【4STEPで分かる!未来のお金特集】
STEP1 公務員の人生に必要なお金
STEP2 資産づくりの不安と疑問Q&A
STEP3 投資のキホンと押さえたいコツ ←今回はココ
STEP4 どう投資すればいいの?重要キーワードは、長期・グローバル分散
資産づくりへの意欲が湧いてきても、いざ投資するとなると、「基本的な知識がない」「失敗したらどうしよう」という不安が生じがち。そこで、みずほ証券の中村さんに、始める前に知っておきたい「キホン」と、押さえておきたい「コツ」を聞いた。
※下記はジチタイワークス公務員特別号(2021年3月末発行)から抜粋し、記事は取材時(同年2月)のものです。
[提供]みずほ証券株式会社
1.まさに基本のキ。「日経平均株価」について説明できますか?
日経平均株価とは、日本経済新聞社が東証一部上場企業から独自の基準で選んだ225社の株価の平均値のことです。国内経済の浮き沈みを知るバロメータとして、広く普及しています。この日経平均株価などに連動した投資商品が、上場投資信託(ETF=ExchangeTraded Fund )です。個別株への投資は、うまく運用できれば短期間でリターンがねらえるので魅力的に感じられますが、同時に運用リスクも高くなります。その点、日経平均株価のETFは、225銘柄の分散投資となるため、相対的にリスクが小さく、また少額からの投資も可能です。初心者の方は、まずETFを押さえておきましょう。
2.国民に不安視されている年金制度。実は、年金基金も株式運用しています。
厚生年金や国民年金など、老後に備えた積立金の管理・運用を行う年金基金。その代表格として、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF=Government Pension Investment Fund)があります。このGPIFの株式を含む運用資産は、180兆円超で世界最大規模。そのうち約50%にあたる90兆円超が、リスクが高いと同時に大きな収益が期待できる外国株式や国内株式(リスク資産)で運用されています。その他の約50%は外国債券や国内債券(安全資産)で、リスクの低い運用がされています。しかし近年では、運用の環境改善のために、外国株式や国内株式の比率を高めている傾向にあります。
3.国内最大級の投資家!?日銀のETF買い入れとは。
日本銀行は、上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT=Real Estate Investment Trust)などの資産を金融機関から買い入れています。買い入れを通じて市場に資金を供給し、“物価の安定”と“金融システムの安定”をめざしているのです。コロナ危機で日銀の買い入れ上限額が上がったというニュースを耳にした方もいるかもしれません。具体的には、2020年3月に日銀の買い入れ上限額を年間6兆円から12兆円に増額。この額は、東証一部の時価総額の2%を占めるほどの額です。日銀がこれまでに買い入れた額は時価で40兆円台後半にも及び、売る時期も近いという警戒感がありました。しかし上限額の増額で安心感が広がり、コロナ危機でも価格が暴落することなく、株高になっているという背景も知っておくといいでしょう。
4.投資のコツ、5つのリスクを知り、3つの分散投資でリスクをコントロール。
投資にはリスクがともないます。運用においてのリスクとは、危険や損失のことではなく「リターンのブレ幅」のことを指します。代表的なリスク(図参照)として5つ挙げられますので、それぞれを正しく理解しておくことが重要です。
ここでは、そのうち2つを簡単に説明します。
①価格変動リスク: 世界各国の景気や社会情勢、企業業績の良し悪し等が影響し、株価等は日々変動します。
②金利変動リスク: 一般的に金利が上昇すると債券価格は下落、金利が低下すると債券価格は上昇します。
これらのリスクを減らす方法として、3つの分散投資があります。
①資産分散: 資産や銘柄の間での値動きの違いに着目、異なる値動きをする資産や銘柄を組み合わせる。
②地域分散: 投資対象地域による値動きの違いに着目、異なる地域の資産や通貨等を組み合わせる。
③時間分散: 少額・定期定額の積立運用を行うことで、長期的には投資価格は平準化されていきます。
5.相場の5合目である「52週線」と「長期チャート」を投資のモノサシに。
相場の平均値である“5合目”はご存知ですか。まずは、そのモノサシとなる「長期チャート」の見方を知っておきましょう。そもそもチャートとは、過去の株価の値動きをグラフ化したもの。上がるか下がるか、株価の“天井”や“底”を判断する際に使います。チャートを確認する際に注目すべきなのは、「52週線」。直近1年間における株価の平均値の線のことです。この52週線の上下それぞれ2割くらいの範囲で、日経平均株価は変動する傾向がみられます。例えば、日経平均株価の52週線が2万3,000円台、現在値が2万7,000円台の場合、毎月コツコツ積立をしていれば、1年で2割近くの評価益になります。
つまり、この長期チャートが投資判断の目安になるといえるのです。ポイントとしては、積立であれば“買い続けるだけでいい”ということ。特別な情報を集めなくても、給与の一部を積み立てるだけで、時間分散を利用した長期的な投資ができるといえます。一般的には、月次給与の1割ほどを積み立てる方が多いようです。
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■アドバイザー
みずほ証券
マーケットストラテジスト
中村 克彦(なかむら かつひこ)さん