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問い合わせを減らし、住民の自己解決を促す自治体ホームページとは

自治体の公式ホームページは、住民に情報を伝達する重要な手段の一つ。しかし発信すべき情報は多く、ジャンルも多岐にわたるため、“使いづらい”と感じる住民も少なくないようだ。そして“情報が見つからない”、“内容を理解できない”といったつまずきが、問い合わせや窓口への来庁、苦情につながり、職員の負担が増える。
本記事では、自治体ホームページを“疑問が解消できる場”として捉え、住民が利用する際の快適性を高めつつ、職員の業務負担も軽減する考え方を紹介。正確な情報を適切に届ける仕組みづくりのヒントを探る。
※記事の掲載情報は公開日時点のものです。
[PR]株式会社インターネットイニシアティブ

(左)
株式会社インターネットイニシアティブ
インテグレーション事業本部
クラウドインテグレーション本部
デジタルインテグレーション部
藤原 真之介(ふじわら しんのすけ)さん
(右)
プロフェッショナルサービス本部
コンサルティング部
濱名 元実(はまな もとみ)さん
住民視点|“分からない”は職員の負担にもつながる
自治体のホームページには、暮らし、福祉、子育て、税、防災、観光など、膨大な情報が掲載されている。幅広い情報が掲載されていて便利に見える。しかし、制度を説明するページが複数あってどれを見ればよいか分からない、更新日や担当部署が分からない、難しい行政用語で説明されているという状態であれば、自分に当てはまる情報を選びづらくなる。その結果、電話で問い合わせたり、窓口に直接行ったりすることになればホームページの存在意義が薄れてしまう、と「インターネットイニシアティブ」の藤原さんは指摘する。「自治体が手掛ける業務の範囲は広く、住民への説明責任もあります。そうした事情はとても理解できます。ただ、結果として情報が積み上がってしまい、しかも削除されることが少ないためホームページの肥大化が止まらないのです」。
住民にとっては一度の確認でも、職員にとっては同じ内容を繰り返し説明することになり負担が増す。さらに、こうした不便さに、つくり手である職員は気づきにくいことも多いと付け加える。「業務に関わる画面は確認しても、全体を操作することは少ないのではないでしょうか。いったん視点を変え、住民の立場でトップページから入ってみると気づきがあるかもしれません。それでもピンとこなかったら、他自治体のホームページを見るのもいいと思います」。
パソコンやスマートフォンで実際に操作してみると、どこを見ればいいのか分からない、途中で別のページに移される、最後まで読んでも必要書類が分からないといった使い勝手の問題に改めて気づくことも多いのだという。「誰にでも使えるものを……と意識すればするほど、誰にとっても使いづらいものになってしまう。これは自治体に限らず、あらゆる分野で陥りがちな現象です。まずは自身がユーザーになってみましょう」。
ではなぜ、このような“使いづらさ”がいつまでも残ってしまうのか。そこには自治体ならではの課題があるのだという。
自治体視点|担当者だけが頑張る運用になっていないか
自治体の内部からホームページ運営を見てみると、部署ごとに複数のサイトやページが立ち上がっているという状況がある。加えて、CMS(※)の操作が得意な職員などに管理・運営が偏ると、他職員がサイトの状況や更新方法を把握しにくくなり、属人化が進みやすい。担当者が異動した際に十分な引き継ぎができなければ、そのまま手を付けづらい状態になることもある。 「よくあるケースが“空き家情報”の専用サイトです。別サイトとして設置され、公式ホームページにリンクが張られているのですが、数年間メンテナンスされていない……というケースが散見されます」と濱名さん。
※CMS=Content Management System(WEBコンテンツを構成する画像やテキストを一元的に保存・管理するシステム)

対策としては、ページごとに管理部署、公開日、見直し日、終了条件を定め、期限が来たら更新・公開終了・削除を判断できる仕組みにするのが望ましい。だが、削除の判断には勇気がいる。消してしまったことを誰かにとがめられる可能性があるならば、そのまま残しておいたほうが無難……という発想になりがちだからだ。藤原さんは「そうした心情は理解できます。ですが、そのコンテンツを見る人がどのくらいいるのか、残すことで後々のメンテナンスがどれくらい大変になるのか、といった点も考慮すべきでしょう」と話す。
特に、住民の財産や人生に関わる情報は、最新の内容を確認できる状態にしておくことが重要だとアドバイスする。
こうした判断基準を共有しておけば、担当者が一人で判断を抱え込まずに済む。見直しの時期や手順も明確にすることで、日々の管理と将来の引き継ぎをラクにできる。担当者の注意や努力に頼る運用から、組織で継続できる運用へ。その転換が、更新の滞りや属人化を防ぐために重要なのだ。
専門事業者視点|情報の伝え方と運用を見直す
組織で継続できる運用を整えるには、何を見直せばよいのか。ホームページの構築・運営を支援する同社には、サイトの肥大化やファイル管理、そしてCMSの選定などに関する相談が多く寄せられるという。CMSの選定について、濱名さんは“発想自体を変える”ことをオススメしている。「CMSを業務にフィットさせようとすると、何を選んでも不満が残ります。不満を解消しようとすればコストがかさむ。最低限の要件はあってもいいのですが、業務フローや使い方をCMSにフィットさせていくことも必要なのです」。
情報の伝え方にも課題があるという。例えば、行政用語が多くて伝わりづらいとか、図解できるものを文章で表現しているため分かりにくくなっている、といったケースだ。説明や注釈が過剰になるのもマイナスだと藤原さん。「リスクヘッジはある程度必要ですが、やり過ぎると本来伝えたいメッセージが何なのか分からなくなります。例えば、ある事業支援のホームページでは、住民のメリットよりもリスクを説明することに文字数を割いていました。これでは見た人も利用をためらってしまうでしょう」。
平時の使いやすさに加え、災害時にも情報を発信できる備えが必要だ。ホームページを管理するサーバーが地震や津波、水害などで破損してしまったら、被災者への情報発信が難しくなる恐れがある。「通信についても同様です。ケーブルの損傷や基地局の被災で通信が途絶したら、復旧までの数日間、情報発信ができない状態になります。過去の災害で経験したとおりです」。
このように、自治体ホームページに関する懸念点は多い。これらの課題に対し、同社では「IIJコンテンツマネージメントソリューション」というサービスで対応しているという。
検索やAIを通じて、正確な公式情報を届ける
同ソリューションは、省庁のホームページ運営を支援してきた同社のノウハウから生まれたサービス。ホームページに必要なインフラ基盤、コンテンツなどを個別に対策するのではなく、WEBサイト環境を全体として捉え、デザインを含めた設計から構築、セキュリティ対策、BCP対策、運用・保守までをワンストップで提供する。
例えば、設計については、ページの冒頭で“誰が・何を・いつまでに・どうすればよいか”を示し、その後に詳しい条件や例外を置く。見出しには住民が実際に検索する言葉を使い、1つのページでは1つの疑問に明確に答える……といったアドバイスをしているという。
また、同社が自治体や省庁への支援で、最近重視しているのが「正しいSEO(※1)・GEO(※2)の対策から始めましょう」ということだそう。
自治体サイトにおけるSEOでは、訪問者数だけでなく、住民が検索した際に正確な公式情報へ到達できることが重要だ。GEOも同様だという。「今のインターネットユーザーは、検索結果ではなく、AIの回答を参考にする機会が増えています。つまり、AIが拾っていない情報は住民に届きづらい。せっかく開設しているホームページの情報が利用されないのはもったいない。ならばAIに最適化した構造に変えたほうがいい、ということです」と濱名さんは語る。
※1 SEO=Search Engine Optimization(検索エンジンに情報が適切に認識され、検索結果から必要な情報にたどり着きやすくなるよう、WEBサイトの情報や構造を整える手法)
※2 GEO=Generative Engine Optimization(生成AIの回答に引用・参照されやすくなるよう、WEBサイトの情報や構造を整える手法)
このGEO対策については、“AIを優先して人間を無視することにならないか”という疑問の声も上がりそうだが、全く逆だと解説する。「AIが読みやすいようにホームページの情報や構造を整理することは、実は人間にとってもメリットがあります。情報の整理が進むと、高齢者や目の不自由な方を含め、多くの人が内容を理解しやすくなるのです」。ただし、AIが情報を取得しやすい構造と、人が見て使いやすいデザインは同じではない。利用者に配慮したデザインは、人の視点で考える必要があると補足する。
もう一つ意識しておきたいのが、情報の鮮度だ。AIが情報の新旧を正確に判断できるとは限らない。期限が切れた情報が回答に使われる可能性を減らすためにも、不要なページは削除する必要がある。これも、ホームページ内を整理するきっかけになるといえるだろう。

しかし、“本当に消して大丈夫なのだろうか”という迷いが生じるかもしれない。そこで、濱名さんは過去のWEBサイトを保存する仕組みの一つを紹介してくれた。「『国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)』では、省庁や自治体などのWEBサイトを定期的に収集・保存しています。一般公開しているため、過去の情報が閲覧できます。全てのページを保存しているわけではありませんが、削除に迷う場合は、この仕組みも参考にしてみてはどうでしょう」。
住民にも職員にも負担の少ないホームページへ
先に挙げた災害時の情報発信についても、同社は支援を用意している。「災害発生時の通信確保を支援する『IIJ公共安全モバイルサービス』を提供しています。また、ホームページ更新を代行するサービスも展開しているんですよ」と濱名さん。こうしたサービスを通じて、災害時の情報発信を支えているという。
通信手段の確保、基盤の冗長化、緊急情報の優先掲載、外部からの更新支援を平時から準備しておけば、いざというときに職員がゼロから調整する事態を避けやすくなる。決められた手順で動ける状態を整えることは、職員の負担と住民の不安を抑えるうえで重要だ。
ネットワーク、クラウド、セキュリティをカバーし、さらにコンテンツ制作や災害対策も提供する同社。重視するのは、日々の管理や問い合わせ対応の負担を減らすことだ。重複ページや更新期限を過ぎた情報を整理し、属人化を解消することで、ホームページが住民対応の一部を担う仕組みへの転換を目指す。更改計画が固まっていなくても、電話で繰り返し尋ねられる内容、更新が止まっているページ、引き継ぎで困ったことなど、身近な事実から改善の優先順位を整理できる。
ホームページで実現したいことはあるものの、“何を相談すればいいのか分からない”という職員に対して藤原さんは、「やりたいことさえ明確なら、何も分からない状態で構いません。課題の整理から伴走しますし、予算や既存環境に合わせて必要なものだけを柔軟に組み合わせた支援も可能です。気軽にお声がけください」とメッセージを送る。こうしたパートナーの存在は、自治体にとって心強いものとなりそうだ。
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