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公開日:2025-12-22

地域通貨の失敗例から学ぶ|自治体施策を成功に導く5つのポイント

企画・政策
読了まで:9分
地域通貨の失敗例から学ぶ|自治体施策を成功に導く5つのポイント

地域通貨は、地域内での経済循環を促す施策として多くの自治体で導入されてきたが、期待した効果を得られず廃止や休止に至った「失敗例」も少なくない。 本記事では、こうした地域通貨の失敗事例に共通する原因を整理し、自治体が導入を検討する際に押さえておくべき実務上のポイントを解説する。

  ※掲載情報は公開日時点のものです。


目次

地域通貨とは何か?自治体施策としての位置づけ
地域通貨が失敗に至る5つの主な原因
【事例に学ぶ】地域通貨の失敗事例から分かる3つの教訓
地域通貨の失敗を乗り越え、成功につなげる5つのポイント
【FAQ】地域通貨の導入でよくある質問
まとめ

地域通貨とは何か?自治体施策としての位置づけ

出典:専修大学 泉留維研究室「2024 年版地域通貨稼働調査の結果について」

地域通貨とは、特定の地域内でのみ利用できる通貨やポイントの総称で、地域経済の循環や消費喚起を目的に自治体が導入してきた施策である。商店街支援や域内消費の促進などを狙い、全国で活用が進められてきた。

地域通貨は、国の緊急経済対策として実施された「地域振興券」を契機に注目され、平成11年から令和元年までに延べ約650の事例が誕生したとされる。一方、令和6年末時点で稼働している地域通貨は184にとどまり、多くが廃止・休止に至っている。

導入の目的や役割が不明確なまま運用を始めると、住民や事業者に定着せず、利用低迷や廃止・休止に至ることがある。そのため、導入前に狙いや位置づけを整理できているかどうかが、その後の成否を大きく左右する。

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地域通貨とは?自治体の成功事例から、仕組みやメリット・デメリットまで解説

地域通貨が失敗に至る5つの主な原因

地域通貨は、地域経済の活性化策として多くの期待を集めてきた一方で、十分な成果を上げられず廃止や休止に至った失敗例も少なくない。こうした結果を避けるためには、成功事例だけでなく、「なぜ失敗したのか」を正しく理解することが重要である。

ここでは、自治体が地域通貨を導入・運営する過程で陥りやすい5つの主な失敗原因を整理する。

1. 目的やビジョンが曖昧なまま導入されている

「地域活性化」といった抽象的な目的だけで地域通貨を導入すると、具体的な施策や活用シーンが定まらず、「誰のための通貨なのか」が不明確になりやすい。実際に、成果を上げている地域通貨では、「子育て支援」や「高齢者の社会参加促進」など、解決したい地域課題と通貨の役割が明確に結び付けられている。

目的やビジョンが曖昧なままでは、住民や加盟店の共感を得られず、結果として利用が広がらない要因となる。

2. 利用者・加盟店の不安やデメリットが解消されない

地域通貨を定着させるには、利用者・加盟店双方にとってのメリットの両立が欠かせない。制度設計が一方に偏ると、双方に不安やデメリットが生じ、利用の広がりが停滞しやすい。

 例えば、利用者向けの還元施策を優先しすぎると、加盟店側の負担が見過ごされがちになる。 デジタル地域通貨では、決済取引時の手数料を加盟店から徴収することで運営費を賄うケースも多く、これが導入のハードルとなることがある。 加盟店が増えなければ、利用できる店舗や場面は限られる。結果として、地域通貨は「使いどころが少ないもの」と認識され、利用者の定着にもつながりにくい。

また、操作が複雑な仕組みやスマートフォン前提の設計では、デジタルに不慣れな層が利用しづらく、利用者層が限定されやすい。利用者数と加盟店数のバランス設計は、導入初期の重要なポイントとなる。

▼地域通貨の利用者・加盟店が抱える不安やデメリット

利用者側(住民)の不安・デメリット
・利用できる店舗やサービスが限られており、日常的に使いづらい
・キャンペーンや広報不足により、地域通貨の魅力や使い道が伝わりにくい
・デジタルに不慣れな人へのサポートが不十分で、利用のハードルが高い
加盟店側(事業者)の不安・デメリット
・初期費用や決済手数料などのコスト負担が発生する
・導入・運用、システム管理に一定の手間がかかる
・デジタルに不慣れな顧客への対応が求められる
・法定通貨のような強制通用力がないため、利用が広まらないことへの不安がある

3. 財源不足や運営コストの増大により継続できない

地域通貨の導入には、システム開発などの初期費用に加え、運用開始後もサーバー維持費や広報費、事務局の人件費など、継続的な運営コストが発生する。行政の補助金に依存した運営モデルでは、補助金終了と同時に事業が立ち行かなくなるケースも少なくない。

導入段階から、どのように費用を賄い、運営を継続していくのかという持続可能な収益・運営モデルを設計できているかが、成否を分ける重要なポイントとなる。

▼人口規模別・地域通貨事業費の一例

自治体
人口
事業費
サービス名
島根県出雲市
172,714人
109,480千円
いずも縁結びPAY
群馬県安中市
54,700人
71,105千円
UMECA(ウメカ)
北海道当麻町
6,145人
44,152千円
でんすけペイ

事業費は、導入方式や対象範囲、運営体制によって大きく異なる。上記はあくまで一例であり、金額の大小のみで成否が決まるわけではない。

出典:内閣官房・内閣府「事業概要 【電子地域通貨導入事業】」

4. 大手決済サービスとの差別化ができず、選ばれない

「PayPay」や「楽天ペイ」などの大手キャッシュレス決済サービスが普及する中で、地域通貨が単なる決済手段にとどまってしまうと、利用者に選ばれにくい。価格や利便性だけでは、大手サービスに太刀打ちすることは難しい。

そのため、「この地域でしか得られない体験」や「地域に貢献している実感」など、地域通貨ならではの付加価値を提供できるかどうかが重要となる。

例えば、千葉県木更津市ではボランティア活動への参加に応じて行政ポイントを付与しており、また岐阜県高山市・飛騨市・白川村では、地域通貨でしか購入できない商品を用意するなど、大手決済サービスにはない活用が行われている。

5. 持続的な魅力や利用動機を提供できず、形骸化する

導入当初のキャンペーンによって一時的に利用者が増えても、その後の施策が続かなければ利用は定着しない。季節イベントとの連動や、ボランティア活動への参加によるポイント付与など、利用者が継続的に参加したくなる仕組みが求められる。

一方で、明確なKPIや運用体制が定まらないまま事業が進むと、施策が属人的になり、継続的な企画や改善が行われにくい。その結果、地域通貨は次第に使われなくなり、形骸化や廃止につながりやすい。

【事例に学ぶ】地域通貨の失敗事例から分かる3つの教訓

過去に発行された地域通貨の中には、十分に活用されないまま廃止や休止に至ったものも少なくない。こうした事例を振り返ることで、地域通貨を継続・定着させるための共通した課題や教訓が見えてくる。

発行規模が小さく、使い勝手が悪い地域通貨は定着しにくい

平成12年代のブーム期に誕生した紙媒体の地域通貨の多くは、発行規模が小さく、運営主体が十分な収益を確保できないまま事業縮小に至った。また、「支払いの全額に使えない」「利用できる場所が限られる」といった使い勝手の悪さも、利用者離れを招く要因となった。地域通貨を定着させるには、利用者の利便性を前提とした制度設計が欠かせない。

助成金頼りの運営モデルでは継続が難しい

近年は、国の助成金を活用してデジタル地域通貨を導入する自治体も増えている。一方で、助成金の終了と同時に運営が停滞し、休眠化してしまうケースも少なくない。助成金はあくまで導入期の後押しと位置付け、事業開始前から自走可能な運営・収益モデルを検討しておくことが重要である。

「円の代替」を目指す設計は失敗につながりやすい

地域通貨の役割は、日本円に取って代わることではない。法定通貨である円を補完し、地域内での消費や参加を促す点に本来の意義がある。 しかし、円の代替となることを目指して流通量の拡大や利用促進を優先しすぎると、ポイント還元や加盟店支援にかかるコストが膨らみ、運営負担が増大しやすい。

その結果、事業費や運営コストを賄えなくなり、継続的な運営が難しくなるケースも見られる。地域通貨ならではの役割を明確にし、円との共存を前提とした設計とすることが、事業を持続させるうえで重要となる。

地域通貨の失敗を乗り越え、成功につなげる5つのポイント

明確なビジョンとKPIを設定する

地域通貨を成功させるためには、「この通貨を通じて、地域のどの課題を解決したいのか」「どのような状態を目指すのか」といったビジョンを明確に言語化し、関係者間で共有することが重要である。その上で、「利用者数」「加盟店数」「流通総額」などのKPIを設定し、進捗を定期的に確認・見直す体制を整えることで、事業を軌道修正しながら継続しやすくなる。

住民・事業者を巻き込む仕組みをつくる

地域通貨は、行政や一部の団体だけで進めても定着しにくい。企画段階から地域住民や事業者を巻き込み、意見交換会や説明会を通じて「自分たちの通貨」という当事者意識を醸成することが重要である。あわせて、加盟店の導入費用や月額利用料を抑えるなど、参加へのハードルを下げる工夫も有効だ。

持続可能な運営モデルを構築する

地域通貨を継続的に運営するためには、初期投資に加え、運用段階の費用を見据えた収益モデルが欠かせない。決済手数料やシステム利用料、広告掲載料など、複数の収益源を組み合わせることで、安定した運営基盤を構築しやすくなる。自治体が全てを担うのではなく、地域の金融機関や民間企業と連携することも、有効な選択肢の一つである。

▼収益モデルの一例

  • 決済手数料|加盟店が受け取った決済額の一部を運営費に充てる
  • システム利用料|加盟店に月額のシステム利用料を負担してもらう
  • 広告掲載|アプリ内や関連媒体に地域の店舗広告などを掲載する
  • データ活用|個人情報を保護した上で、消費動向データを分析・提供する

利便性と独自性を両立させる

誰もが使いやすい仕組みを整えることは、地域通貨の定着に不可欠である。金融機関口座やコンビニATMからのチャージ対応、スマートフォンを持たない高齢者向けのカード型通貨の併用など、利用者の多様性に配慮した設計が求められる。その上で、防災情報の発信やボランティア活動と連動したポイント付与など、地域ならではの独自性を打ち出すことで、ほかの決済手段との差別化につながる。

導入後も継続的に改善・広報を行う

地域通貨は導入して終わりではなく、運用を続けながら改善していくことが重要である。利用者や加盟店からの意見を収集し、使い勝手や制度を見直すことで、満足度の向上につながる。また、SNSや広報紙、地域イベントなどを活用し、キャンペーン情報や加盟店の取り組みを継続的に発信することで、関心を維持し、新たな利用者の獲得も期待できる。

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【FAQ】地域通貨の導入でよくある質問

Q. 地域通貨の導入にかかる費用はどのくらい?

A. 導入費用は、システムの規模や開発形態(スクラッチ開発か、既存のプラットフォームを利用するか)によって大きく異なる。数百万円から数千万円規模となるケースもあるが、既存サービスを活用することで初期費用を抑えられる場合もある。

重要なのは、初期費用だけでなく、システム利用料や運営人件費、広報費などを含めた中長期的な運用コストを見据えた資金計画を立てることである。

Q. 地域通貨を導入する際、法律的な注意点はある?

A. 地域通貨の仕組みによっては、「前払式支払手段」に該当し、「資金決済に関する法律」にもとづく登録や届け出が必要となる場合がある。

例えば、利用者が事前にチャージした通貨を、不特定多数の店舗で利用できる場合などが該当する可能性がある。計画段階で財務局などの関係機関に相談し、法的な要件を確認しておくことが重要だ。

まとめ

地域通貨を成功させるためには、過去の失敗事例から学び、明確なビジョンと持続可能な計画を描くことが欠かせない。単なる決済手段としてではなく、地域課題の解決やコミュニティの活性化につながる「仕組み」として位置付けることが重要である。

本記事で整理したポイントを踏まえ、自地域の特性に合った地域通貨のあり方を検討していきたい。

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電子商品券、デジタル地域通貨…【地域経済活性化の事例まとめ】

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