
公印を要する処分通知を電子化するソリューション
業務のオンライン化が進んでも、一部にアナログ作業が残ると効果を十分に発揮できない。大阪府ではそうした気づきから、紙に押印が必要だった処分通知を電子化。事業者・職員双方のメリットを高めようとしている。
※下記はジチタイワークスVol.38(2025年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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財務部
行政DX推進課
寺岡 新司(てらおか しんじ)さん
職員への定例ヒアリングで見つけた、思わぬ業務のボトルネックとは。
同府の行政DX推進課では、年に1度業務のオンライン化に関して調査を実施している。これは業務を紙ベースで進めている部署に対し、電子化やオンライン化が進まない理由をヒアリングするもの。その調査の中で、公印を必要とする処分通知の取り扱いには注意が必要であることが判明したという。寺岡さんは「入口となる申請はオンライン化できても、出口部分である処分通知などの発行は、紙に押印しなければなりません。そのため業務を一連で電子化することが難しく、事務負担軽減につながらなかったのです」と振り返る。
この課題を改善すべく、「GMOグローバルサイン・ホールディングス」が提供する「電子印鑑GMOサイン」に着目したという。これには電子契約と電子公印の2つのサービスがあり、電子公印を使うと処分通知の電子化が可能だ。「府内の自治体はこれらのサービスを共同調達しています。そのうち、府では電子公印の方に興味をもったのです」。通常、処分通知の発行には自治体の公印が必要となるが、同サービスを使えば、セキュリティや真正性を担保した上で押印のプロセスまでを電子化するという。それだけでなく、デジタル庁が定めるガイドライン※にも準拠している。「こうした信頼性はもちろん、一般的なAdobeのソフトで処分通知を閲覧できる点も評価しました。事業者側が確認できなければ利用の拡大は望めませんから」。
その後、すでにサービスを活用していた東大阪市(ひがしおおさかし)と、同社を交えた打ち合わせを実施。一部の処理をRPAで自動化する方針を決定した。令和5年3月には関係課に説明を行い、試験導入に向けて準備を開始したという。
※デジタル庁「 2023年(令和5年)3月31日 処分通知等のデジタル化に係る基本的な考え方」より
準備と根まわしの期間を経て事業者と職員の利点を確認。
まずは特殊車両の通行許可証を発行する業務に適用することを決定。その後、関係課との調整や、システム環境の整備も進めていったという。「テスト運用前の段階で文書管理システムの部分にRPAを組み込み、効果を探りながら進めました」。
さらに、府の規定が民間事業者の電子署名などを想定していなかったことから、改定にも着手。将来にわたって電子公印が運用できる内容に改定し、令和7年1月から試験運用に乗り出した。
開始から2カ月、2事業者とのやりとりで50件ほどの通行許可証を電子化。「庁内では、原課の職員が公印管理部署まで書類を持ち込む手間が省け、ペーパーレスにつながるなどの効果を見込んでいます」と話す。また、事業者からも良好な反応が寄せられているという。「急ぎの際も来庁せずに済み、返送用封筒の準備や郵送料金も不要になりました。すぐに確認できる上、電子データで保存ができるようになった点も喜ばれています」。
テスト運用の手応えをもとに電子公印の利用拡大を目指す。
同府では、本格的な運用に向けた動きが始まったばかり。より具体的な効果が出るのはそれ以降だが、新システム導入の手応えはつかめているようだ。また、公印を所管する情報公開課の職員も「今のところ安定して運用できています。課題はありますが、業務効率化が見込めそうです」と話す。
電子公印による各種処分通知の発行で、事業者や住民からの手続きがスムーズになるだけでなく、職員の負担軽減にもつながる。そうした未来を見据え、「今後はさらにこの仕組みを広く浸透させていくつもりです」と寺岡さんは力を込める。「まずは特殊車両の通行許可証における対象事業者を拡大しつつ、ほかの業務にも広げる。さらに知事の公印だけでなく保健所長の公印などにも適用する、といった流れで利用者を増やしていきたいと思います」。
小さな気づきを、大きな改善へとつなげようとする同府の取り組み。「いずれはシステム改修も行い、より事業者や住民の利便性を高めることを目指したい」と、さらに先の目標も掲げつつ、今日もDX推進の歩みを続けている。
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