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「マンガ&図解 自治体秘書担当 仕事のトリセツ」公務員から公務員へ、現場を学べる一冊

学び
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「マンガ&図解 自治体秘書担当 仕事のトリセツ」公務員から公務員へ、現場を学べる一冊

公務員から公務員へ。現場のリアルを伝える一冊を、著者自身の言葉でひもとくセルフレビューコーナー。日々の業務の中で培われた知見や工夫を、書籍を通じてどう届けようとしたのか。その思いとともに紹介していきます。

首長のスケジュール調整や来客対応など、先読みや調整力が求められる自治体の秘書業務。一方で、そのノウハウは共有されにくく、配属されたばかりの職員が戸惑うことも多いのではないでしょうか。埼玉県北本市で秘書課長などを経験してきた福島 弘行さんは、そうした現場の実務を分かりやすく伝えてきた一人。マンガや図解に加え、4コママンガやドラマ仕立ての業務日誌を通じて、秘書業務の流れや判断のポイントを疑似体験できる構成となっています。

※記事の掲載情報は公開日時点のものです。

【著者プロフィール】

プロフィール画像

福島 弘行(ふくしま ひろゆき)さん

埼玉県北本市 政策推進部長。1973年生まれ。住宅メーカー勤務を経て1999年に北本市入庁。都市計画課、建築開発課、秘書課長、市長公室副参事、行政経営課長、政策推進課長等を経て現職。市の広報紙「広報 きたもと」の中で、「マンガで伝える公共施設シリーズ」 を執筆中。同マンガをまとめた企画「マンガで創るまちのミライ 北本市公共施設マネジメント広報企画の軌跡」が令和8年全国広報コンクールにおいて広報企画部門入選。

手探りの秘書課で培った実務経験を一冊に。

私が初めて課長職に就いたのが、秘書課長でした。それまでのキャリアとは全く異なる“秘書”という仕事。しかも、当時の秘書課は、私を含めてわずか3人。一番長い職員でも秘書経験はわずか9カ月という、まさに手探りの状態からのスタートでした。マニュアルもなければ、頼れる前例も少ない。市長の「これやりたい」と所管課の「それは難しい」とのやりとりで板挟みになることも多く、日々直面する課題に対し、3人で悩み、議論し、一つずつ“秘書としての形”を作っていく毎日でした。

本書は、当時の私たちが「あのとき、こんな本があれば救われたのに」と願った思いをもとにトリセツとして制作した一冊です。自ら描いたマンガも交えながら、スケジュール調整だけではない秘書業務の奥深さを伝えています。現場でその難しさを感じている職員にこそ、手に取っていただきたい内容です。

秘書あるあるで一緒に成長を。

全5章30項目からなる本書は、自治体秘書の業務を単なる事務としてではなく、首長を支え、組織を動かす戦略的な実務として捉え直し、以下の3つのポイントで構成しています。

【1】“さくら”の成長とともに秘書のマインドを疑似体験

本書は新人秘書・北本 さくらが着任し、市役所という縦割りや前例踏襲の壁にぶつかりながらも、ベテラン先輩の指導のもとで成長していく物語を軸にしています。各章の最後には業務日誌としてドラマ仕立てのエピソードを添え、“さくら”とともに、秘書に不可欠な先まわり・慌てない・嫌な顔をしないといった心構えや、市長とのあ・うんの呼吸を自然に学べるようにしています。

【2】 時間軸で整理された明日から使える実践的ノウハウ

日・週・月・年という時間軸で業務を整理したのも特徴のひとつです。

急な変更が当たり前の首長スケジュール調整や、公用車を動く市長室にする技術といった日常業務から、庁議の運営、記者会見の裏方、さらには予算査定時の空気感の読み方に至るまで、秘書担当が直面する多様な場面に対応しました。休み明けの市長への備えやトレンドを押さえた挨拶文づくりなど、経験者ならではの視点によるノウハウも掲載しています。

【3】ケーススタディと人間関係の調整術

第5章では、秘書業務の真髄である対人折衝にフォーカスしています。新人から部長級まで、市長が職員を呼ぶ際の意図をどうくみ取り、どう行動すべきか。また、外部からの突発的な来庁にどう対応するかなど、実例に近いケーススタディを通じて解説しています。市長と現場の架け橋となり、案件管理の腕を磨くことで、組織全体の風通しを良くするための具体的な手法をお伝えしています。

こだわった部分は、本書冒頭にある「市役所の秘書は毎日がドラマ」という一節のように、現場で実際に起きるトラブルや葛藤を4コママンガに凝縮したこと。そうそう、これこれと思えるネタ選び・セリフまわし・作画の一つひとつに、徹底して取り組みました。

また、視覚的な分かりやすさにもこだわり、秘書業務の流れや心構えを、一目で理解できるようポイントを絞った図解を作成。忙しい業務の合間でも、パッと開いて要点がつかめる構成にしています。

ほかにも、経験則や個人のスキルで語られがちな空気の読み方市長への寄り添い方を、分かりやすく言語化し、誰もが再現しやすいスキルとして整理しました。

明日からの一歩を支える、自治体秘書のためのトリセツ。

本書は、秘書課に配属された自治体職員が、最短距離で一人前の仕事ができるようにお手伝いをする本です。新人秘書だけでなく、秘書課の係長・課長はもちろん、企画課・総務課・職員課など首長に近い部署の職員や管理職にとっても、実務で活用できる内容です。

秘書の仕事は自治体ごとで大きく違ってくるかもしれません。しかし、相手を想い、一歩先を読むその積み重ねは、必ず組織を、そしてまちを動かす力になります。 この本が、日々現場で奮闘する皆さんにとって、明日からの業務に向き合う勇気やヒントにつながったとしたら、著者としてこれ以上の喜びはありません。