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避難所で雨水を純水に変え、断水時の生活用水を確保する

電力を使わず雨水をろ過し純水をつくるシステム
震災で断水すると、生活用水が不足する。熊本地震を経験した「エコファクトリー」は、電力を使わず雨水を純度の高い水に変え、貯水できるシステムを開発。平時も活用でき、自治体で導入が進んでいるそうだ。
※下記はジチタイワークスVol.45(2026年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[PR]株式会社エコファクトリー

エコファクトリー
代表取締役
村上 尊由(むらかみ たかよし)さん
断水すると生活用水が足りなくなり生活が止まってしまうことを痛感。
平成28年の熊本地震の際、同社の事業所がある熊本県西原村(にしはらむら)では40日以上も断水が続き、地域によっては井戸も使えなくなったという。そのときに直面したのが、“生活用水が足りない”という現実だ。「当時、飲料水はペットボトルで確保できても、トイレや洗濯などに必要な大量の生活用水を十分に備えることが難しい状況でした。断水すると、生活が止まってしまうことを痛感しました」と同社の村上さんは振り返る。
さらに状況を深刻にしたのが、道路の寸断だった。「道路に亀裂が入ると給水車が通行できず、現場に向かえません。水が日々減っていく中、外部からの支援を待つ受け身の対策では、限界があると身をもって感じました」。
こうした経験から、避難所となる場所で生活用水を確保する仕組みを模索。その糸口となったのが、同社が空調メーカーとして培ってきた知見だ。空調の省エネ効果を高める室外機の冷却には、水あかを防ぐ“純水”が必要になる。そこで着目したのが雨水だった。「雨水は、自然のサイクルの中で蒸留されているため不純物が少なく、クリーンな性質をもちます。この雨水をろ過して純水に変えて蓄えておけば、平時にも有事にも活用できると考えたのです」。
防災専用として眠らせるのではなく平時も使えるシステムとして開発した。
研究を重ねて生まれたのが、雨水をろ過して純水に変える「エコウィンウォーター」だ。屋根から雨どいを流れ落ちる水の勢いを利用するため、電力は不要。特許技術によって泥などの不純物を分離除去し、フィルターで細菌や微細な汚れを取り除いた水が、タンクにたまる仕組みだ。「既存の建物の雨どいに後付けするだけで導入できます。そのため大規模な工事を必要とせず、体育館や公共施設などに設置しやすい点が強みです」と語る。
同システムは有事に役立つだけではなく、開発のきっかけとなった室外機の冷却にも活用できる。霧状の水を吹きかけることで冷却効率が上がり、消費電力を抑えることができるという。「水道水を吹きかけて冷却すると、ミネラル分が含まれているため、次第に水あかが固着しはじめます。その結果、目詰まりを起こして空調効率が下がり、かえって電気代がかかってしまうのです。純水はそうした心配がなく、電気代の削減が期待できます」。
すでに同システムを導入した自治体では、公用車やごみ収集車の洗車用の水、トイレ用水としても、日常的に活用しているそうだ。「防災専用ではなく、普段から価値を生むことを評価されています。また、自治体が備蓄する飲料水は、使わないまま賞味期限を過ぎると廃棄しなくてはなりません。同システムは日常的に使えるため、そうした手間やコストを抑えることにもつながります」。

実証実験で水質検査をクリアし空調の省エネ効果も確認。
同社は令和7年より、熊本県宇土市(うとし)と実証実験を行っている。水質や生活用水としての活用可能性を検証し、防災拠点機能の強化につなげることがねらいだ。そこで、市内の体育館に同システムを設置し、水質検査を行うとともに、室外機噴霧冷却による効果も計測した。「井戸水の検査に適用される項目全てをクリアし、空調において約19%の省エネ効果が確認できました。昨今は電気代が高騰し、施設の利用料に転嫁せざるを得ないケースも多いようです。しかし、同体育館では電気代を抑えられ、利用料を上げずに済んでいます」と手応えを口にする。
また、同システムが地域に広く普及すれば、いわば“小さなダム”になると期待を込める。「豪雨時には、屋根からの雨水がそのまま川に流れ込むのを一時的に抑え、流域治水に貢献します。そして断水時には、地域に点在する非常用水源として活用できるのです」。
災害への備えは重要だが、限られた財源の中で予算を確保するのは容易ではない。防災井戸は場所によって1,000万~2,000万円程度かかる場合もあるそうだが、同システムは標準的な一式と工事費込みで100万円前後が目安だという。標準の500Lタンクでトイレ約100回分の水量を確保でき、必要に応じて増設も可能だ。「施設そのものが水を生み出す“自立型インフラ”になる。この発想が、今後の自治体防災にとって大きな意味をもつと考えています」と村上さんは力強く語る。


災害で断水を経験し、生活用水の確保が課題だった宇土市。指定避難所での実証実験を庁内連携で進めた担当者に、導入の背景や成果について話を聞いた。

元・危機管理課(現・網田支所)
所長
内田 雅之(うちだ まさゆき)さん
避難所の機能向上を目的に、3課が連携して実証を推進。
同市は過去に熊本地震や豪雨を経験しており、断水時にトイレや清掃などで使用する生活用水の不足が課題だったという。そこで令和7年に、指定避難所である宇土市民体育館にて、雨水を活用した実証実験を始めることにした。「もともと体育館の空調で同社の製品を利用しており、ネーミングライツ契約を結ぶなど信頼関係がありました。そこへ実証実験の提案を受け、避難所で自立して水を確保できる点に非常に魅力を感じたのがきっかけです」と内田さんは語る。
実験にあたっては3課が連携しながら進めた。貯留水の水質を検証し防災に役立てたい危機管理課と、体育館を管理する生涯活動推進課、CO₂削減などの取り組みを推奨している環境交通課だ。実験内容は、第三者機関による貯留水の水質検査と、空調室外機へ純水を噴霧した際の消費電力の比較検証。3課は“施設の機能向上”という共通目的のもとで情報交換を行い、設置準備の段階から位置や時期などを工夫していったそうだ。
期待を大きく上まわる成果から本導入の可能性が見出せた。
結果は期待を大きく上まわるものだったという。第三者機関による水質検査では基準を全てクリアし、生活用水としての安全性が確認された。省エネ効果についても「施設の光熱費高騰が課題でしたが、室外機への噴霧により約19%の省エネ効果が確認できました。おかげで利用料金を上げることなく快適な環境を維持できたことは、市民サービスの面でも意義が大きいです」。さらに、一般的な防災井戸は高額な掘削費用や維持管理の負担が重くのしかかるが、同システムは大規模工事が不要。「導入や維持コストを抑えやすく、管理負担も少ないため、継続的な防災対策として非常に有効な手段の一つです」。
今後は今回の実証成果を活かし、平時も有事も安心して利用できる施設運営につなげる構えだ。「自然の資源を利用でき、水質も一定期間安定するこの仕組みは、生活用水の確保を検討する自治体にとって一つの手段になると思います。光熱費の高騰や防災対策は全国共通の課題です。まずはできるところから取り組みを始めることが大切ではないでしょうか」。

独自技術で純水をつくり出す仕組みと活用方法
平時も有事も活躍する同システム。特許技術を用いたろ過の仕組みや活用方法について、図解を交えて紹介する。

自治体からのよくある質問
Q. 本当に水がたまる?
A. 最適な貯水計画を提案
降水量や施設の屋根面積をもとに確保できる水量をシミュレーションし、最適なタンク数や貯水計画を提案します。
Q. メンテナンスは?
A. フィルター交換のみ
維持費は年間約4万5,000円。年1~2回の交換は職員でも簡単にでき、タンクの洗浄は基本的に不要です。
Q. 寒冷地でも使える?
A. ヒーターで対応可能
雨どいやタンクの周りに凍結防止ヒーターを設置可能。青森県など積雪地域での導入実績もあります。
Q. 設置までどのくらい?
A. 最短1カ月で運用開始
発注から最短2週間で着工し、工事は1~2週間で完了。問い合わせから最短1カ月で稼働できます。
※費用・工期・維持費は標準仕様の目安であり、施設条件・用途・設置環境により異なります。また、記載の金額は取材時点のものであり、今後変更となる場合があります。
お問い合わせ
サービス提供元株式会社エコファクトリー












