ジチタイワークス

【セミナーレポート】令和5年度デジ田交付金解説セミナー Day2

「デジタル田園都市国家構想交付金」を活用したデジタル技術の実装を通じ、地域の課題解決や魅力向上を図ろうとする取り組みが全国の自治体で広がっています。その一方で、本交付金の制度について、「いまだによく理解できていない」という自治体担当者の声も少数ではありません。

そこでジチタイワークスは、「内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局」と連携し、「デジタル田園都市国家構想交付金シリーズセミナー」を2023年7月~11月までに計4回開催することを決定。第1~第3弾までは、制度概要と過去の採択事例を中心に紹介してきました。

シリーズ最終回となる第4弾は、令和5年度の「デジ田交付金」制度が具体化する時期に合わせ、自治体職員の皆さんに最新情報をお届けしました。

Day1のレポートはこちら

概要

■テーマ:令和5年度デジ田交付金解説セミナー Day2
■実施日:2023年11月21日(火)
■参加対象:自治体職員
■申込者数:207人
■プログラム
【Day2】
<Program1>デジ田交付金のお悩み解決!!質問コーナー
<Program2>デジ田交付金採択からサービス実装までの道のり
<Program3>地域のデジタル化と内部事務の業務削減を実現するコンカークラウドサービス
<Program4>自治体と住民をつなぐDX推進事例のご紹介
<Program5>デジタル実装のためのNECソリューションとデジ田交付金活用事例

<Program1>デジ田交付金のお悩み解決!!質問コーナー

【講師】

左:内閣官房
デジタル田園都市国家構想実現会議事務局 参事官補佐
小野 康佑 氏
右:株式会社飫肥社中
代表取締役(元・日南市長)
﨑田 恭平 氏

デジ田交付金の申請に向けてどのような準備をすれば良いのか、担当職員にとっては不安が多いはずだ。そこで、元市長・元自治体職員の経歴を持つ飫肥社中の﨑田氏を招き、交付金申請に向けた悩み・課題などを、自治体職員に代わって小野氏に質問してもらう。

デジタル化は目的ではなく、あくまで手段の1つ

﨑田:デジ庁はデジタル田園都市構想を通じて、何を実現したいと考えているのでしょうか。

小野:「誰ひとり取り残さない」がキーワードです。人口減少に対して、各自治体が頑張っても限界があります。そこで、都市部と過疎地の住民が同じサービスを受けられ、同じ利便性を感じられるようなまちづくりを進め、国を守っていきましょうという方向性です。

﨑田:都市部でも人手不足はあると思いますが、地方ではより深刻で、1人で何役もこなさなければまちがまわってかない部分もありますよね。だからこそ、社会全体としてこのDX、デジ田構想が進むことは、とても良いことだと僕自身も思います。

小野:デジタル化が目的ではなく、手段でしかありません。その手段を、いかにうまく使いこなしていくか。デジタルの力を使って、どう課題解決するかという、目的と手段を区別して推進することが大事です。

﨑田:「DX」に対して、“難しそう”という印象を持っている自治体職員も多いようですが、横須賀市に関わった小野さんは、DXをどう進めるべきと思われますか。

小野:アプローチは2つあると思います。1つ目は「ボトムアップ型」。各原課の人たちと顔を合わせながら、何に困っているかをシンプルに質問するわけです。例えば、電話問い合わせが非常に多いという悩みに対して、問い合わせをホームページに上げて、AIチャットボットで電話の件数を減らすとか、自分の仕事を効率化したいという希望が一番大切です。2つ目が、「トップダウン型」。強引に命令するというわけではなく、トップが明確な取り組み目標を示すわけです。例えば、「安心安全なまちづくり」といった漠然としたスローガンではなく、まず防災から取り組もうと、課長や部長クラスと話し合えば、現場も動き出すのではないか思います。首長のリーダーシップで実現したDXも実際にあります。

﨑田:自分たちの業務がラクになるだけではなく、クオリティも上がりますよね。そこがポイントですね。役所のリソースは限られているので、各部局が一気にDXに取り組むのは困難です。そういった意味でも分野を決めて、常にDXを頭の片隅に置きながら、「ここはデジタルを使えばラクになるかも」といった思考を積み重ねると良いのでしょうね。

小野:そうです。目的地に行くためにタクシーに乗るのか、電車に乗るのか…みたいに、手段の1つとしてデジタルを使う。そのデジタルにも色々な種類があるので、ゴールに進むためのプロセスの1つとして選ぶという考えで良いのではないかと思います。

実証の先行きまで考え、どのタイプを選ぶのか検討する

﨑田:セミナー参加者から、「デジタル実装タイプでは、実装にかかる経費は交付対象外だが、経費も対象にする検討はできないだろうか」「優良事例の横展開でも、それらを導入する際は実装までに一定の実証が求められるため、そこも認めていただけるとありがたい」という質問が来ています。

小野:デジ田交付金のメニューにはいくつかのタイプがあります。右側の「地方創生推進タイプ」なら、実証実験から実装まで複数年度かかる取り組みを、最長5年まで支援します。

小野:テスト検証が必要なサービスは多いため、デジタル実装タイプ・タイプ1も、テストの検証や実証を認めています。ただ、テストを繰り返した上でダメでした…ということになるとマズいので、そこが非常に難しいところです。基本的には、地方創生推進タイプを選んでいただく方が良いと思います。

﨑田:農業や高齢者支援、ドローンなど、色々な要素でほかの自治体がやってないことを複数組み合わせることによって、新しい視点が出てくるかもしれないですね。

小野:先ほどの質問は、デジタル実装タイプを使いたいという感じがします。そちらの方が、予算が取れているのは事実ですし、実証実験は自治体の単費でやってみて、ある程度効果が出たものに関して、立ち上げのところはデジタル実装タイプにして、2年目から実装を目指している自治体もあります。

﨑田:次は「DXを進める人材育成のコツがあれば教示いただきたい」という質問です。

小野:デジタル人材研修などにコストをかけ、それから、どんなデジタルサービスをどうやって導入するかという流れではなく、例えば「AIチャットボットを入れる」と決めてから、それを導入するために複数ベンダーから見積もりを取ったり、事例を調べたりすることで、自ずと勉強するようになるという話をたびたび聞きます。若手の方がデジタルに明るいので、新人や若手職員を中心に、その人たちにやらせる土壌をつくり、若手が出したアイデアを首長がきちんとすくい取り、年配の課長級などにつぶされないようにすることも大切です。

﨑田:この質問には、私からも回答をします。私が市長に就いたのは10年前で、まだデジタル化の時代ではなかったのですが、マーケティング専門の管理部署をつくりました。自治体もマーケティング的な考え方を持ち、政策をどうつくっていくかということで、実はこれはEBPMにつながるような当時の取り組みでした。一緒にプロジェクトをこなすことで、どんどん経験値が高まるわけです。その際に大事なのは、民間から来た人を“お客さま”にしないことです。本当の仲間として、一緒にプロジェクトを進めること、お互いに信頼し合って取り組むことによって、職員も「マーケティングって、こんな感じで良いのだ」という自信を得ていく様子を目の当たりにしました。

特定技能を持つ企業との随契をやりやすくする「スタートアップ入札制度」

﨑田:「スタートアップをうまく活用している自治体の、活用法をご教示いただきたい」という質問が来ています。複数年必要で、すでにスタートアップがかかることが決まっている事業で、そのうち1年間を申請対象にする場合を想定している質問と思います。

小野:実務的な質問ですね。申請のときは、例えば(仮)スタートアップ小野コーポレーションみたいなものがあり、小野コーポレーションと入札で契約する予定だと書くだくだけで加点対象となります。もちろん、100%落としづらい部分はあるので、どういう風に契約するかをもう少し教えてもらった上で、(仮)状態のまま加点になります。少し緩めと言いますか、交付金が下りる前に契約するとダメだと思うので、速やかに手続きをして、この会社を落とせるように最大限頑張りますというレベル感でOKです。

﨑田:“出来レース”じゃないかということになるので、入札にせよコンペにせよ、行政は予定者名を言うことが難しいわけです。その(仮)は空欄にして、「こういうコンペをやって、こういった分野に強い事業者を選ぶ予定だ」ということではダメなんですか。

小野:それではダメなんですよ、会社名や会社概要を書いていただかないと。ただ、その資料は公表されません。我々の方に出していただいて、その前提として、こういう仕様にしてこの会社が落としやすいようにやりますという、「します」ではないトーンが必要です。場合によっては、「この会社しかこの技術を持っていないので、随契でやります」というケースもあります。スタートアップに限って、随契をしやすくする「スタートアップ入札制度」をつくっているところもあります。国としては、やはりスタートアップを応援したいことから、自治体のルールに準じて可能な場合、できる限り体制に入れていただければ幸いです。場合によっては、大企業が地場ベンダーの中に入って、一部サービスを担うといったパターンでも可にしています。今までデジ田に取り組んだことがない自治体も、すでにやっている自治体も、交付金をうまく活用しながらデジタル化を進めていただき、少しでも楽しく働けるような職場づくり、楽しく働けるまちづくりにチャレンジすることが、楽しい仕事の根源だと思っています。ぜひ、その応援をしたいと思っています。

<Program2>デジ田交付金採択からサービス実装までの道のり

《内容調整中》

<Program3>地域のデジタル化と内部事務の業務削減を実現するコンカークラウドサービス

【講師】

株式会社コンカー 公共営業本部
部長 長谷 大吾 氏

プロフィール

2005年大学卒業後、電機メーカーにて営業に従事​。2016年コンカー入社、大手民間企業向けの営業に従事。​2020年から部長として公共領域の営業、ならびにパートナーアライアンスをリードしている。​


地域のデジタル化を推進するための、事業者ポータルを検討する自治体が増えてきている。ただ、ポータルからデータを連携する際、内部事務がデジタル化されていなければ事務工数が増大する結果となる。そうした状況を受け、内部事務のデータ連携基盤として予算執行業務の伝票入力の省力化、審査の自動化を実現させることで、内部事務の業務削減を支援するコンカーの長谷氏が、システム実装だけではなく業務への適用方法についても説明する。

コンカーが提供するサービスについて

弊社が提供するサービスは、主に予算執行、旅費精算、海外出張手配の3種で、このうち予算執行と旅費精算を自治体に提案しています。

予算執行は「Concur Invoice」というサービス名で、支出負担行為・支出命令の業務処理の自動化と請求書管理のデジタル化(ペーパーレス)を提案しています。一方の旅費精算は「Concur Expense」というサービス名で、近隣の旅行および国内・海岸への旅費精算の提案をしています。

予算執行と旅費精算という異なる領域ですが、業務特性を見ると非常に似たところがあります。以下の図をご覧ください。

【予算執行業務】

上の赤で囲んだ部分が、多くの自治体の現状です。見積書や請求書を紙で受け取り、財務会計システムに手入力で伝票起票する。その決裁を、紙または電子でまわす過程でも、1件ごとに目視でチェックが行われています。そのため、負荷や抜け・漏れなどのミスが発生します。

図下の青で囲んだ部分は、コンカーで実現する業務プロセスイメージです。弊社はクラウドサービスで外部の色々な仕組みと接続できます。最近は、電子見積もりや電子請求書サービスを利用する民間企業もかなり増えており、そのデータを弊社サービスで受け取ることができます。

【旅費業務】

旅費精算でも全く同じことが言えます。現金で支払いし、領収書をもらい、それをまた手入力で伝票起票をして決済にまわすというやり方です。

しかし、プライベートでは現金よりもクレジットカードやQR決済、交通ICカードなどを使ったキャッシュレス決済を使っているはずです。弊社はそれらのデータを連携し、伝票起票して電子決済にまわし、その過程で規則に合っているかどうかシステムがチェックしてくれます。

地域事業者のデジタル促進と内部事務の効率化

地域企業の最大の取引先である自治体が、電子見積もり・契約・請求書を受け取れる環境を整備することで、民間企業の電子化も進みます。そうすることで、自治体が中心となる地域のデジタルエコシステムを構築することができます。

しかし、デジタルデータを受け取っても、内部事務で紙やPDFの処理を行っていたり、デジタルデータを手入力したり、従来と変わらない目視による審査を行っている自治体がかなりあります。その「アナログ作業」の部分を、弊社のサービスでデジタル化することができます。単に電子決裁を行うのではなく入力レス・チェックレスにより、業務の自動化を実現します。以下図のような流れです。

デジタル化に対応できない事業所もあるので、そこは従来通りにPDFや紙の請求書を受ければ、そのままデジタルデータとして自動入力され、支出命令書の方に流します。

ここで集まったデータは連携システムを通じて、財務会計システムの方にまわされ、事業者に支払う仕組みになっています。

予算執行業務を変革するコンカーサービスのご紹介

DX導入による業務改革後も、制度・規則の変更は常に行われるため、業務をデジタルデータで可視化した上で継続的な改善が必要になってきます。その際、クラウドサービスはアドオン開発が不要で、設定によって規則等の変更に対応できます。例えば規則の自動チェックでも、データとデータの組み合わせによる様々な条件設定の中で、ロジックを組んでいけます。コストをかけずに継続的な改善が可能なわけです。

また、AIが飛躍的に進化して内部事務にもAIが適応可能になったら、さらに改革がスムーズにいくでしょう。

コンカーは、業務変革をテーマに内部事務の効率化を支援しています。デジタルを起点とした新しい業務フロー設計には、「入力作業の効率化」、「審査項目の見直し」、「業務フローの整理」という3つのポイントがあり、この3つの観点から実証実験を提案しており、効果測定します。

もちろん、各自治体に個別の事情がありますので、実現可能な姿について議論し、CanBeを確立。そこに対する効果測定を実施しています。参加いただいた自治体の70%ほどは、業務削減効果が出ています。

実証実験のご案内

実証実験に関しては、「DXによって業務をどう変えるか」という観点から提案しています。実証実験のポイントは以下の通りです。業務を変えるポイントを可視化し、影響範囲を明確にすることが大事です。

自治体の場合、対象を広げて一気に業務改革を進めようとすると、影響範囲が複数部局にまたがります。そうすると、総論で賛成でも各論で反対が起きて、なかなか改革が進まなくなります。

コンカーとしてはまず、変更リスクを最小化し、短期間で大きな効果を得るにはどの領域が良いかをディスカッションします。影響の範囲の小さい業務から着手をして、ToBeからCanBeを導くわけです。

実証実験のスケジュールはだいたい3カ月で、短い場合は2カ月半ほどで完了します。感心がおありのようでしたら、ぜひお問い合わせください。

<Program4>自治体と住民をつなぐDX推進事例のご紹介

【講師】

株式会社エスプールグローカル
執行役員 自治体シェアード営業本部 第1営業部 部長
原田 龍昂 氏

プロフィール

エスプール入社後、採用支援領域において民間企業向けの営業に従事。その後、自治体向けにシェアリングサービスを提供するエスプールグローカルの立ち上げに従事。現在、営業部長として全国の自治体に対し、シェアードBPOサービスの営業とパートナー会社とのアライアンスに携わる。


近年、デジタル技術を活用した自治体施策が増える中で、スマホやPCに不慣れなデジタルデバイド層へのサポートを今後の課題として掲げる自治体も少なくはない。そこでエスプールグローカルの原田氏が、デジタル施策を推進する上で必要となるサポート体制について、実例を交えて紹介する。

広域BPOサービスの成り立ち

弊社は自治体に特化した事業支援を行っており、特徴としてはシェアード型の運営を行うことで、地元完結型のBPOを実現しています。BPOセンターは出店先の自治体単独で利用するのではなく、周辺自治体や県内自治体など複数で、BPOセンターを共同利用します。

政令市の場合、単独で事務センターを設け、庁内の各原課の事務作業や電話対応業務を集約して運営していると思います。一方で中小の地方自治体では同じような運営はできません。そこで、弊社が行うシェアード型のBPOは、1人のオペレーターがA市の子育て関連の相談対応とB市の封入封かん作業、C市のデータ入力を行います。こうすることで、1自治体あたりのコストを大幅削減できます。もちろん、職員の工数削減や業務負担軽減にもつながります。

オンライン窓口サービス「みんなのス窓」

弊社に寄せられる相談で一番多い内容は、やはりDX推進です。特に、窓口業務に関するご相談が多いです。ヒアリングを行ったところ、国が様々な方針を出しているものの、実際に自分の市町の住民が新サービスを使ってくれるのか、それを導入することにより、職員の負担が増えるのではないか…といった懸念があるようです。

そこで当社が開発したのが、オンライン窓口サービス「みんなのス窓」です。機能は、以下図のように非常にシンプルです。

22インチ型のタブレットを設置し、ワンタッチで弊社オペレーターとビデオ通話が始まります。窓口の申請の場合、マイナポータル上のぴったりサービスや市独自で導入している民間の申請フォームなどを、弊社オペレーターが画面共有します。そして、名前や住所など聞き取った内容をオペレーターが入力するため、住民は特に画面操作や入力することはありません。業務をオペレーターが行うことにより、職員の負担軽減にもつながっています。

「みんなのス窓」は全国各地の自治体に利用いただいており、マイナンバー関連での活用が特に多いです。マイナンバーカードの場合、約5万件の申請をオンライン窓口で行い、マイナポイントの場合は約9万件の申請をサポートしました。庁舎外の商業施設などにもタブレットを設置しました。

エスプールグローカルの強み

弊社のス窓は自治体の推進していきたい施策に伴走する点で強みがあり、各パートナー会社と連携しデジタル施策を推進するケースが増えております。本日はマイナンバーカード利活用の面にて「xID」と「ギフティ」との連携事例をご紹介させていただきます。

マイナンバーカード利活用に用いる「xID(クロスID)」というアプリはxID社が開発しており、自治体職員とともにサービスの開発を行っています。また、ベンダーがマイナンバーカードを活用する際、実装に関して様々な課題に直面しますが、その解決に関してもxID社がお手伝いしています。

オンライン上には多数のアカウントが存在し、それが「なりすまし」問題の原因になっています。それに対して、マイナンバーカードがトラストアンカーとなり、アクセス者が本人であるという一意性を担保することが重要になります。

xID社のデジタルIDを実装すると、様々なサービス間でのデータ連携に使えるようになり、昨年はデジ田データ連携基盤の事業で、大阪府の採用実績があります。

弊社が提案しているのは、自治体がつくるサービスにxIDのAPIを実装してもらい、住民にはxIDのアプリを使用してもらうやり方です。そこに、自治体側から通知を送ることができる「スマートポスト」というサービスを、昨年から始めています。

さらに、公的個人認証が使われる様々なシーンでデジタルIDとして活用でき、利便性の拡大を目指しています。以下の概要図は長崎県の事例ですが、県民14万5000人を対象にした給付事業を行っています。自治体が窓口を設けるのではなく、BPOセンターでサポート窓口の業務を担当しています。

すでに、多岐にわたるマイナンバーカード利活用の事例を持っており、昨年はタイプXでも多くの導入実績があります。

今後は例えばスマートポストを活用する、もしくは一部BPOが必要、新たなマイナンバーカードの利活用の手法を検討したいなどの相談に対しても、お手伝いできると考えています。

一方、ギフティの方は、デジタルギフトと呼ばれるサービスを提供する企業です。自治体での導入例としては、自治体マイナポイントや出産子育て応援事業で利用いただいています。

「giftee Box」は、約1,000種類のラインアップの中から好きな商品を自由に選べるギフトです。自治体が住民に対してポイントを提供した場合、受け取った住民が好きなように組み合わせて利用できるため、満足度が高いと好評をいただいております。

以下の図は静岡県焼津市の導入例で、先着2万名にデジタルキャッシュレスポイント3,000円分がもらえるというものでした。

焼津市は高齢者比率が高く、このキャンペーンの申請でも窓口へ直接出向く高齢者が多いことが見込まれました。そこで、窓口に先ほどの「みんなのス窓」を2台設置し、業務の平準化が可能になりました。

【参加者とのQ&A(※一部抜粋)】

Q:「オンライン窓口」という内容でデジタルを利用するにあたり、操作が苦手な方や高齢者に対しては、どのような対応をしていますか。
A:多くの自治体が同様の悩みを持っていると思います。導入事例で言いますと、札幌市がこのオンライン窓口を市内のイオン10店に設置しておりました。そのときは利用者の7割以上が60代以上というデータがあります。もともと行ったのがマイナポイント事業だったのですが、やはりご自身で申請できるものですので、そこのサポートを必要としている人に負荷をかけず、使ってもらえたことが分かりました。併せて、コールセンターのサポート要素を追加で付け加えることも可能です。

<Program5>デジタル実装のためのNECソリューションとデジ田交付金活用事例

【講師】

日本電気株式会社
社会公共インテグレーション統括部 新事業創出グループ
ディレクター 倉光 一宏 氏

プロフィール

NEC入社後、ソリューションコーディネータとして九州・北海道・東北地区を担当。2021年より公共領域の新事業創出に携わる。


地方公共団体をはじめ、官・民両面のパートナーとして、ミッションクリティカルなシステム提供を長年にわたり行っているNEC。本公演では同社の倉光氏が、窓口DXSaaSをはじめ同社が提供中のソリューションと、デジ田交付金活用事例について紹介する。

NECが目指す方向性について

弊社はこれまで、自治体の基幹系システムや人事、給与、財務等の行政経営システムを各地の自治体に提供してきたほか、既存の事務処理システムや消防・防災や水道のサポートにも取り組んできました。

コロナ禍で、住民の生活様式は大きく変化しました。弊社はそれまでに培ったノウハウを活かし、住民のQOLを向上するため、デジタルを活用したパブリックサポート、ライフサポート領域に事業を拡張しています。まちづくりやウェルビーイングの実現を目指して、取り組んでいるところです。どうやって住民のQOLやウェルビーイングを実現するのか。それをイメージ化したものが下の図です。

図の一番下に「NECライフサポートプラットフォーム」があります。このプラットフォーム上に個人情報を集約し、貯まったデータを分析。それぞれの人に最適なサービスを、プッシュ型で提供しています。

プラットフォームの上部には、ポータルやデジタル会員証などを束ね、例えば窓口関連手続きサービスや教育、ヘルスケアなど、住民のQOL向上につながります。公共の領域だけでなく準公共、民間と、人々が生活する中で必要ものを全部このポータル上に詰め込んで提供しようと考えています。

デジ田交付金の活用に向けた商材紹介

弊社が取り扱うソリューションの中には、デジ田交付金の申請に活用できそうなものが多数あります。それらソリューションについて、概要を紹介します。

●健康ポイントサービス「WoLN(ウォルン)」
住民が健康増進、健康づくり推進を取り組むことにより、自治体がポイントを付与。貯まったポイントは地元の商店などで使え、健康づくり以外にも地域の活性化に貢献します。また、毎日の歩数や食事の記録、体重など7つのライフログデータを蓄積することができます。

●申請書記入サポートシステム
マイナンバーカードを持っている方が来庁された際に活用できるソリューションです。マイナカードをシステムに読み込ませることで、カード内に保持されている基本4情報を自動転記し、申請書を書く手間を省くことができます。マイナカードの他にも、運転免許証の読み取り・転記が可能です。

●スマート行政窓口ソリューション窓口DXSaaS
令和5年6月、デジタル庁が公募した「窓口DXSaaS」に弊社ソリューションが採択されました。住民が感じる行政手続きへの不満を解消したい、職員の負荷軽減や対応のスピードアップを図りたい、申請の手続き案内などの業務改善を図りたい…などのニーズに応えるソリューションです。来庁者のマイナカードを読み取って申請書に転記することが可能なほか、窓口応対する職員をナビゲーションでサポートし、業務システムとの連携を図ることで業務効率化を実現し、職員の負荷を軽減することができます。

●車両継続検査実施可否判断サービス
クラウドサービスを活用し、ディーラーや車検代行業者が自動車税・軽自動車税の納税状況を確認できます。従来は、自治体に電話で納税状況の確認をする必要があり、自治体側も、この問い合わせ対応の時間が通常業務を圧迫していました。このソリューションにより、時間や場所を問わず、セキュアな環境下で自動車税・軽自動車税の納税状況の確認が可能になります。

●住民ポータルサービス
住民とのタッチポイントを統一し、1人ひとりにプッシュ型で情報を届けることで、住民サービスが向上。申請があってから動く、従来の「申請主義」からの脱却を加速させます。このポータルとマイナカード認証サービスとを組み合わせることにより、本人認証をした上でサービスを提供します。また、ポータルの入口を統一化し、異なる複数の他サービスをIDで連携。SSOによるユーザの利便性向上につながります。

●マイナンバーカード認証サービス
マイナカードの本人確認活用が広がる中、カードのJPKIを活用した厳格な本人確認等を実現します。アプリ等のサービスへSDKを組み込む、もしくはブラウザと連携することで、厳格な電子証明書検証を実現します。主務大臣認定取得済みの認証サービスです。例えば、高齢者の見守りやベビーシッターなどのマッチングサービスを提供する際、本人確認ができます。住人が安心して利用でき、地域活性化に役立てることも可能です。

●LLM(大規模言語モデル)
生成AI・LLM(大規模言語モデル)を、自治体業務で利用できる最適な環境やユースケースを提供。様々な業務の効率化を実現します。AIを利活用するにあたり、庁内のデータや業務固有のデータを用いて、AIを学習させて利用したいというニーズがあります。自治体業務に最適な環境やユースケースを準備し、業務効率化に貢献します。

なお、上記の「申請書記入サポートシステム」については無償トライアルを行っています。一定期間実際に使っていただき、効果検証が可能です。これらのソリューションに興味がおありでしたら、ぜひお声かけください。また、デジ田申請にあたっても、お気軽にお問い合わせください。

【参加者とのQ&A(※一部抜粋)】

Q:車両継続検査サービスを実際に導入された自治体の声や、ディーラーの方手間の削減などの感想があれば教えてください。
A:自治体では、問い合わせ対応にひっ迫していたり、ディーラーや車検代行業者の方も1件ごとに問い合わせをしなければいけないので、繁忙期は非常に手間がかかっているようです。このサービスをご活用いただくことで、手間や煩わしさから解消されたという声をいただいています。

Q:住民ポータルサービスを使って、自治体として連携・導入しているサービスの事例があれば教えてください。
A:自治体によりケースバイケースだと思いますが、施設予約を入れているユースケースがあります。本日は紹介できませんでしたが、一番分かりやすいのは窓口のオンライン申請サービスです。また、クーポンを提供するなどカスタマイズもできますので、ぜひご相談ください。

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