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本づくりの機会を提供して住民の読書意欲を喚起する。

読書推進を支援する製本体験プログラム
製本工程を体験できるプログラムを、書店や自治体向けに展開している「東京美術紙工協業組合」。子どもから大人まで本づくりを楽しめることに加え、準備に負担がかからないイベントとして、図書館などへの導入が進んでいる。
※下記はジチタイワークスVol.42(2026年2月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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東京美術紙工協業組合
業務推進部
鈴木 隆(すずき たかし)さん
“自分の手で本をつくる”体験を読書に関心をもつきっかけにしたい。
国が読書を推進する中、図書館運営などに力を入れる自治体は少なくない。書籍の印刷・製本を行う同組合は、幅広い世代を対象とした製本体験プログラムを提供し、読書推進に寄与しているという。「当組合の新人研修として始めた製本工場の見学に、取引先も参加するようになりました。そこで好評を得たことをきっかけに、見学と製本体験を組み合わせて、『一日製本職人(※)』というプログラムを提供することにしたのです」と鈴木さん。
同プログラムでは、入門から上級まで4つのコースを用意。年齢や目的に応じて段階的に学べる仕組みとし、全国に広げている。「入門コースは、3歳の子どもから高齢者まで、幅広い世代が対象です。初級コースは小学生以上を対象に、本の中身づくりから取り組める内容となっています。中級コースは中学生以上を対象に、より本格的な製作工程を学べます。上級コースは当組合の工場で実施し、参加者はプロの職人に近い環境で体験できます」。入門コースでは、製本キット「KURUMI(くるみ)」を使用し、本の中身を包む作業を体験。初級コース以上は本をつくる作業に加えて、工場の様子も見ることができるという。
令和5年から自治体への展開を本格化し、令和7年11月までに約30の図書館や区民施設が導入。なかなか知ることのできない製本作業を体験し、本に触れる機会をつくることで、読書推進につなげたいという。
※同プログラムは東京都中央会の委託事業



オンラインで実施することで全国の図書館への展開が可能に。
出版関係者や本に関心がある層だけでなく、様々な人が参加できる同プログラムは、対面形式、またはオンラインで開催できる。「オンラインの場合、まずは通信環境を整えた会場を準備してもらいます。そして事前に購入した製本キットを会場に集まった参加者へ配布。参加者はキットを使って受講します。対面で行う場合は、公共施設などに会場を用意するか、当組合の工場で実施します。上級コースであれば、書店に並ぶ本の製作工程を本格的に学ぶことができますよ」。本格的な講座を住民に気軽に受けてもらうことで、本に親しむきっかけをつくれることがポイントだという。
実際に東京都荒川区(あらかわく)では、図書館職員の研修として実施され、その後は本の修理を行う住民ボランティア向けにも開催。未経験者の技術向上に大きく貢献しているという。
「図書館だけでなく学校や高齢者福祉の分野でも活用可能です。学校では、図工や国語、総合の授業の教材として使えます。高齢者福祉の観点では、比較的簡単な手作業で取り組めるので、指や脳のトレーニング教材としても有効です」。
図書館イベントとしての新鮮さを全国の自治体に届けていく。
開催後のアンケートでは、参加者から“本をもっと大切にしたくなった”“楽しい思い出になった”などの声が多く寄せられている。図書館のイベントといえば読み聞かせや作家によるサイン会などが多い中、本をつくるという内容はとても珍しく、自治体にも好評だという。これまでに同プログラムを取り入れた自治体からは“図書館が行うイベントとして新鮮で面白い”“キラーコンテンツになっている”という声もあり、取り組みを継続する自治体もあるそうだ。
「当組合としては、今後オンライン開催を浸透させて、地方の自治体でも実施できるよう進めていく方針です。まずは本の仕組みを知る入口として、入門コースを積極的に広めたいですね。その先のステップとしては、図書館司書や絵本専門士などの専門領域の養成課程に同プログラムを導入してもらえるよう、内容やコースの充実化を図りたいと考えています」と鈴木さんは語った。





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