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【働き方】人事サミット2026~自治体の働き方改革を考える~

ジチタイワークス「公務員ライフを楽しむためのバラエティ増刊号」とは?
社会の難題に立ち向かう公務員の皆さんに、ちょっとした安らぎの時間を提供したい。そんな思いから、編集室では「公務員のためのバラエティ班」が密かに活動中!疲れたココロとアタマを休めながらも、公務員ライフを少し楽しく、豊かに感じられる……そんな多彩なコンテンツをお届けします。
※下記はジチタイワークス バラエティ増刊号(2026年1月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
働き方改革の手法は様々だ。どれを選び、何から進めればいいのか、迷っている人事担当者も多いだろう。今回は、改革を断行し成果を上げている自治体が集結!それぞれの取り組みについて、舞台裏も含めて語ってもらった。

大阪府寝屋川市
総務部 人事室
西村 直人(にしむら なおと)さん
寝屋川市の働き方改革
人口:約223,000人
職員数:約2,300人/非正規職員を含む
平成30年4月~
パソコン強制シャットダウン
令和元年10月~
完全フレックスタイム制(コアタイムなし)
令和2年4月~
窓口の受付時間を拡大
平日8:00~20:00、土曜8:00~13:00
※平日17:30~20:00および土曜は予約制

福岡県古賀市
総務部 人事秘書課
佐田 暁久(さた あきひさ)さん
古賀市の働き方改革
人口:約59,000人
職員数:約700人/非正規職員を含む
平成31年4月~
フリーアドレス
令和2年3月~
時差出勤(コアタイムあり)
令和2年4月~
テレワーク
令和7年1月~
窓口の受付時間を短縮
平日9:00~16:00

愛知県日進市
総合政策部 人事課
水野 高仁(みずの たかひと)さん
日進市の働き方改革
人口:約94,000人
職員数:約1,000人/非正規職員を含む
令和4年5月~
テレワーク
令和6年7月~
フレックスタイム制(コアタイムあり)
令和7年6月~
選択的週休3日制
令和7年7月~
窓口の受付時間を短縮
平日9:00~17:00
制度づくりは試行錯誤の繰り返し!
―― 最初は何から始めましたか?
西村:寝屋川市では、以前はノー残業デーの設定や、平成30年には定時にパソコンをシャットダウンするシステムを導入するなど、強制的に残業できない状態をつくっていました。しかし、職員から不満が出るし、残業の縮減効果も限定的。そこで職員の働き方を根本から変えようと、令和元年から全職員を対象に、コアタイムなしの完全フレックスタイム制を導入しました。
―― いきなりアクセル全開ですね。古賀市と日進市はどうでしたか?
佐田:古賀市でも、以前は17時に定時退庁を促進していました。しかし職員の意識変革にはつながらなかった。そんな中、上下水道課から「フリーアドレス化したい」という提案があり、市長の後押しもあって実現しました。これが働き方改革の起爆剤になり、その後はテレワークを導入して、時差出勤も全職員に展開。令和7年からは窓口の受付時間の短縮を開始しました。90分の短縮は九州の自治体で初の取り組みだったようです。
水野:日進市では、令和6年度にコアタイムありのフレックスタイム制を取り入れました。さらにその後、週休3日を選択できる制度を導入。試行実施として介護や育児などで制度を必要とする職員から始め、様子を見ながら対象を広げていきました。窓口の受付時間も、事前準備や残務処理での早出・残業を解消するため令和7年7月から45分短縮しています。
\ フレックスタイム制にも色々ある! /
ひと口にフレックスタイム制といっても、コアタイムの有無や勤務時間の確保範囲で違いがある。どの方法が合うかは、自治体のデジタル活用度や職員数などで異なるようだ。

デジタル活用が改革のカギに。
―― 職員はどんな反応でしたか?
西村:コアタイムなしだと「部署内で出勤者ゼロの状況が生まれるのでは」と懸念の声がありました。そのほかにも「出勤が分散して職員間コミュニケーションが減るのでは」という意見も。そのため、職員の勤務時間をシステムで可視化し、所属長が調整できるようにしました。また、コミュニケーションの不安には、ビジネスチャットを活用することに。勤務時間は当日の修正も可能です。人事からも「出勤時に雨が降っていて、ずぶぬれになって生産性が下がるくらいなら午前休にしていい」と全庁に通知しました。庁内は少しざわつきましたが(笑)。
水野:それは職員も驚くでしょう(笑)。でも人事がグイグイ推進する風土はいいですね。当市では週休3日制を徐々に浸透させようと考えたので、試行実施後の令和7年6月に、全職員を対象としました。「窓口業務などでは利用しづらい」という声もありましたが、「あくまでも業務に支障が出ない範囲での、ワーク・ライフ・バランスを充実させるための選択肢の一つである」ということを伝えています。
佐田:当市の窓口時間の短縮では、住民サービスの低下を懸念する声もありました。これについては、事前に来庁時間の傾向を調べて、令和5年からは市のLINEを活用した電子申請も導入していました。あとは「走りながら考えよう」というマインドです。もちろん、住民への通知は丁寧に行いました。「短縮で創出した時間は、新しい住民サービスを創造する時間に充てる」と伝えています。

\ 3自治体の職員の声 /
●定期通院が必要なときにフレックスタイム制を活用している。
●窓口受付時間の短縮で朝の時間に余裕が生まれ、業務の打ち合わせや準備が落ち着いてできるようになった。
●時間外勤務の上限45時間が無理なく守れるようになった。

\ 3自治体の職員の声 /
●定期通院が必要なときにフレックスタイム制を活用している。
●窓口受付時間の短縮で朝の時間に余裕が生まれ、業務の打ち合わせや準備が落ち着いてできるようになった。
●時間外勤務の上限45時間が無理なく守れるようになった。
住民の幸せと職員の幸せを求め、改革にゴールなし!
―― 運用開始後はどんな変化が?
佐田:時差出勤については「家族と過ごす時間が増えた」という声が多いです。残業は、窓口時間短縮の効果もあり、前年比14%削減という結果に。さらに採用面での効果も出ていて、社会人区分の募集では、志望動機に「働き方改革」を挙げる人が約3割いました。
水野:採用の面では効果を実感していますし、職員からの反応も上々です。「今までは業者対応などで夜に会議が入った場合、時間外勤務で対応していたが、フレックスで朝の時間をずらせるようになった」という声や、「子どもの行事に休暇を使わず出席することができた」とか。
西村:同じくです。全国の自治体で初の完全フレックスを導入すると発表した当時は、採用応募者が10月採用の試験に限れば、例年の10倍以上に増えました。職員アンケートでも「働きやすくなった」という声が多く、実際に全庁の残業時間は、令和元年度の約10万時間に対し、令和6年度は約7万時間に減っています。
\ 採用応募者数の変化 /
3自治体では、制度導入後に採用試験の応募者数にも変化が。「働き方」は応募者にとっても関心が高いようだ。

―― 最後に、働き方改革を進めている全国の担当者へメッセージを!
水野:全職員が納得した上での制度構築は簡単ではないと思いますが、実現した先には確かな手応えが待っています。職員のワーク・ライフ・バランス向上を目指して、まずはやりやすい部分から取り組んでいくといいのではないでしょうか。
西村:働き方改革は一朝一夕に成果が出るものではないし、ゴールもありません。だからこそ、少しでも早いスタートが大切。職員が生き生きと働くことができれば、それは住民サービスの向上につながります。苦労もありますが、一緒に頑張っていけたらと思っています。
佐田:確かに、働き方改革にゴールはありませんよね。だから常にブラッシュアップしていく必要がある。当市でも、トップダウンとボトムアップの両面で改革を進めています。こうした取り組みが波及していけば、公務員という職業の魅力も増して志望者も増え、全国の自治体がより元気になっていくのではないでしょうか。
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