ジチタイワークス

【相談室】公務員の世界以外にも知見を広げていきたいです

「何でこうなっているの?」「もっとこうならいいのに」毎日仕事をする中で、頭をよぎる疑問や悩み…そんな「モヤモヤ」を、一歩先ゆく公務員の皆さんに解決していただく企画。

今回は、公務員の世界だけにいては視野が狭くなるかも…そんなお悩みに対し、諫早市の村川美詠さんに回答いただいた。

【今回のモヤモヤ】

「公務員の世界だけにいては視野が狭くなるかも、と危機感を持っています。公務員の世界以外にも知見を広げていきたいのですが…」

人脈づくりや知識・世界の広げ方について、アドバイスいただきたいです。

 

一歩外に出てみると、役所の常識が通じなくて民間の人と協働できなかったり、地域のコミュニティで浮いてしまったりする公務員。「公務員の世界以外にも知見を広げたい」と思うことはとても大事なことです。特に若い頃は、間違い、失敗OK!ぜひぜひ、役所を飛び出て、色んな刺激を受けてみてください。

動けば変わる

拙著『すべての働きづらさをふきとばす!公務員女子のおしごと相談室』(学陽書房)にも書きましたが、私も若いときは、勉強もろくにしていなかったし、人との交流にも消極的でした。結果、スキルアップもできず、豊かな体験もないまま、ただただ仕事と生活に追われるだけの日々を送っていたような気がします。

それが、男女共同参画の仕事をするようになったことがきっかけで、多様な市民と関わったり、面白い人に会いに行ったりするようになりました。おかげで、たくさんの刺激をいただき、仕事だけではなく私の人生もとても豊かになったと実感しています。

まずは、役所を一歩出てみることから。ある人に出会うと、「あの人に会ったらいいよ」と別の人を紹介され、また、次の人へ…と、まるでわらしべ長者のように、ご縁がつながっていきます

会いたい人に会いに行く

世の中には、「私は人が大好きなんです!」「初めての人と会うときはワクワクします!」などという人もいますが、大半は「私は人見知りで」「知らない人と会うのは億劫で」という人だと思います。私も後者のタイプで、30代前半までは名刺交換もろくにしたことはなく、職場外の人と知り合うきっかけもありませんでした

きっかけはなんでもいいと思います。本の著者や新聞に掲載された人、面白そうと思う人がいたら、会ってみることです。実際にお会いしてお話を伺うと、グイグイやっているようでも実は地道に小さいことを積み重ねておられたり、まわりを上手に巻き込みながら一歩一歩進めておられたりと、その背景や苦労がよく分かって、「よし!自分もやってみよう」と勇気をもらうことができます。

例えば、ジチタイワークスに掲載されているような魅力的な人に会いに行ってはどうでしょうか?同業者でも面白いチャレンジをしている人がいて、刺激になります。

違いはチカラ、人と交わる

私がまちおこしのために活動している「諫早もりあげガールズ」は異業種、異年齢の女性グループですが、初めから友達同士だったわけではありません。ある方から声がかかり、それぞれが「私でよければ」と集まり、仲間になりました。最初はお互いの価値観や仕事の運び方の違いに戸惑ったのですが、活動していくうちに「違うからこそ強いし、楽しい」ということが分かりました。

初めての場所や、知らない人が集まる場面は、居心地が悪く、緊張します。でも、あえてそんな場に自分を置くことを時々やってみましょう。必ず新たな発見や気づきがあります。できればちょっと背伸びをするくらいの集まりがいいと思います。

今はオンラインセミナーなどの機会も多いので、思いきって参加してみましょう。面白い出会いがあるかもしれません。同質性の高い組織にいる私たちだからこそ、あえて慣れない場面に自分を置いて、自分をアップデートさせる意識が大切です。

普通の暮らしの中で人と関わる

地域やコミュニティに参画するというと、なんだかまちづくり活動にどっぷりハマるようなイメージがありますが、そんなに構えることはありません。ごく普通の、ご近所づきあいや自治会の活動、保護者の集まりなどに顔を出したり、地元の飲食店を応援したりすることで人脈は増えます。いろんな職業の人がいて、役所に対する印象などを聞かせてもらうと参考になりますし、市民に知り合いが増えることで仕事がはかどることもあります。

いつメン(いつものメンバー)だけでは、新しいヒントやスキルの獲得にはつながりません。意外なコミュニティに参加して知らないテーマに出会えたり、子育てサークル等でママの本音を聞いたりするのもよい経験です。地域の高齢者と話す中からヒントを得られることもあるでしょう。合わないと思えば、次から行かなければいいだけです。まずは、自分から飛び込んでみる、声がかかったら参加してみる勇気を持つことです。

 


村川 美詠(むらかわ・みえ)

諫早市健康保険部長。1986年諫早市役所に新卒で入庁。
選挙管理委員会事務局、障害福祉室、職員課、男女共同参画課課長補佐、教育総務課課長補佐、職員課課長補佐、生涯学習課長、障害福祉課長、健康福祉部次長を経て現職。著書に、「自分もまわりもうまくいく!公務員女子のおしごと帳」「すべての働きづらさをふきとばす!公務員女子のおしごと相談室」(学陽書房)


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