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外部支援を受け入れる備えが、復旧へ向かう現場の流れを後押しする

災害時の外部支援を円滑に受け入れるためのアドバイス
令和6年の能登半島地震では、全国から応援職員や支援団体が駆け付けた。支援を受け入れる側として感じた戸惑いや感謝、得られた知見などについて、輪島市で当時総務部長を務めていた中前さんに語ってもらった。
※下記はジチタイワークスVol.45(2026年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

輪島市
副市長 中前 豊(なかまえ ゆたか)さん
想定をはるかに超えた規模の支援で、庁舎の受け入れ能力が限界に迫った。
能登半島地震の発生後、被災地では道路の寸断が多発し、交通網が遮断された。同市でも、発災当日に参集できたのは全職員の約39%にとどまったという。人的リソースが限られ、対応に追われる中、全国から応援職員や支援団体が到着しはじめた。当時のことを中前さんはこう振り返る。「正直に言って、最初は戸惑いました。もちろん、市の地域防災計画には応援要請に関する記載があります。しかし具体的なイメージをもっていたのは自衛隊への派遣要請のみ。被災自治体の災害対応を支援してくれる“GADM(ギャドム)(※1)”という役割も、そのときに初めて知ったのです」。
その頃、庁舎内は混乱を極めていた。発災直後から避難者が押し寄せ、人であふれ返っていたため、災害対策本部の立ち上げすら困難な状況だった。そうしている間にも、総括支援・対口支援(※2)の自治体職員や、各省庁の職員、自衛隊、警察、災害派遣医療チーム(DMAT)と、支援は次々とやってくる。「これほどの規模で全国から支援が入るとは想像していませんでした。しかし、せっかく来てもらっているのに庁舎内の混乱は収まらない。何とかしなくてはと焦りを感じていました」。こうした状況の中、支援団体との連携が徐々に機能しはじめた。
※1 GADM=General Adviser for Disaster Management(災害マネジメント総括支援員)
※2 被災自治体へ職員を派遣する制度。総括支援はGADMによる災害マネジメントを、対口支援は災害対応の実務を担う。
各団体がそれぞれの専門性を発揮し、多方面の支援で現場は前進に向かう。
まずは市役所の機能回復に向け、GADMの助言に従い、避難者に移動してもらうことから着手。近隣の高校などを案内し、庁内のキャパシティを確保した。「連携のためには各団体が1カ所に集まっているのが望ましいとのことで、執務スペースのレイアウトをはじめ、様々な提案をしてもらえました」。同時に会議スペースも確保し、全団体での情報共有を随時実施。組織間の連携を図っていったという。「GADMからはフェーズごとに必要な体制の助言があり、会議運営や、各団体の要望のとりまとめなども担ってくれました。それらの助けがなかったら、見通しを早期に立てるのは難しかったと思います」。
体制が整うにつれ、各団体はそれぞれの専門性を発揮していった。対口支援チームが担う業務は、避難所運営や物資搬送、被害認定調査、罹災証明書交付など多岐にわたる。中でも被害認定調査は膨大だった。市内で被害を受けた建物のうち、約6割が半壊以上。この調査を支えたのも、他自治体からの応援職員の人的リソースだった。
被害が甚大かつ広範囲に及んだことで、避難所の運営も長期化。当初は市職員が各避難所を運営していたが、応援職員と交代しつつ、避難者自身による自主運営へと段階的に移行させる必要があったという。ここで力を発揮したのが、NPOなどの災害支援の専門団体だ。「こうした専門家は、自主運営のサポートをはじめ、被災者一人ひとりの事情に合わせた災害ケースマネジメントも担ってくれました。行政だけでは手が届きにくい個別支援を補ってくれたのです」。こうして多方面の力が重なり合い、復旧への“流れ”が少しずつ形づくられていった。「支援に来てくださった皆さんには、感謝の言葉しかありません」。

平時から受け入れに備えて、災害に強い地域をつくる。
支援団体との連携で、災害対策拠点としての機能を果たせるようになった同市。中前さんは当時の動きを振り返り、この経験を全国での災害対策に活かしてほしいと語る。「例えば、応援職員の宿泊場所や自衛隊車両の駐車スペース確保などには、当初苦心しました。庁舎内でどの部屋をどう使うかといった調整にも時間がかかった。平時から想定して準備しておけば、よりスムーズに進められたでしょう」。
加えて、首長や幹部職員へ支援の各制度を説明・周知することも重要だと強調する。「いざというときの意思疎通や判断が円滑化するはずです。また、職員の参集についても、どんなケースでどう行動するのか、庁内全体で認識を揃えておく必要があると思います」。
災害時の受援は、“支援が来てから対応を考える”のでは後れを取ってしまう。平時からシミュレーションを行い、スムーズに受け入れができる“器”を整えておくことが、地域のレジリエンスを支えるだろう。「災害は避けられませんが、自分たちだけで何とかしようとせず、早めに助けを求めること。そして、支援に来てくれた人たちと協働する準備をしておくことが大切です」という言葉には、大災害を経験した当事者ならではの実感がこもっていた。













