ジチタイワークス

【セミナーレポート】令和5年度デジ田交付金解説セミナー Day1

「デジタル田園都市国家構想交付金」を活用したデジタル技術の実装を通じ、地域の課題解決や魅力向上を図ろうとする取り組みが全国の自治体で広がっています。その一方で、本交付金の制度について、「いまだによく理解できていない」という自治体担当者の声も少数ではありません。

そこでジチタイワークスは、「内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局」と連携し、「デジタル田園都市国家構想交付金シリーズセミナー」を2023年7月~11月までに計4回開催することを決定。第1~第3弾までは、制度概要と過去の採択事例を中心に紹介してきました。

シリーズ最終回となる第4弾は、令和5年度の「デジ田交付金」制度が具体化する時期に合わせ、自治体職員の皆さんに最新情報をお届けしました。

Day2のレポートはこちら

概要

■テーマ:令和5年度デジ田交付金解説セミナー Day1
■実施日:2023年11月20日(月)
■参加対象:自治体職員
■申込者数:263人
■プログラム
【Day1】
<Program1>次年度活用に向けたデジ田交付金の概要、ポイント
<Program2>デジ田交付金採択からサービス実装までの道のり
<Program3>デジ田交付金を活用した情報配信DXの推進
<Program4>デジタルでTOPPA!!! 自治体のデジタル実装のために~デジ田交付金導入事例と、TOPPANのサービスご紹介
<Program5>差がつくDX戦略!いまデータ利活用に取り組むとどうなるのか

<Program1>次年度活用に向けたデジ田交付金の概要、ポイント

【講師】

内閣官房
デジタル田園都市国家構想実現会議事務局 参事官補佐 
小野 康佑 氏

「デジタル実装タイプ」のデジ田交付金に関する次年度制度概要と申請までのスケジュール、注意すべきポイントなどを、自治体の事例を踏まえて小野氏が解説する。

デジタル田園都市国家構想交付金(実装タイプ)の制度概要および採択事例の紹介

今後人口が減っていく中で、デジタルの力を活用して全国どこでも暮らせる社会を目指していくことが前提にあります。それを推進するのがデジ田交付金です。国としての目標値は2027年度までに1,500団体を掲げ、交付金を含め内閣府が中心になり、さまざまな施策を打っています。その中でデジ年交付金はかなりの金額が積まれており、概算要求で1,200億円要求しています。交付金のタイプは、①デジタル実装タイプ、②地方創生拠点整備タイプ、③地方創生推進タイプの3つです。

特徴として、①はデジタル実装活用を支援する、②と③は地域再生法にもとづき、地方版総合戦略に位置づけられているもので、複数年の支援が可能という点です。そのため、自治体の課題ややりたい事柄に合う方を選び、申請する形になります。どちらで申請するか迷った場合は、一度ご相談ください。
デジタル実装タイプ1・2・3の制度概要については、下記の図を参考にしてください。

デジタル実装タイプ未選択団体の検討の流れとして、まずはデジタル実装タイプ1をエントリーモデルで検討していただき、どうしても難しそうな場合は、計画策定支援事業を活用し、取り組めそうな場合は、そのままタイプ1を申請するという2択と捉えてください。両方のメニューがあるうちに、ぜひデジタル化に取り組んでいただければと思っているところです。

なお、マイナンバーカード申請率に関わる勘案、加点は廃止されています。一方で、利便性向上・利用シーンの拡大を推進する観点から、マイナンバーカード利用シーン拡大の取り組みは、引き続き支援していきます。

【廃止】
・マイナンバーカード利用横展開事例創出型
・マイナンバーカード高度利用型/データ連携基盤活用型(TYPE2/3)
・優良モデル導入支援型(TYPE1)】

【継続】
・デジタル社会変革型(TYPE3)
・データ連携基盤活用型/優良モデル導入支援型(TYPE1/2)

デジ田交付金(実装タイプ)の優遇策の全体像は、下記を参照してください。

以下は、デジタル実装タイプ1の分野・取り組み別の交付決定結果です。

左上の「行政サービス」の事例が一番多く、「書かない窓口」「オンライン申請」「コンビニ交付」などの採択実績も多数あります。これまで申請していない自治体であれば、まずここから取り組んでいただくと良いでしょう。

デジタル化のメリットについて

そもそもデジタル化に対して、「ハードルが高い」「忙しいのに取り組むメリットはあるのか」と思われている職員が多いようです。しかし、地域課題解決の改善を図る上で、デジタル化は生きてきます。以下のようなメリットがあるので、まずは一歩を踏み出してもらいたいです。

①地域課題の解決(ただし、万能ではない)
 →さまざまな原課で抱える課題に対して、何かしらの改善を図ることが可能と想定
②地域の魅力向上
 →課題に取り組む過程もしくは結果で、地域の市民の暮らしが便利になることで、一定の魅力向上が図る
③関係人口や移住者の増加
 →②を経て結果的に関係移住人口の増加に資する(〇〇“初”等があると、PR効果も大きい)
④庁内稼働の削減、業務効率化
 →改善することで、新しい取り組みにチャレンジする時間や気力が増加(ただし産みの苦しみはある)
⑤他自治体や民間企業とのつながり増加
 →ヒアリングや視察、デジタル化を進めるための民間企業との連携等、今までにない効果もある。

実施計画作成のポイントと今後のスケジュール

実施計画作成のステップは、大きく分けて3つです。この順番を踏まえ具体化することを推奨します。

1.解決したい地域の課題を特定する

2.サービスの選定・実装にあたる検討を行う

3.事業組成・実施計画作成を行う

こちらに届く申請書を見ていると、そもそも課題がよく分かっておらず、地域課題解決に資するものかどうかが不明…というものが多数あります。そうならないよう、まずは地域にある課題を特定してください。そして、いきなり地場ベンダーに依頼することがないよう、サービスについて情報収集をしてください。実施計画作成のポイントは、下記の通りです。

対象外事業に関する相談をいただく場合も多いので、改めて説明します。以下の事業は交付金の趣旨に合致せず、交付対象外となります。この3つに引っかからないかをチェックして、事前申請を相談してもらえると助かります。

デジタル実装タイプ(TYPE1/2/3/地方創生テレワーク型)および、デジタル実装計画策定支援事業については、昨年度のスケジュールを参考にしてください。

●次年度に向けた庁内調整/事業設計~11月中
 <12月〜申請案内>
●申請計画書の作成・事前相談12月~2月
 <2月中に申請締め切り>
●申請計画書〆切り・審査2月~

現時点で申請したい事業がタイプ1か2に該当しているか分からない場合は、問い合わせいただくのが一番早いと思います。迷ったらまず相談し、実施計画をしていただくと良いと思います。ただし、先ほど説明した「対象外」にならないかのチェックもお忘れ無く。

【参加者とのQ&A(※一部抜粋)】

Q:タイプ1の採択事例はあるのですが、そこからタイプ2、3へのチャレンジになかなか踏み出せません。タイプ2・3の活用に向けた支援、相談体制もあるとうれしいです。
A:現在ももちろん、タイプ2、3の相談は受け付けています。デジタル庁と一緒に内閣官房チームと連携してやっています。タイプ2、3の申請はむしろ少ないので、事前に打ち合わせをしてから申請するパターンが多いです。ぜひ、ご相談いただければと思います。

Q:コンビニ交付システムを導入予定ですが、キオスク端末の導入費は補助対象になる可能性はありますか。
A:これは、キオスク端末を市役所にも置きたいというご相談だと思いますが、実際にそういった事例もあります。一見、ハード整備にも見えなくはないですが、そのハードがあれば市民がデジタルサービスを利活用できることになるので、対象事業となります。

<Program2>デジ田交付金採択からサービス実装までの道のり

【講師】

山形県長井市 総合政策課デジタル推進室
室長 小倉 圭 氏

プロフィール

地方創生人材支援制度にもとづき、2020年よりNTT東日本から非常勤として現職に着任。「スマートシティ長井」実現事業の計画策定から実行まで一貫して従事。派遣元企業では地域課題解決に資するソリューション開発や、無線サービスの販売推進など幅広い分野で活動中。


デジ田交付金は活用可能な事業の幅が広く、様々な事業で活用されている。本講演では、長井市のデジ田交付金活用ソリューションについて、課題と効果に触れながら紹介するとともに、申請にあたって苦労した点、自治体内での合意形成の流れ、サービス実装までの道のりについて、内閣官房の小野氏と小倉氏との対談形式でお伝えする。

交付金事業展開までの経緯

国が提唱する「Society5.0 」の実現に向けた取り組みを当市でも推進するため、地方創生人材支援制度を活用し、2020年7月に「デジタル推進室」が発足しました。15名構成で、NTT東日本から派遣されている私が、嘱託職員という扱いで室長を務めています。ほかの14名は庁内各課からの兼務が中心で、未来の長井を担う若手中堅職員です。原課ごとの課題を、ひとごとではなく自分たちの仕事として取り組むフォーメーションがつくられている点が、ポイントの1つ目です。

ポイントの2つ目は、デジタル知識を醸成できる点です。私が派遣され、例えば5Gや自動運転などについて勉強会を行い、5カ月ほどかけて知識醸成を図ってきました。スマートシティは会津若松市が進んでいるため、会津大学の先生と意見交換したり、コミュニケーションロボットを使って職員間でコミュニケーションを取ってみたり、無線基地局を市役所の屋上に設置し、電波がどの程度まで飛ぶのかを職員自らが調べ、エリアマップをつくったりしました。

以下の図が、スマートシティ長井実現事業の推進体制です。市長がリーダーシップを取り、庁内のスマートシティ推進本部、地域の25の企業団体と連携する「スマートシティ推進協議会」を立ち上げています。そこで定期的に会議を行い、意見や施策についての議論を図っています。

「スマートシティ長井」実現に向けた事業も、元々は地域課題に根付いたものです。以下の図のように、当市にも「まち・ひと・しごと創生総合戦略」があり、基本方針はやはりこの教育と子育てをメインテーマに、4つの目標に対して取り組んでいくものになっています。

2020年、ちょうど第2期に入ったところでしたが、中身について再度検討を行い、デジタル技術を活用してやるべき施策というところをピックアップしてきました。検討内容については多岐にわたりますが、下記に抜粋したものをご紹介します。

「スマートシティ長井」事業展開概要

「スマートシティ長井」のキーワードは、「あらゆる分野でデジタル技術を活用し、誰もが安心して、住み慣れた地域でいつまでも暮らせるまちへ!」です。この中で、EBPM(エビデンスにもとづく政策立案)が実現できている事例を紹介します。

【GPS を活用した子どもの見守り】
GPS発信端末とスマホアプリを活用した、遠隔での子どもの見守りを実施しています。自治体が一括契約し、保護者にアカウントを提供しています。位置情報が認識でき、行動範囲をAIが学習するので、逸脱した場合や特定のロケーションの場合には、親御さんに通知が行くというサービスになっています。

【LPWAを活用した河川の水位監視】
準用河川や小河川など20カ所に、水位を監視するカメラ・センサーを設置。LPWAを活用し、水位情報を定期的にデータベースに送信します。水位データから予測モデルを立ち上げ、先手を打てる災害対策に活用予定です。

【デジタル機器を活用した有害鳥獣対策】
猟友会と連携し、有害鳥獣の出没が懸念される箇所にモーションセンサーカメラを設置。動体を自動撮影し、AI が有害鳥獣かどうかを判断し、必要に応じて職員へ通知が入ります。時間を問わず状況把握ができ、住民の通報に依存をしない先んじた対応を実現します。

上記の河川監視・有害鳥獣対策データを、子どもの行動範囲データとともに可視化する、下記写真の様な総合的なデータ活用/新ハザードマップも策定しています。

子どもの生活圏にあるリスクを把握し、降雨時の注意喚起や、安全な通学路策定に活用します。また地元警察署の協力も得ながら、今後、交通事故の情報や不審者の出没データも入れる予定です。

一方、市営路線バスの乗降データを、RFID を活用して収集。利用実態を分析し、利用の少ない時間帯やバス停を洗い出すことで、ダイヤ改正・バス停再編による運営最適化に貢献しています。

この他にも、住民への還元プラットフォームとして、長井市独自のデジタル地域通貨「ながいコイン」を展開。経済支援策展開の一元化・効率化を実現する地域経済循環基盤として活用します。持続的な運営に向け、既存庁内施策の吸収や地域ツアーとのセット販売などを展開強化中です。

今後の展望について

以下の図の外側に書かれているように、道路メンテナンスのAI活用やマイナンバーカードの活用についても、デジ田交付金のタイプ1やタイプXを採択いただいて、事業を進めております。

様々な地域課題に対する取り組みを進めていけば、都市部、地域外からの流入を実現し、この小規模自治体でも1つのスマートシティのモデルケースとして、持続可能なまちを実現できるのではないかと考えています。

当市においては、人口が毎年400名ほど減っている状態が地域課題になっています。しかし、こうしたデジタル化によって、人の手を介さない環境で行政施策をしっかり展開し、周辺地域から見て魅力的なまちにしていくことで、当市がさらに活性できるのではないかと考えているところです。

【参加者とのQ&A(※一部抜粋)】

Q:デジ田の申請のきっかけは何だったのでしょうか。
A:市長から「Society5.0を目指す」とのメッセージを受けたことです。私が派遣される前から、市としてしっかり考えられていたことであり、私以外の職員も、当初から交付金を活用してデジタル実装を進めていく考えのもと、取り組みが始まっていたのではないかと思います。

Q:単年の支援で一気に事業を進めるか、複数年度で進めるかという点で、迷いはなかったですか。
A:正直なところ、両方の“いいとこ取り”をさせていただこうかと思っていました。先ほどの公共交通のデータ分析は、長期で展開しなければデータが蓄積できないため、分析と改善を繰り返すためには3〜5年は必要だと考えます。一方で、単年度の実装で成果が出るものについては、タイプ1をうまく活用しながら実施できるので、その使い分けは当初から考えていました。

<Program3>デジ田交付金を活用した情報配信DXの推進

【講師】

バイザー株式会社
星 聡太 氏

プロフィール

全国の自治体向けに、情報配信ソリューションのインサイドセールスを担当。また、導入後の自治体にインタビュー取材を行い、取材結果を元に導入事例記事の作成やセミナーでの講演を実施。


デジタル田園都市国家構想交付金の交付対象事業として、複数の自治体から申請・採択されているバイザー社の一斉情報配信システム「すぐメールPlus+」。本セミナーでは、交付金を活用した同サービスの導入・取組事例や、オンライン申請の窓口となる地域アプリの構築、情報配信システム基盤の共通化による全庁的なDX推進事例について、同社の星氏が説明する。

各部署が抱える情報配信の課題

各自治体の様々な部署が、「情報配信の課題」を数多く持っているようです。例えば防災部署の場合、人員不足やメディア乱立などで一斉配信が難しく、住民に情報が届くまでに時間がかかる点が大きな課題です。また、教育現場の場合は休校連絡や保護者からの子どもの欠席連絡がスムーズにいかない、広報部署は各部署からの配信申請に追われ、業務がスムーズにいかない、DX関連部署の場合、情報配信のシステムを各部署が独自に導入していて一元管理できていない…など、さまざまな課題を抱えていることが分かりました。

弊社のサービスには「すぐメールPlus+」、「すぐーる」、「すぐ参集」の3種があり、自社でシステム開発しているので、相互に連携できます。また、部署ごとのアカウントが発行できるので、1つのサービスを全庁的に活用することが可能です。

デジタル田園都市構想交付金を活用した弊社サービス導入の実績について

弊社のサービスは、デジタル実装タイプ・タイプ1で多数の採択実績があります。主に住民サービスや子育て、防災等の分野で、いくつかの導入事例を紹介します。

●徳島県勝浦町(アプリ構築と複数メディアへの配信)
ポータルアプリを導入し、オリジナルで情報配信サービスを構築。高齢者などのデジタルデバイドを解消するため、「すぐメールPlus+」とポータルアプリを導入いただきました。防災だけではなく、子育てやゴミの日お知らせ等、住民の生活に根付いた情報を配信するポータルアプリとして活用できます。

●福島県藍住町(情報発信DX事業)
住民向け「すぐメールPlus+」と教育機関向け「すぐーる」を連携・導入しています。自治体が発信した情報を、すぐーるを通じて保護者に届けられるような、行政・教育・防災が連携した情報配信システムを構築しています。

「すぐメールPlus+」の概要と「すぐーる」との連携

すぐメールPlusには、下記図のように4つのポイントがあります。全庁的な情報配信を一元化することで、職員負担は増やさずにより多くの住民に情報を届けることができます。

①多様なメディアへの一斉情報配信(導入事例:茨城県つくばみらい市)
全てのメディアに情報を配信するのに、今までは30分かかっていました。「すぐメールPlus+」の導入で、作業時間が5分に短縮できました。

②全庁活用ができる運用アカウント&配信カテゴリ作成(導入事例:京都府京丹波町)
日常生活に必要な情報を取得できる便利なアプリにするため、複数部署および自治会長からの配信を実現し、住民登録率は60%を超えています。

③自治体アプリをオリジナルデザインで構築
色合いやご当地キャラクターを使用するなどで、自治体独自のものとひと目で分かるようなデザインにすることが可能です。

④アプリには日常的に使えるコンテンツが充実
自治体の用途に合わせ、コンテンツオプションを選択可能です。防災機能や日常生活を支援する機能など、多数用意しています。

また、新機能として「避難所管理機能」を追加しました。避難所の開設時、従来は避難所の名簿を紙で管理し、それをコピーして入れ直すなど大きな工数がかかっていたと思います。完全なペーパレス化は難しいかもしれませんが、住民に登録してもらうことで、避難所名簿リストをつくることが可能です。

なお、すぐーるとすぐメールPlus+とを連携すれば、すぐメールPlus+から配信した情報を、ツールを通して保護者に届けることが可能です。教育委員会や学校から、保護者の方々にファイル添付メッセージを送ることが可能で、プリント配布等の業務が無くなります。

この他にも教育現場をサポートする機能として、遅刻・欠席連絡のデジタル化、アンケートのデジタル化も可能です。外国人保護者のために、12言語の自動翻訳機能を搭載しています。

「すぐ参集」の概要と本日のまとめ

「すぐ参集」は、発災時の職員の安否確認・参集機能です。気象情報をトリガーとして、すぐメールPlus+で住民や多数メディアに一斉配信すると同時に、職員向け一斉配信を行うことが可能になります。

メディアを登録しておけば、メールで返事がなかった場合はLINEに、LINEで返事がなかった場合は電話にと、気づくまで繰り返してリレー配信する機能があります。返事をした職員は自動集計されるため、管理者側がすぐに安否確認することができます。

弊社製品は、デジ田交付金・タイプ1で多数採択実績があります。実績を元にKPI等の計画書作成をサポートします。設定したKPIは管理画面から測定が可能です。避難所管理機能では、登録した住民を避難者名簿として管理することが可能です。

【参加者とのQ&A(※一部抜粋)】

Q:すぐメールPlusは、地域や対象年齢、子どもがいる世帯など、属性を絞って配信することはできますか。
A:可能です。配信を行う際、どのようなカテゴリ、どのようなメディアで配信するかの他に、「属性」を絞り込むことができます。属性は住民が登録する際に、例えば高齢者や、ご自身の在住エリアなどを選択・登録してもらう仕組みになっています。

Q:登録者の個人情報管理については、どのような形態ですか。クラウド上の管理でしょうか。
A:クラウドで管理していますが、基本的に「すぐメールPlus」は、個人情報を持たない形式になっています。つまり「不特定多数の配信」という形態で、個人情報を持たずに管理しています。避難情報を機能として使う場合には、個人情報をクラウドで管理させていただいています。

<Program4>デジタルでTOPPA!!!自治体のデジタル実装のために~デジ田交付金導入事例と、TOPPANのサービスご紹介

【講師】

TOPPAN株式会社 ソーシャルイノベーションセンター
課長 小駒 進 氏

プロフィール

TOPPAN入社以来、企画・営業部門として、官民問わず様々な得意先の課題解決に従事。現在は中央省庁・地方自治体の課題解決に向け、TOPPANの様々なソリューションを活用した提案を実施中。


デジ田交付金の申請検討時期に合わせ、「デジ田カタログ」をリニューアルして公開中のTOPPAN。同カタログではデジ田交付金が活用可能な43の自社サービスが掲載されている。同カタログ掲載のサービスや、同社サービスによる交付金活用事例を、小駒氏が紹介する。

「デジ田カタログ 」とデジ田交付金活用事例のご紹介

弊社はデジ田交付金の申請検討時期に合わせて、「デジ田カタログ」をリニューアルしました。このカタログには、デジ田交付金が活用可能だと思われる43のサービスを紹介しています。前段に交付金を活用した事例を紹介し、後に43個のサービスを紹介しています。

実際にデジ田交付金を取得した自治体の活用事例と、それぞれのポイントをご紹介します。

●愛媛県鬼北町
(デジタル地域通貨構築業務/デジ田交付金・タイプ1を活用)

同町では、運転免許証を返納した高齢者の移動手段確保という課題がありました。そこで、地域交通のデジタル化による住民の利便性向上と、事業者の管理運営コストの削減を行い、地域公共交通の確保・維持・活性化を図りました。

バスなどの交通機関で地域Payを使ってもらい、現在、人流データを集めているところです。それ以外にも地域通貨や補助金でも地域Payを使ってもらい、実際に運用しようとしている最中です。

この地域Payに関しては、下記のサポートが可能です。

○紙運用の給付金受付やプレミアム商品券のデジタル化
○利便性を高めることで地域消費や環境消費を増やす
○自治体独自のポイント制度などで住民サービスを拡充する
○キャッシュレス決済の手数料を抑え、かつ域外に流出させずに運用する

■ポイント1/業務のデジタル化・キャッシュレス化を行い、デジタル化・キャッシュレス化による行政サービスの運用負荷を軽減する。
■ポイント2/サービス立ち上げから運用まで、弊社がトータルサポート。

●長野県飯綱町
(住民アプリを起点としたオンラインサービスの提供と生活情報の集約配信事業/デジ田交付金・タイプ1を活用)

住民から行政に寄せられる災害情報や損傷状況などの情報は電話での通報が多く、具体的な場所や内容が伝わりづらいことが課題でした。また、山間部のため現場の視察が大変でした。

これらを同時に管理できないかという相談から、弊社が提供したのが「 PosRe ® (ポスレ)」というサービスです。

PosRe ® はSNSなどから住民の声や災害情報などを収集し、自治体職員が管理、住民への情報発信をワンストップで提供できます。

今回の事業では、①住民からの投稿、②センシング管理 の機能を活用しました。

■ポイント1/情報の一元化による業務負荷軽減
■ポイント2/センサーと連携した地域の管理

●長野県長野市
(長野市統合フロントアプリ構築事業/デジ田交付金・タイプ1を活用)

同町では、住民への効果的な情報を発信するための仕組みが不十分である点が課題でした。情報を一元化することでこの課題を解決するため、ASP自治体ポータルサービス「クラシラセル ® 」と仮想統合データベース「Con:tegration ™」を活用した統合フロントアプリを構築中です。

●岐阜県博物館「恐竜化石コンテンツ」業務
(新県有文化施設デジタル推進事業/デジタル田園都市国家構想推進交付金活用)

こちらは、博物館でARやVRを使ったデジタルコンテンツの制作をおこなった事例です。

博物館内に恐竜の骨のレプリカがあるのですが、スマホをかざすと恐竜がCGであらわれます。こちらはどの位置からでもきちんと骨格とCGが合うように計算されています。骨格だけではCGを出す場所を計算するのがなかなか難しいため、背景からも情報を収集して計算し、骨格とCGを正確に重ね合わせる技術を使っています。

その他のサービスについて

ここからは、交付金活用実績はまだないものの、自治体から引き合いが多いサービスを紹介します。

透明ディスプレイを活用した窓口向け翻訳システム「VoiceBiz ® UCDisplay」は、自分のセリフと相手のセリフがチャットのように、透明なディスプレイに表示されます。多言語対応ですので、例えば日本人と外国人が会話をする際、相手の言語に変換されて表示することができます。

現状では、スマホや専用端末を通して翻訳をすることが多いと思います。その場合、相手を見ずに画面だけ見てのやりとりになり、きちんと聞いてもらえているか不安…といった声がありました。VoiceBiz ® UCDisplayを使えば、対面で相手の目を見ながらやりとりできるため、非常に好評をいただいています。

もちろん日本語同士の会話もできます。例えば聴覚に障害をお持ちの方との会話は、発話したものが文字として残りますので、それを読んで理解してもらえます。発話が難しい方には、キーボード入力でこの画面上に表示させることで、コミュニケーションが円滑化するのではないかと考えています。

■ポイント1/自然な会話を実現
■ポイント2/高精度な翻訳エンジンと用語登録機能を搭載

この他にも、
●文書資産のデジタル化『高精度OCR全文テキスト化サービス』
●小・中学校向けICT学習サービス『navima』
などがあり、多数のサービスが「デジ田交付金カタログ」に掲載されています。興味がありましたら、ぜひお問い合わせください。

【参加者とのQ&A(※一部抜粋)】

Q:プレミアム商品券と地域通貨のように、別のサービスを統一基盤で実現できるのかどうかを教えてください。
A:地域Payなら可能です。その点が最大のポイントだと思っています。某通信業者さんの決済だと、そういった“相乗り”が難しいようです。弊社はインフラを提供するような役割ですので、そのインフラを使って自治体のニーズに合わせ、色々なサービスに使っていただけることが特徴になります。

Q:自治体のポイントを使った施策はありますか。例えば、健康ポイントとの連携事例があれば、知りたいです。
A:具体的な自治体名は控えさせていただきますが、実際に活用いただいている自治体があります。先ほども申し上げましたように、いかようにでも使えるというところが弊社サービスのポイントですので、健康ポイントを地域内で使えるようにして、地域内で還流させる使い方をしている自治体があります。

<Program5>差がつくDX戦略!いまデータ利活用に取り組むとどうなるのか

【講師】

Gcomホールディングス株式会社 地方行政経営研究所・EBPM研究室
室長 池畑 光紀 氏

プロフィール

入社後、地方自治体向けソリューション営業・企画職として従事。2017年よりEBPMサービスの実証・製品化を担当し、以降、20団体を超えるデータ分析・EBPM推進事業に携わる。


地方自治体にとって、敷居が高く感じられがちなデータ利活用だが、近年は簡単・安全なデータ利活用が可能となり、多くの取り組みが相次いで創出されている。先進的な自治体が取り組むデータ利活用について、デジ田交付金の交付対象として採択実績のあるサービスを、地方自治体の実際の事例を交えて池畑氏が説明する。

データ利活用をデジ田交付金の選択肢に

地方自治体における意思決定は、いまだにKKZ(勘・経験・前例)で行われている部分が大きく、現状を把握できない、目標・有効性・優先順位が設定できないといった事態が発生しやすいのが実情です。それを打破するため、「EBPM(「証拠にもとづく政策立案」)」というキーワードが用いられるようになり、明確なデータにもとづいて意思決定をする考え方に変わってきています。

ただ、EBPM自体の効果が分からないので導入できない…というのが、多くの自治体の本音ではないでしょうか。EBPMの前例を集めるのは難しいですし、効果測定には4〜5年が必要なので、実際には効果が分からない場合がほとんどです。しかし、EBPMの前例はなくてもデータ利活用の効果は、民間ではとっくに証明されています。

こちらは、総務省が出している令和2年度版の情報通信白書から抜き出した内容です。

デジタルデータ活用が、イノベーション創出や生産性向上に効果的であることは、複数の先行研究で明らかにされています。地方自治体にとっても、迅速な意思決定や新たなサービスの創出、生産性向上は必要です。

以下の図は、EBPMに取り組んだ場合の成果・生産性をグラフ化したものです。

現在、自治体職員の皆さんは2025年に向け、標準化対応の準備に取り組んでいるところだと思います。来年には3人に1人が65歳を超えるので、生産人口を増やすために高齢者でも働いてもらう職場づくり、環境づくりに注力したいところですが、5年後には団塊の世代が80歳を超え、働くことが難しくなってきます。

さらに、3戸に1戸が空き家になり、地域の活力が下がってきます。2040年には半数の自治体が消滅するという、いわゆる“増田レポート”という未来も予想されています。地方は、さらに早くからこうした状況に陥ることが予想されるため、できる限り早くデータ利活用を検討した方が良いと思われます。

政府もデータ利活用の価値に気づいており、自治体DX推進計画の中にも「データが価値創造の源泉」と記載されています。また、「骨太の方針2023」にはEBPM徹底の強化や、行政保有データの利活用法といった形で出てきています。最終的には全ての地方自治体が、データ利活用に取り組むことになると思います。とにかく、早く取り組んだ者が勝つというタイミングが、ちょうど今だと考えています。

なぜ早く取り組まないのか

民間企業がデータ利活用を始める際に困るのは、「何のデータを取り扱かったら良いか」という点です。その点、地方自治体には住民情報があり、正確で網羅的な全住民分のデータが、住民1人あたり約5,000項目もあります。

5,000項目×人口×年数分ということで、自治体にとっては非常に大きなアドバンテージです。これを使っていくということが、一番有効だろうと考えています。

では、なぜ早く取り組まないのか。実はすでに、自治体は取り組んでいるはずです。皆さんの自治体でも、個別に小さくデータを加工し、分析しているのではないかと思います。作業におけるハードルや課題が多く、積極的に実行できていないだけなのです。

隣の課にどんなデータがあるかを確認し、それを利活用するために調整を行う段階で非常に大変です。さらに、匿名化や集計、グラフ作成のために丸1日Excelを使ったり、つくったデータの更新をしたりといった部分が非常に大変なので、そこから先に進めないという話を耳にします。地域課題解決に注力したいものの、その手前のハードルで止まってしまうのが実情のようです。

利用例・ユースケース

弊社は下の図のように、①と②を自動化し、地域課題解決に注力できるシステム「Acrocity×BI」を提供しています。

近年、ユースケースがかなり増えてきました。例えばマイナンバーカード普及、プレミアム商品券の普及などには、これらのデータを使って普及促進できます。

この他にも、介護保険費の削減指示が出た際、現在の状況を示したり、特定検診の受診率を上げたりと、色々な用途で使えると思います。

以下の表は、導入団体の利用事例です。人口減少の課題に取り組んでいる例、介護サービス新計画策定の根拠とする例、民間データと基幹系データを組み合わせた例など様々です。

ジチタイワークスvol.28には、弊社の都城市での事例を紹介してもらっています。データ分析のシステムからデータをダウンロードでき、オープンデータとして公開しています。通常は10~20件ほどですが、都城市は追加で185件公開されています。詳細は、記事をご覧ください。

最後にまとめますと、民間を見ても分かるように、データ利活用の効果は明らかです。そのためのハードルを乗り越えられるサービスが、近年は複数提供されているので、最終的には“予算が付けば…”ということだと思います。予算についてはデジ田交付金があり、データ利活用をデジ田交付金の候補の一つとして乗せていただき、トリガーの候補として検討いただければと思っております。

【参加者とのQ&A(※一部抜粋)】

Q:自治体からの問い合わせで、特に多い内容は何でしょうか。
A:「デジ田交付金の対象になりますか」という問い合わせを多く頂いています。庁内の業務改善ということだけだとデジ田交付金の対象に該当しません。弊社のサービスは複数の採択実績があり、オープンデータの取り組みを含めることが採用のポイントになってきます。

Q:データ分析した後に、そのグラフを見るための人材育成が必要だと思っています。その点は、サポート体制はありますか。
A:もちろん、研修は必ず行っています。実際の課題について分析したり、ロジックツリーを作成するなど自治体業務に特化した研修を実施するようにしています。

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