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体験と学びの機会をつくり有事に“動ける人”を育てる

平時の訓練や啓発を支える防災サポートサービス
住民の参加率や防災意識を高める訓練の実施に頭を悩ませる自治体に対し、平時の訓練や防災イベントの企画から検証までを担う民間サービスが誕生した。自治体で実施した事例を通し、地域を巻き込む防災のヒントを探る。
※下記はジチタイワークスVol.45(2026年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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ダスキン
レントオール事業部 事業企画運営室
小森 伸幸(こもり のぶゆき)さん
有事の避難所支援にとどまらず、平時の防災訓練や啓発に貢献したい。
大規模災害への対応は、行政や消防などによる公助だけでは限界があり、地域住民による自助・共助の力が欠かせない。ところが、内閣府の「防災に関する世論調査(令和7年8月調査)」によると、防災訓練の参加・見学経験がない人は約4割にものぼる。住民の防災意識向上や訓練参加の啓発に頭を悩ませている自治体は多いだろう。
こうした課題に対し、新たなアプローチを提案しているのが「ダスキン」だ。同社はこれまで、全国100以上の自治体と災害協定を結び、避難所用資機材のレンタルや避難所内の衛生管理といった有事の支援を行ってきた。「事後の対応では限界があります。ならば、平時から自治体の力になる関わり方はないかと考えました」と小森さんは語る。
新サービス開発にあたり、全国の約4分の1の自治体を対象にアンケート調査を実施。共通したのは、防災訓練にまつわる人手不足やノウハウ不足、住民参加率の低さ、見学型訓練になりがちといった声だった。「それらの課題にも、当社が貢献できるのではないかと、訓練や住民参加型の防災イベントを支えるサービスを開始したのです」。
親子で学べる体験型の防災イベントで楽しみながら“知る”場をつくる。
新サービスでは、レンタル事業を通して、イベント運営を手がけてきた同社と、災害対応の専門家が連携。防災訓練や防災イベントの企画から運営、検証、助言までを一括で支援している。その好例が、令和8年2月に北海道札幌市(さっぽろし)で開催された総合防災訓練だ。
同市は、総合防災訓練への若年層の参加を促すため、子育て世代を主な対象とした、楽しみながら学び、体験できる防災イベントのプロポーザルを実施。「当社のイベント運営ノウハウに、専門的な防災の視点をかけ合わせた企画を加盟店が提案し、受託に至りました。親子で楽しみながら防災の知識が自然と身に付くよう設計しました」と話す。
総合防災訓練において同社の加盟店が企画運営した防災イベントのエリアには、発災時も活用されるドローンの操作体験ブースや防災ワークショップなどのコンテンツを用意。倒壊家屋を再現したキットを用いて、閉じ込め・救出体験ができるコーナーも設けた。当日は悪天候に見舞われたが、訓練全体に約5,000人が参加。アンケートへの協力者の約97%が“防災意識が高まった”と回答した。「従来の訓練では接点をもちづらかった層へのアプローチができ、自治体職員の皆さんも手応えを感じていたようです」と振り返る。

住民の“お客様意識”を変え、“自ら動ける人”を増やす。
同社が目指すのは、防災意識向上だけではない。令和8年3月に協定先の京都府内で実施した避難所運営訓練では、避難生活の長期化を想定し、段ボールベッドの設置やゾーニング、発熱者の動線などを自治体と擦り合わせながら設計。加えて、トイレ清掃や吐しゃ物処理に関するセミナーも実施した。「感染症対策の知識不足が災害関連死につながるリスクもあります。当社の清掃・衛生ノウハウを活かし、リスク低減に寄与したいと考えています」。
さらに、同避難所内の目に留まる場所に掲示する清掃や衛生管理のマニュアルを作成。人手不足に陥りがちな避難所運営において、避難者自身が気づいたときに自分で清掃できるしかけだ。「“お客様”ではなく“自分たちが協力し合って避難所運営を行う”という意識づくりが重要です。住民も主体的に参加できる運営のあり方を一緒に考えていきたいです」と展望を語る。
イベントで“知る”機会をつくり、訓練で“動ける人”を増やす。平時の伴走支援で、自助・共助・公助の間をつなぎ、減災の土台づくりを後押ししていくという。「自然災害をゼロにはできません。ただ、日頃の備えと、地域住民や職員の対応力を高めることで、被害を少なくすることはできるはずです」。

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