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【セミナーレポート】「質の防災」にどう応えるか 〜災害関連死を防ぐ避難所運営と受援体制〜 【DAY1】

「もし今、大規模災害が起きたら——避難所は開けられるか、水は確保できるか、応援職員を受け入れられるか」。そんな問いを突きつけられたとき、自信を持って「できる」と答えられる自治体はどれほどあるでしょうか。備えの「量」から備えの「質」へ。災害関連死を防ぐための避難所運営と受援体制のあり方を問い直す本セミナーでは、国の指針から自治体の実践、IoT技術の活用まで、すぐに動けるヒントを幅広くお届けしました。
概要
■テーマ:「質の防災」にどう応えるか 〜災害関連死を防ぐ避難所運営と受援体制〜【DAY1】
■実施日:令和8年5月27日(水)
■参加費:無料
■申込者数:178人
「発災72時間の“その後”をどう乗り切るか」〜救助対応から受援体制へ〜

【講師】
大月 浩靖 氏
三重県いなべ市
総務部 防災課 課長補佐
平成19年より防災の担当をし、これまで東日本大震災、熊本地震、九州北部豪雨、西日本豪雨など様々な被災地支援に従事。平時から積極的に地域に入り地域防災に取り組み、市民の防災意識の向上に努める。プライベートでは内閣府のチーム防災ジャパンのお世話係としても関わり、災害の被害軽減をするために、国民運動の展開を行うとともに、国民の防災意識の向上を行っている。
第1部に登壇したのは、三重県いなべ市防災課の大月氏。発災後72時間を救助対応に集中させながら、並行して避難所の受援体制をいかに素早く組み立てるか、能登半島地震での対口支援の実態をもとに、時間軸ごとの具体的な準備手順と、オペレーションとプランニングを車の両輪として動かす考え方についてお話しいただきました。
避難所が担う役割は、フェーズごとに変わる

避難所の対応には、時間軸という視点が欠かせません。発災直後の初動期は、いわゆる「72時間」が救助を中心とした対応に充てられます。能登半島地震でも多くの死者や行方不明者が建物の下に閉じ込められましたが、その一方で、助かった命をどう守るかという視点もまた、災害対策本部が同時に考えていかなければならない課題です。
発災直後の避難所は、「避難所」というよりも「避難場所」に近い役割を担います。まずは二次災害から身を守ることが優先ですから、建物の安全確認、施設の解錠とレイアウト設定、簡易トイレ・水・食料の確保、名簿作成と受付の開始、そして福祉スペースの確保が最初の仕事になります。高齢者や障がい者の方は、避難所に最初に到着するとは限りません。だからこそ、後から来られる要配慮者のためのスペースをあらかじめ確保しておく仕組みづくりが重要です。
この初動期に避難所支援を担うのは、参集順で到着した職員と避難者の自主運営です。ただし、ここで注意が必要なのは、避難所担当として事前に配置されていた職員が必ずしも来られるとは限らないという現実です。防災以外の担当の職員が先に到着することも十分ありえますし、もともと避難所配置の予定だった福祉職員が来られないケースも想定しておかなければなりません。そうした状況を見越した受援体制を、あらかじめ設計しておくことが必要です。
発災から3日〜1週間の時期は、物資や支援スタッフが徐々に到着し、避難所内の生活分担が整い始める段階です。炊き出しや配給の時間・場所を決定し、清掃時間・就寝時間などの生活リズムをルール化していきます。また、衛生・健康管理や巡回医療が始まり、避難所運営委員会を立ち上げて、避難者自身による運営体制に移行していく時期でもあります。自治組織が機能できるかどうかは、その後の避難所の質を大きく左右します。
1週間以降は、インフラの復旧状況に応じて在宅に戻れる人と長期避難者が分かれていきます。ここで特に見落とされがちなのが避難所の電力対応です。長期化すると冷蔵庫や洗濯機といった電化製品の設置が必要になりますが、避難所の現行契約電力では対応しきれないケースがあります。電力の工事についても早めに手を打っておくことが大切です。
応援が来るまでの時間を、どう見積もるか

では、支援の要の一つである応援職員の受援体制は、どのように組み立てるべきでしょうか。能登半島地震の対口支援を振り返ると、総括支援チームが到着して初めて対口支援チームの要請につながるため、最短でも3〜4日かかることが確認されています。だからこそ「いかに早く要請するか」がポイントです。応援職員の到着には時間がかかるという事実を事前に頭に入れた上で、早め早めに動くことが求められます。
被災自治体が最初にやるべき情報整理として、まず48時間以内に「避難者のおおよその把握」と「避難所の配置職員数の把握」を行うことを勧めます。何人の応援職員が必要か、要配慮者の状況はどうか、福祉避難所や医療施設への移送が必要な人はいるか。これらを概算でも把握しておくことが、応援要請の精度を高めます。なお、1つの避難所を最低限運営するのに必要な人数は、規模や自主運営の程度によって異なりますが、目安としてミニマム14人程度(運営リーダー、サブリーダー、受付、物資、食事配膳、衛生・設備、避難者対応の各担当)が必要です。

受援体制は、電話の前から準備が始まっている

72時間以内には応援要請を確定させ、100時間以内には対口支援団体リエゾンの執務室を確保します。リエゾン室は必ずしも災害対策本部に近くなくて構いません。リエゾン側が使う資機材はリエゾン自身で持参してもらうことも重要なポイントです。124時間以内には避難所ごとの情報資料を整備し、各避難所のキーパーソンや基本ルール、給油場所なども押さえておきます。そして148時間以内には、複数の対口支援団体が入る場合に「避難所支援調整団体」を決定し、それぞれの動きを統括する体制を整えます。
まとめると、災害対応は「オペレーション」だけでなく「プランニング」も車の両輪です。電話対応や情報整理に追われる中でも、受援体制の構築を並行して進める意識が欠かせません。また、避難者名簿は発災後3〜5日以内に整理しておくことで、物資配布の根拠にも、災害救助法の精算根拠にもなります。避難所は自主運営を基本とし、住民や多様なNPO・対口支援団体と連携しながら、総合戦略として対応することが、結果として被災者の生活の質を守ることにつながります。
【実務に活かせる示唆】受援体制の準備は、被災後ではなく平時から整えるものです。「誰が来るかわからない」状況を前提に、参集した職員が誰でも動ける手順書の整備と、避難所ごとのキーパーソン情報の蓄積が、発災直後の混乱を和らげる最大の備えになります。
被災事例に学ぶ、「質の防災」を支える情報収集

【講師】
岩瀬 貴義 氏
ポケットサイン株式会社
公共事業チーム マネージャー
広告営業、エンタープライズ向けSaaS営業を経て、2024年12月ポケットサイン入社。現在は公共事業チームのマネージャーとして提案活動とカスタマーサクセスを推進
第2部に登壇したのは、ポケットサイン株式会社公共事業チームマネージャーの岩瀬貴義氏。熊本地震・東日本大震災を経験した自治体が直面した「避難所外避難者の把握困難」「情報収集の遅れ」という共通の課題を起点に、避難生活の質を守るために必要な情報収集の設計と、有事に機能するために平時から住民に使われ続けるフェーズフリーな防災アプリの仕組みについてお話しいただきました。
避難所の外にいる人たちを、どう把握するか

避難生活の質を決めるのは、情報収集の質です。過去に大震災を経験した自治体の多くが「避難所で今何に困っているのか、何を送ればいいのか、その判断ができなかった」と口をそろえます。「誰が、どこで、何に困っているか」が把握できなければ、どれだけ支援物資を準備していても必要なところへ届けることができません。
災害関連死は、地震や津波による直接死ではなく、避難生活そのものや身体的負担が原因で生じる死亡です。熊本地震では、災害関連死の数が直接死の約4.5倍に上りました。生活環境の急変が、持病の悪化や健康被害を招き、命を縮める。この悲劇を防ぐためには、避難生活の質を少しでも高めることが必要であり、その鍵となるのが避難者の情報収集です。
熊本市・宮城県 の現場が教えてくれたこと

熊本市が熊本地震で直面した課題は大きく2つありました。1つは「避難所外避難者の把握困難」です。車中泊や在宅避難をしている住民は、避難所には来ません。しかし彼らもまた被災者であり、物資や支援が届くべき対象です。その実態が把握できず、物資配布の計画が立てられないという問題が生じました。もう1つは「共助体制の格差」です。地域組織の協力が得られた避難所は運営が安定した一方で、約半数の住民が避難所運営に関わっておらず、共助の機能に大きなばらつきがありました。
これらの課題に対してポケットサインが支援しているのは、スマートフォンのアプリを通じて「在宅避難中」「車中泊中」といった避難状況を自治体に送信できる仕組みの整備です。これにより避難所外の住民の状況もリアルタイムで把握できるようになります。また、地域活動への参加促進やボランティア活動の支援を通じて、平時から共助の意識を高めておくことが、有事の共助体制の底上げにつながります。実際に平時におけるボランティアミニアプリの利用者が4か月で1万人を超え、地域活動の登録件数は300件超に達した事例もあります。

東日本大震災を経験した宮城県では、紙とホワイトボードによるアナログ管理の限界が明らかになりました。避難所受付の混乱、避難者情報の不正確さ、支援物資のニーズ把握の遅れという3つの課題が重なり、必要な支援を必要な場所に届けることが難しかったといいます。
この経験を踏まえ、宮城県は村井知事の主導のもとでポケットサイン社と共に防災アプリの開発に取り組みました。2022年の実証実験、2023年の連携協定締結を経て、2024年には県内全域への導入が決定し、現在は県民の50%以上がユーザー登録している状態です。具体的な機能としては、マイナンバーカードや二次元コードを使った避難所受付のデジタル化(100人が約2分で完了した実証結果あり)、避難所ごとの人数・属性・健康状態・要配慮者情報のリアルタイム共有、そして避難所や年齢・性別を指定したアンケート配信による物資ニーズの把握などがあります。
使われないアプリは、有事には動かない

防災アプリが有事に機能するためには、平時から住民に使われている必要があります。防災目的だけを前面に出すと、関心の高い人にしか届きません。地域ポイント、お知らせ、健康ウォーク、子育て支援といった日常生活に役立つ機能を組み合わせることで、防災意識の高低にかかわらず住民が使い続ける仕組みをつくることが、真の「使えるシステム」への道です。
【実務に活かせる示唆】防災情報システムの導入だけでは不十分です。「平時に使われ、有事に動く」設計にするためには、フェーズフリーの視点で住民接点を日常的に確保しておく必要があります。また、避難所外避難者の把握は情報収集の盲点になりやすく、この設計を意識的に組み込んでおくことが、避難生活の質の向上につながります。
災害関連死を防ぐ避難所のあり方〜自治体の負担を減らすSUM基準のTKB48とは〜

【講師】
水谷 嘉浩 氏
市民保護研究所 所長
避難所・避難生活学会 代表理事
1993年に同志社大学文学部を卒業後、長年にわたり実務や研究に携わり、2022年には京都工芸繊維大学大学院博士後期課程を修了。博士(工学)の学位を取得。
第3部に登壇したのは、市民保護研究所所長・避難所・避難生活学会代表理事の水谷嘉浩氏。1,741通りの市町村防災が招く構造的な限界を指摘しながら、災害関連死をゼロに近づけるための概念「TKB48」と、イタリアの制度設計をモデルにした広域相互支援の枠組み「SUM基準TKBユニット」の全国展開の必要性についてお話しいただきました。
1,741通りの避難所が抱える、共通の限界

日本の避難所運営の根本的な問題はどこにあるのでしょうか。水谷氏はその答えを「市町村防災の構造的限界」に求めます。日本には1,741の市町村があり、それぞれが独自の方法で避難所を運営しています。支援物資はバラバラ、運用方法もバラバラ。被災した市町村の職員が、自らも被災しながら避難者支援を担わなければならない構造が変わらない限り、関連死の問題は解消できないと言います。能登半島地震では、死者の約70%(729人中501人)が災害関連死でした。
プッシュ型支援についても、実態は厳しいと指摘します。国から都道府県、都道府県から市町村、市町村から各避難所へと物資が届く3層構造は、プッシュすればするほど市町村の負荷が高くなるという逆説を生みます。「後はよろしくね方式」ではなく「全部任せてね方式」、つまり支援する側が避難所運営まで一貫して担う仕組みへの転換が必要だということです。
TKBを48時間以内に——その根拠

では、どうすれば関連死を減らせるのか。水谷氏が掲げるキーワードが「TKB48」です。T(トイレ・シャワー)、K(キッチン・食堂)、B(ベッド・生活空間)の3要素を、発災から48時間以内に整える。これが避難生活を「日常に近づける」ための基本条件です。関連死は直接死ではなく「避難時生活死」として捉えるべきであり、環境要因・個人要因・心理要因が複合する健康リスクを下げることが根本的な対策になります。

イタリアが制度化した「全部任せてね方式」

この考え方のモデルはイタリアにあります。イタリアでは、TKBの要素(トイレ・シャワーコンテナ、キッチンカーと食堂、ベッド付きのテント)が全国に約300ユニット規模で配備されています。例えばアブルッツォ州の備蓄基地には、段差のないコンテナ設置型のトイレ・シャワーが100基あり、空調も完備されています。1ユニットで250人の避難者を収容でき、50人の訓練された支援者が同居して運営します。
食事面では、専門の調理師が温かい料理を提供します。被災者に食堂へ足を運んでもらい、集まって食事することでコミュニケーションが維持され、引きこもりも起きにくくなるという効果も報告されています。食事は1食あたり1,295円相当(7ユーロ)で、完成品の調達ではなく食材から調理します。日本の1食463円(1日1,390円)という水準と比べると、質の違いは明確です。
イタリアのシステムの最大の特徴は、「被災自治体が避難所を運営しない」という点です。近隣の州からユニット単位で支援チームが入り、被災自治体職員は毎日帰宅できると言います。これが「全部任せてね方式」の本質です。また、「コロンナ・モービレ(被災者の生活を支える支援の長い隊列)」という概念のもと、住民支援モジュールが6時間以内、温かい食事提供が12時間以内、すべての避難者の個別のニーズへの対応が48時間以内という明確な時間目標が制度化されています。
この考え方を日本に輸入しようとするのがSUM基準のTKB48です。SUMとは「Standardized(標準化)・Unit(ユニット化)・Mobile(機動化)」の略で、どこでも・誰が担っても・何回でも同じ水準の避難所を再現できることを目指す概念です。
問われているのは量ではなく、速度だ

1ユニットの概算コストは約5億円。全国に500ユニット整備すると仮定した場合の総額は2,500億円ですが、耐用年数20年で割ると年間125億円、訓練・維持管理費を含めても年間約250億円、国民1人あたりわずか約200円の負担で実現できるとしています。能登半島地震の対応コストが1兆円超、東日本大震災の復興予算が約35兆円だったことを考えると、予防コストは損失コストをはるかに下回ります。すでに横浜市が全国初のSUM基準TKBを令和8年度から本格運用する計画を進めています。

問題の本質は、支援の「量」ではなく「立ち上がりの速度」にあります。避難者のニーズは発災から48時間前後に最大値を迎えます。その時点で支援能力がほぼゼロに近い状態から逐次投入されていく現在の日本と、48時間以内に能力の最大値を持ってくるイタリアの差が、そのまま避難生活リスクの差になります。「何度でも同じ水準を再現できるか」という再現性の視点で避難所を設計し、自治体単独ではなく広域相互支援の仕組みの中で動かすことが、次の大災害への備えになります。
【実務に活かせる示唆】被災自治体が避難所を自力で運営するという前提を見直す時期に来ています。平時から広域ブロックでの連携訓練を積み重ね、TKBの要素を「誰が担っても再現できるユニット」として整備しておくことが、関連死をゼロに近づけるための構造的な対策です。
長期間の避難生活を支える災害用「トイレトレーラー」

【講師】
長谷川 勝正 氏
JPホームサプライ株式会社
営業本部 グループマネージャー
第4部に登壇したのは、JPホームサプライ株式会社の長谷川氏・村上氏。トイレ環境の悪化が飲食の抑制・免疫低下・感染症拡大を経て災害関連死につながるという悪循環を断ち切る手段として、エンジン不要・耐浸水・独立個室構造を特徴とするトイレトレーラーの設計思想と、全国48自治体が形成する相互支援ネットワーク「スマイルトイレプロジェクト」の取り組みについてお話しいただきました。
トイレが汚いと、人は食べることも我慢する

近年、TKB(トイレ・キッチン・ベッド)の整備が避難所環境改善の重要課題として位置づけられています。中でもトイレ環境の改善は優先度の高い案件であり、交付金取得の条件の一つにも挙がっています。JPホームサプライは、そのニーズに応える災害用トイレトレーラーの全国配備を推進しています。
このトイレトレーラーは、2011年の東日本大震災後に災害用として設計・製造されたもので、初号機は2016年の熊本地震に支援に向かいました。以来改良を重ね、現時点で全国48自治体(2026年5月時点)への導入が実現しています。2024年の能登半島地震では25台以上が被災地へ派遣され、9月の豪雨後も自走式トイレカーが浸水で使えなくなる中、トイレトレーラーは清掃後にそのまま使用を続けました。最も長い支援期間は約2年間に及んでいます。
なぜトイレ問題がこれほど深刻なのでしょうか。東日本大震災のデータによれば、発災から3日以内に仮設トイレが行き渡った自治体はわずか34%で、最も対応が遅れた自治体では65日間も届きませんでした。汚いトイレは、避難者の排泄を我慢させ、飲食を控えさせます。飲まない・食べないが続けば体力・免疫力が低下し、衛生環境の悪化から感染症が拡大し、最終的には健康障害や災害関連死につながります。このトイレを起点とした悪循環を断ち切ることが、トイレトレーラー開発の根本的なコンセプトです。
エンジンがない、だから長く使える

トイレトレーラーの構造は、漢字の「田」の字のように4室が完全に独立した個室として配置されています。各個室には洋式水洗便座・洗面台・換気窓・換気扇・LED照明が完備されており、インフラが遮断された環境下でも屋根に搭載されたソーラーパネルから電力を自己供給できます。車両重量は2,500kg、清水タンクは454リットル、汚物タンクは757リットルを搭載しています。汚物処理はバキューム車による汲み取りか、車体下部の排水溝からマンホールへの直接放流の2通りに対応しています。

トイレトレーラーが自走式のトイレカーやトイレトラックと根本的に異なる点は9つあります。エンジン・燃料がないため長期放置しても安全で、燃料盗難のリスクもなく、見回りの手間もかかりません。浸水してもエンジンへのダメージがないため、清掃後すぐに使用再開できます。四隅にジャッキを備えているため傾斜地でも水平に設置でき、各室が独立した扉を持つことで女性や子どもも安心して使用できます。設置後は牽引車とドライバーがそのまま帰還できるため、自走式のように伴走車や複数の要員が不要です。また、1台の牽引車で複数のトレーラーを移動できるため輸送効率も高く、最小回転半径が小さくUターンも容易です。動力系部品がないため耐用年数は約20年と長く、メンテナンス・ランニングコストが低い点も長期運用に向いています。
48自治体のつながりが、支援ネットワークになる


全国48自治体への導入実績は単なる販売数の話ではありません。JPホームサプライが推進する「スマイルトイレプロジェクト」のもと、これら48自治体は相互支援のネットワークを形成しています。どこかで大規模災害が発生した際には、JPホームサプライがネットワーク内の自治体へ迅速に声をかけ、被災地へ向けて派遣を行う仕組みです。能登半島地震では、導入済みのほぼ全自治体が自らトレーラーを牽引して被災地へ向かいました。JPホームサプライ自身も1台を牽引し、発災から1週間後の1月8日には現地入りを果たしています。
平時での活用も大きな価値があります。市民広場への常設、マラソン大会・花火大会などのイベント活用、海水浴場への配備など、用途は多様です。仮設トイレと比較して清潔・快適な状態を維持できるため、多くのイベント主催者に好評です。平時から使い続けることで機器の状態確認や運用経験も積め、いざ災害時にスムーズに動かせる体制が整います。
【実務に活かせる示唆】トイレトレーラーは単独の物品調達ではなく、全国のネットワークに参加するという意味合いを持ちます。牽引免許についても業務委託先の相談に応じているため、免許がないことを導入の障壁にする必要はありません。平時の活用計画とセットで検討することで費用対効果の説明もしやすくなります。
















