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組み立て簡単な簡易ベッドで災害時の初動を迅速化する

設置が容易で繰り返し使用できる避難所用ベッド
災害時に避難者の健康を維持することを目標に、避難所の環境改善が求められている。中でも迅速な確保が重要とされるものの一つがベッド。大分市では新たな避難所用ベッドを導入し、災害への対応力を高めている。
※下記はジチタイワークスVol.45(2026年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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大分市
総務部 防災局 防災危機管理課
主任 南 和真(みなみ かずま)さん

大分市
福祉保健部 福祉保健課
主査 三浦 拡(みうら ひろむ)さん
モノはあるが保管場所がないという避難所における物資備蓄の悩み。
南海トラフ地震が発生した場合、最大震度6強が予想される同市。対策を進める中で、備蓄品の保管に課題を抱えていたと南さんは話す。「空き教室などがある小・中学校が避難所の場合は、備蓄品を置いておくことができますが、スペースがない避難所もあります。その場合は少し離れた場所に備蓄し、災害発生時に避難所に持ち込む体制にしていました。ただ、発災時は道路の寸断などで備蓄品の到着が遅れる可能性もあり、初動に影響が出るのではという懸念がありました」。
発災後48時間以内の確保が重要だとされている物資の一つがベッドだ。避難者の健康状態を維持し、災害関連死を防ぐために欠かせないとされる。国が令和6年に改訂した自治体向けの避難所運営に関する指針でも、避難者全員を目標としたベッドの備蓄が求められている。
「当市ではもともと紙製の段ボールベッドを利用していました。保管スペースを要するという問題のほか、組み立てにコツと時間を要する点を、なんとかしたいと考えていました」。その課題を解消するために導入したのがプラスチック製簡易ベッド「ワンタッチ ディーベッド」だ。包装・物流資材の製造販売を手がける市内の企業「ダイソー」が開発した、避難所用ベッドだという。

コンパクトで組み立てが簡単なベッドを災害対策の初動プランに組み込む。
このベッドは、中空構造(※)をもつプラスチック板、通称プラダン製。蛇腹構造になっており、「初めて組み立てたとき、設置にかかる時間の短さや、1人でも簡単に設置や片付けができることに驚きました」と南さん。持ち運び用のひもが付いているため、1人でも運びやすいという。
同市ではまず令和3年度に、福祉保健課が8台を購入。避難所の運営に従事する同課が避難所開設訓練などで紙製の段ボールベッドと併用し、試験的に利用した。設置や寝心地を試した訓練参加者からは、同製品について“組み立てがすごく簡単”“想像よりも寝心地がいい”という声が聞かれたという。「収納時のスペースも少なくて済みます。複数回使っても耐久性に問題がなく、繰り返し使えたという点も魅力でした」と三浦さん。これらが後押しとなり、本格導入を決定した。
令和7年度、備蓄品を管轄する防災危機管理課が、「新しい地方経済・生活環境創生交付金(地域防災緊急整備型)」を活用して550台を購入。市内の備蓄拠点に格納したほか、各避難所には簡易トイレなどとセットにした「避難所初動用パッケージ」を配備した。
※材料と材料の間に空気層(空洞)がある構造
大規模火災での実体験をもとに災害に備える体制を強化。
同製品は、同年11月18日に佐賀関で発生した大規模火災時に活用された。同日に開設された避難所へは、多くの人が避難。混乱する現場で、まず使われたベッドが、初動用パッケージに入っていた4台だった。「当初はベッド数が足りなかったこともあり、体調面などから必要性が高いと判断した避難者に、優先的に利用してもらいました」。その後、備蓄場所などからほかの種類のベッドが運び込まれ、混在した状態で使う形になったという。
この避難所は、開設から約1カ月後の12月26日に閉鎖した。撤収時を振り返り、三浦さんは「紙製の段ボールベッドは型崩れなどがあった一方で、プラダンベッドには変化がなかったことに驚きました」と語る。紙製のベッドは資源物として処分し、同製品は消毒などをした後、再び保管しているという。
令和8年度も150台を追加購入する予定で、「紙製と比較すると価格は2倍強ですが、耐久性が高く、再利用できることを考えると、コスト面でもメリットがあると考えています」と南さん。南海トラフ地震が起きた場合の同市における避難者数は想定で最大約9万5千人。今後も備蓄を含めた災害対応力の強化を計画的に進めていくという。

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