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停電時でも外から電気を確保し避難所に安心と快適を届ける

省スペースで設置できる外部電源接続盤とケーブル
小・中学校の体育館に空調を導入し、猛暑対策と有事の快適な避難所づくりの両立を目指していた吉川市。しかし、敷地に余裕がなく設備の導入が難しい学校があったという。その状況を乗り越えた経緯を聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.45(2026年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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吉川市
教育部 教育総務課
主査 川井 義久(かわい よしひさ)さん

吉川市
教育部 教育総務課
技師 工藤 朋宏(くどう ともひろ)さん
有事の備えとなるLPガスが置けない小学校に、新たな選択肢の提案が。
同市では、近年の猛暑の影響で、小・中学校の体育館での授業が困難な状況にあった。そこで、市内12校に空調設備を導入するとともに、有事の避難所としての利用を想定し、停電時でも空調が使えるように環境整備を進めていたという。11校はLPガスを用いた自立発電式空調を採用したが、美南小学校は同じ設備の導入ができなかったそうだ。「同校は市内でも児童数が多い小学校で、公民館や子育て支援センターも併設されています。そのため敷地に余裕がなく、LPガスのバルクタンクの設置が難しい状況でした。また、ガス式空調の室外機は重量があるので、屋上への設置もできなかったのです」と川井さんは振り返る。
この課題を危機管理課の職員に相談したところ紹介されたのが、給電したい建物の外壁に据え付ける外部電源接続盤だった。省スペースで設置でき、停電時には電源供給車などの外部電源を専用の接続ケーブルでつなぐことで、空調が使えるようになる。電源供給車の手配が必要になるなど、有事の自立性はLPガスに劣る。それでも敷地の条件に左右されず、他校と同じように避難所としての環境を整えられることは、住民の安心を守るうえで魅力的な選択肢だったという。

迷いなく使える接続ケーブルによって電源供給車から約20分で給電可能に。
採用の決め手になったのは、専門知識がない職員でも接続できる点だ。「通常、停電時の給電には、電気工事士の資格保持者による配線作業が必要です。しかし同製品であれば、資格がない職員も作業ができるようになります。一般の職員でも接続できることは、有事の助けになると思いました」。
その後、他校と併せて申請していた緊急防災・減災事業債での導入が議会で承認され、令和7年7月の入札を経て、同年12月に施工を開始。「設計段階では、電源供給車がどこまで近づけるか、既存の設備との位置関係はどうなっているかなど、設置場所を決めるための現地調査を行いました」。
こうして、令和8年2月に電力供給テストを実施。手順はシンプルで、防災倉庫に保管されている接続ケーブルを取り出して電源供給車につなぎ、外部電源接続盤にコネクタを挿入するだけだ。接続ケーブルは赤・白・青と色分けされており、コネクタの機構が誤挿入を防ぐ仕組みになっている。有事を想定したデモンストレーションで作業を担当した工藤さんは「接続ケーブルは3本あり、当市が導入したものは1本当たり長さ約11m・重さ約10kg。色で見分けられたので簡単に接続できました。電力供給テストでは、電源供給車の到着後、約20分で給電が開始できました」と話す。

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空調が使える避難所を増やし地域の防災力を強化する。
同市では、電力供給テストでの有用性を踏まえ、実際の運用を想定したマニュアルの作成を進めている。職員の異動や対応力も考慮し、年1回ほどのペースで、設備のメンテナンスと習熟を兼ねた訓練の実施を検討している。有事の動作不良を防ぐとともに、操作の手順を職員間で共有しておくことで、いざというときの対応力を高めるねらいだ。「有事の際、避難所で暑さや寒さをしのげる環境は重要だと考えています。条件が難しい場所でも、電源が確保でき、空調を使える方法があってよかったです」と川井さん。設備の導入については、ホームページや広報紙を通じて、住民に周知を行ったそうだ。
この取り組みをモデルケースに、まだ空調や給電設備が整備されていない施設への展開も視野に入れているという。「有事に備えて、停電時でも電気を届けられる仕組みがあることは、職員の初動対応の迅速化にもつながると思っています」。避難所の機能強化が求められる中、施設ごとに状況や条件が異なるのも現実だ。同市は画一的な導入にこだわらず、現場に即した選択で防災力を高めていくという。
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