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【セミナーレポート】生成AI・AI・RPAを使いこなす!~事例から学ぶ業務活用と庁内浸透~【Day1】

判断・予測が必要な業務にはAI、定型・繰り返し作業にはRPA、言語処理・創造系には生成AI……と、それぞれの役割が明確にわかっていても、なかなか各課で運用が浸透しないという悩みを抱えていませんか。その原因は、“特性の違い”を踏まえた業務への当てはめ方が整理されていないことにあるかもしれません。
業務効率化の効果を最大化するためには、どのように各課がシステムやツールを使いこなすべきなのか。今回は、具体的な実践事例を交えながら、庁内浸透のポイントをお伝えします。
概要
■テーマ:生成AI・AI・RPAを使いこなす!~事例から学ぶ業務活用と庁内浸透~
■実施日:令和8年6月4日(木)
■参加費:無料
■申込者数:234人
【江津市】関心層から全庁へ広げるRPA運用の仕掛け
最初に話を伺ったのは、島根県江津市の森下 晃さん。RPAやAI-OCRの庁内活用促進方法をはじめ、小規模自治体におけるRPA導入の考え方について伺いました。

【講師】
森下 晃 さん
島根県江津市 政策企画課 係長
平成23年入庁。税務課、財政課、健康医療対策課を経て、令和2年度より現職。令和4年度にスマートシティ江津推進構想アクションプランの策定を行ったあと、RPA・AI-OCRやローコードツール、電子申請、文書管理システムの導入など主に庁内のDXの普及を進めている。DX推進のほか、脱炭素推進担当でもあり、今年度は公共施設のLED化などに取り組んでいる。
江津市のスマートシティ江津推進構想
島根県のほぼ中央部に位置する江津市は、県内8市の中で面積・人口ともに最も小さい市です。2020年の国勢調査では人口約2万2,000人、現在は約2万400人まで減少しています。こうした人口減少や少子高齢化による将来不安を背景に、市役所内部の仕事の進め方から変える必要があると考えてきました。
そこで令和4年度に策定した「スマートシティ江津推進構想」では「市民サービスの改革」「業務プロセスの改革」「人と組織の改革」という3つの改革を掲げました。RPAやAI-OCRは業務を楽にするだけのツールではなく、職員自身が業務を見直し、課題を整理して解決する力を育てるための手段として位置付けています。
BPRとRPA導入による定着までのステップ
RPA導入にあたっては、いきなりツールを選ぶのではなく、3段階で進めました。最初に各課の業務プロセスを見直し、課題を明らかにする。次に、その解決手段を研究する。そして最後に、実際の業務で活用するという流れです。

まず、令和4年度には、人事課・税務課・社会教育課・水道課の4課でBPRを実施しました。36業務を分析した結果、年間3,587時間の削減見込みがあり、そのうちRPA・AI-OCRの活用を想定したものは2,392時間でした。この時点では、RPAが本当に有効なのか半信半疑でしたが、試す価値はありそうだと感じました。
次に、令和5年度には庁内ワーキンググループを立ち上げ、複数のRPA製品の説明やデモを受けました。RPAはコードを書くよりは扱いやすい一方で、Excelの数式よりは難しいという印象でした。また、先進自治体で見られるような何千件、何万件もの大量処理を必要とする業務が、小規模自治体には必ずしも多くありません。
そこで掲げたのが、「一部の大きな業務で大幅な削減を目指す」のではなく、「細かな業務でも全職員が普段使いできればよい」という考え方です。

さらに令和6年度には、研修やシナリオ作成の支援が充実している事業者を選定し、RPAとAI-OCRの導入を実施。職員用端末からいつでも使える環境を整え、日常業務の中で活用しやすい仕組みを目指しました。

RPAの全庁導入と活用への取り組み
活用の取り組みとしては、業務ヒアリングの際に「RPAって何?」とならないよう、存在と基本的な仕組みを知ってもらうために全職員向けの概要研修を実施しました。続いて、希望者30人を対象に操作研修も行いました。
その後、37業務のヒアリングを実施し、令和6年度には4業務、令和7年度には8業務でRPA・AI-OCRの活用事例をつくりました。令和7年度からは、新入職員への概要研修に加え、3年目職員には操作研修を必須化しています。

具体的な活用事例
RPAの活用例の一つが、財務会計システムの支払処理です。これは職員が作成したもので、Excelにあらかじめ入力した項目を、RPAがシステムへ転記するという仕組みです。削減時間を定量的には出せていませんが、「楽になった」と声をかけてもらえるようになりました。

AI-OCRでは、予防接種予診票のデータ化に活用しています。驚くことに、年間約700時間の削減効果があり、3人体制で対応していた業務を1.5人分の工数で進められるようになりました。

もちろん、すべての業務をRPA化できるわけではありません。システムとの相性やハード性能、RPAの機能、業務フローによっては、シナリオ作成を断念する場合もあります。それでも、導入前には「現場が混乱しないか」と懸念する声があった中で、今では廊下ですれ違う職員から「この業務、RPAでできるかな」と相談されるようになったのは大きな変化です。自分でシナリオを作成したり、簡単な修正をしたりする職員も出てきています。
小規模自治体では、大量処理の業務は少ないかもしれませんが、全職員が1日15分でも楽になれば、全庁で見れば大きな改善になるはずです。RPAに限らず、「このツールを使えば、もっと楽に働きやすくなるのではないか」と考える文化を育てることが、DXの土台になると考えています。
【参加者とのQ&A】(※一部抜粋)
Q:水道課ではどのような内容で導入しましたか?
A:水道課では、メーター交換のシステム登録処理や、水道の開閉栓の申請処理をRPAでシステム登録していくという内容で導入しました。
【オムロン株式会社】原課で活用が進むRPA~pengu~
第2部に登壇したのは、オムロン株式会社の今江友和さん。「世界一簡単」をコンセプトに開発されたシンプルなUIが特徴のRPAツール「pengu」について解説していただきました。

【講師】
今江 友和 さん
オムロン株式会社
データソリューション事業本部 データ活用ソリューション事業部
事業部長
2001年 オムロン株式会社入社 社会システム事業に従事
2020年 ”現場DX”で社会をよりよくすることを目指し、penguサービス事業を社内スタートアップとして起業
2022年 penguサービスの販売を開始
2023年 penguサービスの自治体への導入を開始
2025年 penguサービスが、資料請求ランキングで2冠を達成
-penguの受賞歴-
【ITトレンド】RPAツールランキング1位(2025年 年間)【BOXIL】RPAツールランキング1位(2025年 下期)
「世界一簡単」を目指したRPAツール「pengu」
RPA導入について、自治体からはよく「何から検討すればよいかわからない」「ツールを導入しても、職員が使いこなせるか不安」といった声が聞こえます。「pengu」は「世界一簡単」を目指したRPAツールに、育成プログラムとサポートをセットにした業務改善サービスです。

RPAは、生成AIと同じように業務を支援する技術ですが、得意な領域は異なります。生成AIは、文書の要約や作成、検索、アイデア出しなどに向いています。一方、RPAは、決められた手順を正確に繰り返す定型作業が得意。システムへの入力、データ転記、CSVの集計、帳票の出力といった業務は、RPAが力を発揮しやすい領域です。つまり、業務ごとに特性を見極め、適した技術を使い分けることが重要です。
RPAで業務改善をするには?
具体的に業務改善を進める際には、まず「この業務はなくせないか」「ほかの業務と統合できないか」「別の仕組みに置き換えられないか」「簡素化できないか」を考えることが重要です。その上で、残った定型業務をRPAで自動化するという流れが基本になります。ただし、最初から全庁規模のBPRに取り組もうとすると対象範囲が広くなり、時間も労力もかかります。専門的な知見も必要になるため、成果が出る前に取り組みが止まってしまうことも考えられるでしょう。

そこで私は「まずRPAで自動化できる業務を探す」アプローチも有効だと考えています。例えば、直近1週間でパソコン上で行った定型作業を洗い出し、業務の内容と所要時間を書き出してみます。その中から、繰り返しが多い作業、判断基準が明確な作業、一定の時間を要する作業を探します。「毎回同じ操作が面倒」「定時後に必ず発生する」「入力ミスが不安」と感じる仕事は、特に見直しやすい業務です。紙の帳票でも、AI-OCRでデータ化できれば、RPAと組み合わせて処理できる可能性があります。
RPAで自動化できるかどうかは、弊社の業務診断を通じて確認できます。小さな業務でも、実際に自動化して「楽になった」という実感を得られれば、職員の業務改善に対する意識は変わるはずです。
自治体特有の事情を踏まえて運用する
自治体でRPAを定着させるには、自治体特有の事情も踏まえる必要があります。たとえば、自治体は一般企業と比べて異動が多いため、一部の職員だけが扱える状態では、運用が続きません。また、年度ごとの予算という制約もあり、思い立った時にすぐ大きな取組を始めることが難しい場合があります。さらに、通常業務に加えて突発的な対応も発生しやすく、職員が研修や開発に十分な時間を割けないこともあります。

だからこそ、導入する原課を絞り、初年度から複数人が扱える状態をつくることが重要です。難易度の高い業務から始めるのではなく、まずは小さく、成功しやすい業務を選びましょう。
また、自治体ならではのメリットとして「他自治体と成果共有できる」という点があげられます。「pengu」には共同調達の枠組みもあるため、例えば作成したロボットや削減できた時間を共有し合える仕組みも用意しています。
運用における課題を解決!
受理した申請のシステム入力、年末調整関連の印刷、法人住民税の課税業務、保険料の決定処理など、「pengu」でできることは多岐にわたります。
そんな便利なRPAですが、運用においては「専門知識が必要」「担当者の育成が困難」「ROI(投資対効果)が出にくい」という3つの課題があると考えられます。

「pengu」は低価格なライセンス(一般的なRPAの約5分の1)と、現場の方が簡単に使えるインターフェースで解決します。

また、専任SEによる業務診断やマンツーマンでの育成、問い合わせ対応などを通じて、職員の皆様が自分の業務に合わせてRPAを活用できるようなサポートも充実しています。
まずはスモールに始めて、ぜひ業務改善に踏み出してみてください。
【Polimill株式会社】次のQommonsAIはもっとすごい。年内新機能8つを一挙公開!
第3部に登壇したのは、ICTスタートアップ企業・Polimillの谷口野乃花さん。行政向け生成AI「QommonsAI」の最新ユースケースや導入事例をもとに、実際の活用イメージを解説していただきました。

【講師】
谷口 野乃花 さん
Polimill株式会社
代表取締役COO
高校在学中に起業を経験し、SaaS系ITベンチャーで営業部850名のメンターを担当。現在はPolimillにて、CS・営業・事業提携・オペレーションを推進し、QommonsAIプロダクト全般を統括。
「QommonsAI」とは?
QommonsAIは、行政業務に特化して開発した生成AIです。現在では全国約800自治体、約30万人の自治体職員の皆様にご利用いただいています。全自治体・全省庁の行政文書をナレッジとして活用できるよう整備を進めており、LGWAN環境でも、利用上限なく無料で提供しています。

支持をいただいている理由は大きく3つあります。まず、あらかじめ膨大な行政文書がナレッジとして入っているため、導入直後から自分たちの自治体の議会議事録やホームページ上の行政文書がお使いいただける点、次に、自分の自治体だけでなく他の自治体も含めて、選んだ専門AIとすぐに会話ができるというユーザー体験を提供しているという点。そして、これらの高性能な生成AIを、LGWANでの提供や現地での導入研修等も含めて、無料で提供しているという点です。
QommonsAIは様々な専門AIの集合体となっております。議会対策をしたいから「議会対応AI」を使う、法律について相談したいから「行政文書AI」を使うというように、業務に合わせて切り替えてお使いいただけます。

数十年分の議事録を数秒で調べる「議会対応AI」
例えば「議会対応AI」には、全国で公開されている議会議事録を取り込んでいます。学校給食費に関する質問が過去にあったかを調べたい場合、対象とする自治体を選んで質問することで、長年分の議事録から関連する内容が3秒で検索できるといった仕組みです。
回答精度が非常に高いという声を多くいただいておりますが、これは弊社がデジタル庁の案件でも培っている、日本語を正確にAIで出力させるための独自技術「ローチャンカー」を適用させているためです。また、出典元のリンクをクリックすれば、すぐにその自治体のページに飛んで事実確認が行える仕様となっています。
省庁や全国の自治体情報を施策検討に活かせる「公共サービスサポートAI」
「公共サービスサポートAI」では、自治体の情報に加え、総務省やデジタル庁、厚生労働省などが公開する通知、通達、ガイドラインなども扱っています。
たとえば、子育て支援に関する住民相談を受けた際、自身の担当外であっても、関連制度や自治体の取り組みを調べることができます。全国の自治体を横断して事例を探し、施策検討の参考にすることも可能です。
AIアプリを届けるためのプラットフォームへ
QommonsAIを無料で提供しているのは、行政で日常的に使われるAI基盤をつくりたいと考えているからです。2040年に向けて、行政現場では人手不足がさらに深刻になることが想定されます。だからこそ、今のうちからAIを使う環境を整え、行政の仕事を支えるインフラとして育てていく必要があるというのが、私たちの考え方です。
そして、そのインフラの上に巨大なエコシステムを作成し、今後はマネタイズを図りたいと考えています。具体的には、2026年にQommonsAI上で「Qommons ONE」というAIアプリストアを開始する予定です。補助金対応、空き家対策、災害予測、道路や橋梁の維持管理など、特定分野の課題に対応するAIを、パートナー企業とともに展開していきたいと考えています。

また、会話だけでアプリをつくる「Qommons Qraft」や、職員のスキルを可視化する「Quester」なども準備しています。

気になる機能があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。
【尼崎市】幹部と原課を動かす生成AI活用改革!
最後に登壇したのは尼崎市のデジタル推進課でICT専門員を務める山本和歩さん。生成AIを全庁活用するために行った取り組みを、ステップごとに詳しく伺いました。

【講師】
山本 和歩 さん
尼崎市 デジタル推進課 ICT専門員(係長)
2020年よりIT業界に従事。2023年からはコンサル業界へ転じ、2025年より尼崎市デジタル推進課にて業務に携わる。
生成AI利用が進まない原因は?
尼崎市では令和7年4月、生成AIを全庁導入しました。しかし、同年10月に利用状況を調べたところ、半数以上の職員が使っていないことがわかりました。背景には「使い方がわからない」「セキュリティが不安」といった声があり、アカウントを配るだけでは利用が定着しないことを実感しました。
そこで、生成AIの利用が進まない背景を整理しました。大きくは、組織としての目標やロードマップがない「機運不足」、使い方やリスクへの理解が追い付かない「育成不足」、業務プロセスにAIを組み込めていない「改革不足」があると分析しています。

この3つの課題に対し、尼崎市で実施したアクションを説明します。
AIアクションプランの策定×連携協定
まず、今年度4月に「あまがさきAI利活用アクションプラン」を策定しました。

単なるデジタル化ではなく、業務や組織の変革を意味するトランスフォーメーションを重視したこと、定量的なKPIを設定したことがポイントです。

生成AIの利用状況は、局・部・課ごとにダッシュボード化し、原課のマネジメントやDX部門の戦略立案に活用する構想です。

また、幹部層への説明では資料を読んでもらうだけでなく、デモを必ず組み合わせました。細かく仕組みを説明するより実際に触れることで、関心を持ってもらえた手応えがあります。
役職別の実践型研修×ガイドライン策定
次に、生成AIをWordやExcelのように日常的に扱える状態にすることを目指し、局長級から会計年度任用職員まで、役職に合わせた内容で研修を実施しました。内容は内製し、講義だけでなく、マインドセットとハンズオンを重視しています。
また、研修の前には、スキルアセスメントを受けてもらうよう設定しました。選択問題によるリテラシー確認に加え、プロンプトや生成結果を提出する実践力の確認も行うことで、実際の業務で必要になる力を確認します。これは、研修を受けること自体をゴールにしないためです。自分の現在地を知り、業務で試し、困った時には相談し、次の学びにつなげる。このサイクルをつくることを重視しています。

ガイドラインも、Wordで2枚半程度にまとめることを意識しました。禁止事項を並べるだけではなく、正確性が求められる場面でどう指示するか、どのように事実確認するかなど、具体的な行動を示したのもポイントです。
さらに、企画立案やブレインストーミングなど約20のユースケースとプロンプト例を用意し、役職ごとに重み付けしてハンズオンに取り入れています。

全庁AXプロジェクト×局担当の設置
現在は、AIを壁打ちに使って効率的に現状分析を進め、改善検討に踏み出しているような状況です。

体制面では、従来のように「AI担当」「RPA担当」といったソリューション別の担当だけで進めるのではなく、デジタル推進課の職員が各局の担当を持つ「局担当」を設置する仕組みに変えました。

デジタル推進課のメンバーが各局の身近なコンサルタントとなり、対面や個別連絡による“近距離戦術”で、現場の課題(ニーズ)と解決策(シーズ)をマッチングさせる——。この体制により、改革が非常にスピーディーに進んでいるという実感があります。
今後は、これらの取組によって本当に利用が広がり、行動変容や業務改革につながったのかを、データで観測・分析していきたいと考えています。


















