ジチタイワークス

福島県会津若松市

住基情報をリアルタイムに位置情報化!~統合GISによる業務改革~

取組概要

本市では、東日本大震災を契機として、統合GIS(用途を限定せず、複数の情報を統合して運用するGIS)を
導入し、地理空間情報を軸とした所属間での情報共有の促進を図った。また、基本情報として、住民基本台帳の全てをGIS上のポイント(点)情報として落とし込み、これを最新の住基情報が毎日反映される体制を構築した。

取組期間

平成25年3月11日~現在

※本記事は愛媛県主催の「行革甲子園2020」の応募事例から作成しており、本記事の内容はすべて「行革甲子園」応募時のもので、現在とは異なる場合があります。

背景・目的

東日本大震災などの災害を契機として、要援護者の支援体制の必要性が提起された。
この検討の中で、平時において普段使いできるツールを導入することによる、災害時に即応できるスキルの維持や、職員が活用することによる「気づき」の促進、最新の住民情報を軸とした各種情報の統合を図るため、「住民基本台帳と連動した統合GIS」を構築した。

取組の具体的内容

各種情報を統合する基点情報として、全ての住民基本台帳(約12万件)に対して位置情報を付与した「住民ポイント」を整備した。
住民ポイントの更新は市民課窓口で行っており、転入や転居などの手順中に位置情報の付与を組み込むことで、常に前日の最新情報が反映され、GIS上で使用することができる。
データ内には宛名番号が含まれていることから、庁内各所属で所有するほとんどのデータを接続し、GIS上で統合的に表示することで、これまで不可能だった俯瞰的視点からの情報把握による緻密な政策判断を可能とした。

■活用事例

・災害対応における活用
防災体制に組み込まれており、毎年の防災訓練において、洪水や土砂災害の発生範囲に居住する住民、特に災害時要援護者を即座に把握し、現場へ情報提供することを可能としている。

・路線バス見直しにおける活用
路線バスの経路等の見直しにおける地域住民との検討会において、バス停と周辺住民の情報を活用することで、緻密な検討を可能とした。

・郵便局の周辺人口把握
郵便局にキオスク端末を設置する際に、支店ごとの周辺人口を把握し、最も人口が多い支店を割り出すことができた。これは現場に詳しい局員の観測を覆すものだった。

・空き家抽出
建物と住民ポイントを突き合わせ、住宅用建物のうち住民ポイントと重ならないものを空き家の候補として抽出した。

特徴(独自性・新規性・工夫した点)

全市民の住民基本台帳に位置情報を付与した「住民ポイント」が本取組の最も重要な点であり、住民異動手続きとの統合による毎日の情報更新体制は、最も革新的な取組である。
また、これらのツールやデータを職員が住民に活用するため、庁内横断の組織である「統合GIS活用検討チーム」を設置した。
毎月の定例会では、職員が課題を持ち寄り、実際にGISを使用して解決を図ることでスキルの共有と向上を図ることで、各現場におけるGISの活用を促進した。

取組の効果・費用

GIS及び住民ポイントの整備と、統合GIS活用検討チームの設置により、庁内各所属における課題解決の手段として、GISを活用するという基本的な視点と思考パターンを定着させることができた。
前項で例示した代表的な活用事例に留まらず、日常業務における活用が広がっており、庁内業務全体を底上げしている。
また、これまでマンパワーで解決していた調査をごく短時間で済ませることができた事例などもあり、人的コストの削減にもつながっている。

取組を進めていく中での課題・問題点(苦労した点)

新規性の高い取組であったため、内部意思決定段階において、必要性や効果についての合意を得るために時間を要した。

今後の予定・構想

ベースマップの定期的な更新を行うとともに、掲載情報を拡充していく。
また、利用者の拡大を一層進め、業務改革を継続的に行っていく。

他団体へのアドバイス

統合GISはデータが新しくなければ価値が減少し、利用されない。
本市では、データの更新を住民情報異動の手続きに組み込むことで、データが常に更新されていく体制を構築した。
災害対応のためのツールとして、統合GISが平時から活用されるものとするには、データの更新がカギになると考える。

取組について記載したホームページ

【住民基本台帳データの更新を毎日 GIS に反映。庁内の様々な業務に活用】
https://www.esrij.com/industries/case-studies/69564/

【パーソナルデータからオープンデータへ】
https://www.slideshare.net/CSISi/udc2016242

【会津若松市における住基空間情報を活用した行政課題解決への挑戦】
https://maps.gsi.go.jp/pn/meeting_partners/data/20181115/5.pdf

問い合わせ先

福島県 会津若松市 情報統計課
電話番号 0242-39-1214

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