいるという。
※下記はジチタイワークスVol.42(2026年2月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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甲斐市
まちづくり振興部 建設課
係長 櫻田 隆樹(さくらだ たかき)さん

甲斐市
まちづくり振興部 建設課
主任 和田 匠(わだ たくみ)さん
慢性的なリソース不足を打開するため周囲と力を合わせて突破口を探る。
同市の建設課は道路や水路の管理業務を担い、日々のメンテナンスを実施しているが、現場業務での人員不足は慢性化していたと和田さんは話す。「道路の破損や水路の詰まりなど、軽微なものは職員と現場作業員が対応しています。しかし人的リソース不足は深刻で、時間外労働や休日出勤が常態化していました。維持費の負担も増えており、何とかしなければと感じていました」。
頭を悩ませていた中、「NTT東日本」から道路維持管理の効率化に関する提案があった。国土交通省が提唱する“群マネ(※)”の考え方にもとづいた内容だったという。周辺自治体と連携しつつ、事業者や地域住民とも手を組み、インフラ全体の包括的なDXと予防保全への転換を進める取り組みだ。「同社は、我々と同じくインフラ維持管理者としての視点をもち、最先端の技術や知識もある。そうした企業スキルを評価し協働することに決めたのです」。令和7年2月に同社と連携協定を締結。さらに隣接する韮崎市(にらさきし)と提携し、山梨県のアドバイスを受けながら、総務省の実証事業にプランを提案。採択を受け、道路維持管理業務の効率化に向けた“甲斐市・韮崎市の共同実施モデルの検討”を開始した。
※地域インフラ群再生戦略マネジメント=複数自治体、複数分野のインフラを“群”として捉え、それらを包括して効率的・効果的に維持管理・再生する手法



3つの軸によるDXとデータ連携で予防保全への転換を目指す。
実証事業は3つの軸で構成されている。まず“道路の点検業務DX”では、市営バスや公用車にドライブレコーダーを取り付け、録画データを回収。それをAIで解析し道路の穴やひび割れなどを検出する。次に“住民問い合わせ対応DX”では、住民からの通報をデジタルで一元管理し、可視化することで業務の効率化を図る。そして“データの利活用”では、収集した情報を効果的に分析できる仕組みを構築し、道路の劣化状況の把握や今後の修繕計画に活かしていくというものだ。
実証エリアは甲斐市と韮崎市。すり合わせていく中での気づきもあったという。「維持管理体制や職員の配置、デジタル化の状況など、自治体ごとに違いがあります。そうした中でも共通点を見つけ、応用しやすい仕組みを構築できるよう知恵を絞りました」。
事業の準備段階では、自治体間の調整を必要とする場面が多々あったが、そうした際には同社の調整力や企画力が大いに役立ったそうだ。「自治体業務に関する知見やコネクションを活かしてフォローしてもらいました。様々なアドバイスを受けつつ、取り組みのけん引役を務めてもらっています」。

取得したデータを広く活用しインフラ保全を計画的に進める。
令和7年4月にスタートした実証事業は、データ取得やシステム構築・運用を経て効果検証に移る。この試みへの期待は大きいと櫻田さんは力を込める。「今回得た知見は、今後の修繕計画や業務の標準化に活かせるはず。通報への対応もスムーズになり、住民サービスの向上につながると考えています」。同時に、街灯や施設、公園などの公共インフラ管理にも展開できるのではと見込む。
多くの自治体が事後保全で対応せざるを得ない状況の中、何か起きてからでは取り返しがつかないこともある。今回の共同検討は、こうした現実から住民を守る取り組みであると同時に、“職員のメンタルも守る”ものだと付け加える。「職員は、通報を受けたら現場に行って対応し、庁舎に戻ってから通常業務に取りかかります。この負荷が少しでも軽くなれば、ワーク・ライフ・バランスも高まるのではと期待しています」。
ちなみに、事後保全から予防保全への転換でトータルコストを大幅に縮減できる国の推計もあるという。現在のインフラ課題に向き合いながら、地域を守る使命と、省力化・省コスト化の両立を目指す同市の取り組みに、今後も注目したい。


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